TVがうちにやってきた

 実は先週くらいからTVがうちにやってきた。弟が引っ越して買い換えたらしいので、お下がりでもらったのだ。僕が今の家に住み込んでから1年、初めてTVのある生活をしている。

 

 うちは父親が厳格で、というかかなり頑固で、子供はTVを自由に見せてもらえなかった。教育上の観点、というならまだ分かるけども、単純に親父はバラエティ番組の類が大嫌いで、ニュースと野球と大河ドラマしか見ない。父が仕事で家にいない時、他の家族が全員でバラエティを見ていても、帰ってきたらニュースか野球に問答無用で変えられてしまう。

 

 タチが悪いのは、父の好きな巨人が負けた時で、不機嫌になった父親は試合後も家族にTVを見ることを一切禁止にした。その後のスポーツニュースで巨人の負けを報じられるのがムカつくからだ。僕が子供の時はよく文句を言ったものだ。(もちろん、聞き入れてもらえる余地はなかったけれど)

 

 さて、冒頭に述べた経緯で大人になってようやくチャンネルを独占する権利を手にした。アメリカにいた時もTVを買っていたけれど、ケーブルを繋いでいなかったのでほぼゲームと映画を見ることにしか使っていなかった。こりゃTV漬けになるだろうな〜とワクワクして1週間。僕はニュースを見る時以外ほとんどTVをつけなかった。

 

 悲しいかな、自分が映像制作の現場にいたということも影響しているかもしれないが、大人になって見るバラエティはあまり面白くなかった。僕はネタ番組が大好きだったが、僕が憧れていた中学生時代よりも数はずっと少なくなってしまった。毎朝毎晩ニュースを見るとTVを消して、あとはNBAや映画やYouTubeしか見ていない。今日なんて唯一見たTV番組は池上彰の中国特集だよ。悔しいけど、父親の気持ちが少し分かってしまったような気がしてしまったんだ、トホホ。