今年のアカデミー賞最優秀作品賞候補作 全部観終わったのでそれぞれ短評

 映画ファンが毎年心待ちにしているアカデミー賞が、いよいよ週明け月曜日に放映されます。僕のYouTubeチャンネル『スケッチブック』でもアカデミー賞ウォッチパーティーを行う予定ですので、是非テレワークのBGMにでもご活用ください。

 

 

 んで、その主催者がノミネート作品を観てないのは締まらないだろう、ということで、せめて最優秀作品賞だけでも制覇しようとここ最近は米Amazonを駆使して日本未公開・配信作品を鑑賞していました。今日全部観終わったので、各8作品の短評を書いていきます。

 

 ちなみに、余談ですけど、僕も今まで勘違いしてましたが、わざわざVPNを通さなくても米Amazonでレンタルできる作品は多い*1ので、もし気になる作品があったらレンタルしてみるのをオススメしますよ!英語字幕で観れるので。

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『ファーザー』(5/14日本公開)

 アンソニー・ホプキンスオリヴィア・コールマン認知症を患った父を演じる。予告編の段階では、アカデミー賞候補作にありがちなただ単に清廉潔白で退屈な人間ドラマが展開されると思いきや、なんと認知症患者の視点、つまり「信頼できない語り手」視点で展開されるサイコスリラーや不条理ホラーのような味わいだった。僕の祖父も晩年アルツハイマーで家族を振り回していたけれど、彼が直面していた恐怖が少し理解できた気がした。

 

Judas and the Black Messiah』(日本公開未定)

 個人的には今回の候補作品の中で最も推したい作品の一つ。黒人が今世界中で直面している差別問題についてタイムリーなだけでなく、シンプルにエンターテイメントとしてもパワフルで面白い。とにかくダニエル・カルーヤとラキース・スタンフィールドの演技が素晴らしいのだけれども、二人揃って助演男優賞は冗談としか思えない。じゃあこの映画の主演は誰なんだ…。

 

『マンク/MANK』(Netflixにて配信中)

 去年忙しい間を縫ってわざわざ劇場で観たんだけど、正直退屈だった…。フィンチャーの『市民ケーン』愛や偏執的な画作りを堪能する、という意味では楽しめたかな。白黒映画時代の早口演技まで再現しているのは驚き。ただ、これが作品賞を獲っても驚きではない。Netflix映画である、ということ以外は協会員が好きそうな題材だし。白人ばっかだし。

 

『ミナリ』(公開中)

 アーカンソーでアジア人が頑張る、というだけで応援したい。どこにでも生えるセリに逞しく生きる移民たちの強さを表しているのがグッと来る。ただ、アジア人ゆえの知恵を誇りにしていたのに、反知性に走るエンディングはどうなのよ?とは思う。

 

ノマドランド』(公開中)

 これも今回の最有力候補と言われているけど、僕はあんまり実感が湧かなかったなー。というのも、自分が一期一会の出会いや別れにそこまでジンと来る人生の段階に追いついていない気がする。あと、『ザ・ライダー』も観たけど、両作品ともテーマをわざわざセリフでテーマを最後に丁寧に説明しちゃうのも残念。ただ、小規模ロケ撮影で切り取られた雄大アメリカの自然は素晴らしい。クロエ・ジャオは同じアメリカ人でも知らないような「異国」としてのアメリカを映し出すのがインタレスティングな面白さ。

 

 

『プロミシンング・ヤング・ウーマン』(8月公開予定)

 最優秀作品賞を受賞して欲しい作品のうち一つ。詳しくはブログに書きましたので、是非。男は観て震えろ!

 

 

サウンド・オブ・メタル〜聞こえるということ〜』(Amazon Primeにて配信中)

 こちらもブログに書きました。コミュニケーションについての映画なのが僕は好きだった。

 

 

『シカゴ7裁判』(Netflixにて配信中)

 最高。去年ベストテンに選出したほど。登場人物が多数登場し、時系列が自由に行き来するのに観客が迷子にならない完璧な脚本は流石アーロン・ソーキン手際の良すぎるオープニングなんか100回くらい繰り返しみたい。サシャ・バロン・コーエン助演男優賞にノミネートされているのも嬉しい!

 

 ということで、今年はどれが獲るんでしょうかね!楽しみです!

*1:おそらく、Prime Videoを満足にみるためにはVPNが必要?要研究