記憶に残っている、あの日

忙しくてブログ更新もままならないですが、それだと味気ないのでせっかくのお題を。

 

はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」

 

 人生で一番最初に覚えている記憶、それは大雨が降る日に雷鳴に怯えて母の腕の中でわんわん泣き喚いているシーンだ。まるでテープを巻き戻し忘れたVHSを再生する時みたいに、見事にそこからしか覚えていない。その頃、父は会社の支援を受けてロンドンの大学に留学し、鬼気迫る勢いで勉強していたと胸を張るので、おそらくその頃の記憶だったかもしれない。はたまた正確な事実は確かめようもないが、とにかく僕は大雨が打ちつける窓を見て泣いていた。

 

 その次に覚えている記憶では、幼少期を過ごしたカリフォルニア州アーバインの家に引っ越す時の光景だ。車の中で、既に生まれていた3歳年下の弟と一緒に後部座席に座っていて、もう家に到着する直前の道を走っている。これまたテープが擦れかけたVHSのように、一番最初の記憶から次の記憶はここのシーンに飛んでいる。僕の人生は、この後の記憶がどんどん積み重ねられて、今の自分に続いているような気がするな。