レブロン・ジェームズの大作映画『スペース・ジャム:ア・ニュー・レガシー』が日本でもついに公開!あ、このブログでは死んでも『スペース・プレイヤーズ』とは呼ばないことになっているんです!
夏休み映画らしいお祭り加減で非常に楽しい映画になっているのですが、先週末の興行収入ランキングではなんと初登場圏外!な、何ー!?
…と思いましたが、これはせっかく八村塁と渡邊雄太が一世一代の活躍をしているにもかかわらず、放映権を独占したまま日本でのファン層拡大に大失敗した楽天と、あたかも本作が『レディ・プレイヤー1』を想起させるポップカルチャークロスオーバー映画だと勘違いさせる虚偽広告戦略を行なったワーナー ブラザーズ ジャパンに原因があるのではないでしょうか?
実際、『レディ・プレイヤー1』っぽい何かを求めて観に行ってなんだか肩透かしにあった映画ファンは少なくないはず。そんなあなたの為に、そしてこれからこの映画を見るあなたの為に、映画ファン且つNBAファンの僕が本作に登場したNBAネタを解説します!
え、映画ネタ?それは他所でいくらでもやってるので、そっちを参考にしてください!『そえまつ映画館』がおすすめですよ!
【基礎編】
レブロン・ジェームズ
本作の主演を務め、かつ現在のNBAの顔とも言える大スター選手。2003年に地元クリーブランド・キャバリアーズに全体1位指名でドラフトされて04年に新人王獲得。以来名実ともにリーグで圧倒的な存在感を放ち、12年と13年に移籍先のマイアミ・ヒートで優勝し、16年に復帰先のキャバリアーズで、そして20年に新天地ロサンゼルス・レイカーズでと、現時点で計4回優勝している。更にファイナルMVP4回、MVP4回、オールスター出場17回、オールスターMVP3回…と記録を数え上げたらキリがない。その圧倒的な実力から、あだ名は「キング・ジェームズ」と呼ばれている。
37歳を過ぎてなお勢いを衰えることを知らず、レブロンが所属するレイカーズは未だ有力な優勝候補として数えられる。が、レブロンが偉大なのは「モア・ザン・アン・アスリート(アスリート以上のことを)」という信念を持っており、コート内外で社会問題に関する発言を厭わないことで、昨年のブラック・ライブズ・マター運動でもバスケをプラットフォームに活動を支援した。
そして、レブロンはこのスローガンを演技のフィールドにも適用しており、ジャド・アパトー監督作『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』で本人役ながらビル・ヘイダーの相棒役を見事に演じ切ったので、映画ファンの皆様はこちらを是非鑑賞して欲しい。今回の『スペース・ジャム:ア・ニュー・レガシー』もレブロン流の「アスリート以上」の存在になることへの挑戦だ。
マイケル・ジョーダン
バスケを知らない人でも名前を知るバスケの神様。NBAを世界レベルの人気に押し上げた立役者の1人で、シカゴ・ブルズで1991年から93年に3連覇を果たし、一旦引退して野球選手に転向するものの、95年にブルズに復帰して96年から98年に再び3連覇を果たして引退*1。現在もシャーロット・ホーネッツのオーナーであり、未だにNBAに関わり続けている。
『スペース・ジャム』はマイケル・ジョーダンの人気絶頂期の中で作られた映画であったが、その撮影スタジオに自身の練習用コートを作り、『スペース・ジャム』に出演したスター選手たちや休暇でLAにいた選手たちを集めて日々練習に励んでいたことなど、仰天のエピソードの数々や異常なまでのジョーダンの負けず嫌いな性格が判明するNetflixオリジナル『マイケル・ジョーダン:ラスト・ダンス』は傑作ドキュメンタリー*2なので、是非見よう!
『スペース・ジャム』
ルーニー・テューンズとマイケル・ジョーダンが奇跡の共演を果たした映画。元々はナイキのCM企画であった*3。全世界で2億5千万ドル稼ぐモンスター級のヒットで、当時のバスケ少年たちの心を鷲掴みにした。90年代を象徴する作品としてノスタルジー的に扱われることが多く、『スペース・ジャム:ア・ニュー・レガシー』の冒頭がレブロン幼少期の90年代から始まるのもその為。
6と23
レブロンはマイケル・ジョーダンを敬愛し、リスペクトの気持ちを込めてジョーダンの背番号である「23」をジャージーに指定している。ただし、マイアミ・ヒート時代など諸事情で「23」が着れない時や、アメリカ代表在籍時は「6」の番号を着用しており、来シーズンのレイカーズ戦でも「6」を着ける予定。『スペース・ジャム:ア・ニュー・レガシー』では「6」を着けているが、副題が「新しい継承」を意味しているので、これはレブロンがジョーダンを継いで新しい伝説を作ることを意味しているのかもしれない。
【中級編】
アンソニー・デイビス
本作でレブロン率いるテューン・スクワッドの敵として出てくる「グーン・スクワッド」の一員、「ザ・ブロウ」のスキャンデータ元。現ロサンゼルス・レイカーズの選手で、レブロン・ジェームズの現在の相棒(ここ映画的に重要!)。繋がった眉が特徴的で、「ザ・ブロウ(The Brow;眉毛)」というあだ名を持っており、それが本作でデイビスのスキャンデータがモンスター化した際の名前の由来となった。7回オールスターに選ばれ、3回ブロック王を受賞するなど実力派で、2019-2020シーズンに、念願だったチャンピオンリングを手にした。
デイミアン・リラード
「グーン・スクワッド」の「クロノス」の元となった、6度のオールスター経験を持つ、ポートランド・ブレイザーズの絶対的エース。バスケでは勝敗を左右する試合終盤のことを「クラッチタイム」と呼ぶが、リラードはこのクラッチタイムに本領を発揮してロングスリーを連発するなど、驚異的な勝負強さを見せるので「デイム・タイム」と称される。本作でクロノスが時を操るのもその為。
なお、リラードはラッパーとしても活躍しており、「デイム D.O.L.L.A」というステージネームを持つ。アルバムを既に4つ出しており、本作でも楽曲提供している。
クレイ・トンプソン
「グーン・スクワッド」で水と炎を操る「ウェット・ファイア」のスキャン元。2010年台に王朝を築いたゴールデンステート・ウォリアーズの選手。相方のステフ・カリーと一緒にNBA史上最高のシューターの1人と言われており、カリーと共に3ポイントシュートを大量に決めてしまうので、「スプラッシュ・ブラザーズ」と恐れられており、多分ウェット・ファイアの元ネタもここから。(ウェット・ファイアの能力自体は意味が分からなかったが)
トンプソン自身は2019年のNBAファイナルで我がトロント・ラプターズと対戦した際、前十字靭帯を損傷してしまい、その直後に『ア・ニュー・レガシー』の撮影があった模様で、その為か本作でクレイ・トンプソンがバスケをしている描写があまり観られなかったのは残念だった。なお、不運なことに怪我から回復した直後、今度は練習中にアキレス腱をやってしまい、2シーズンも試合に出れていない。2021-2022シーズンは復活なるか!?
ダイアナ・トーラジ
WNBAのフェニックス・マーキュリーでプレーする選手。3度の優勝経験があり、10回のオールスター出場経験、先の東京オリンピック含む5大会で金メダルを獲得するなど、女子バスケ界のレジェンド級選手。グーン・スクワッドの「ホワイト・マンバ」のスキャン元となっているが、「ブラック・マンバ」ことコービー・ブライアント並みの得点力を持つトーラジのニックネームも「ホワイト・マンバ」。
ネカ・オグミケ
WNBAのロサンゼルス・スパークスのオールスター選手で、優勝経験を持つ。本作では「グーン・スクワッド」の「アラクネカ」のスキャン元となった。前作『スペース・ジャム』と本作『ア・ニュー・レガシー』の一番大きな違いは、WNBA選手も登場して時代に合わせて価値観がアップデートされていることで、トーラジやオグミケといった一流のWNBA選手の起用は、新しいレガシーを作るのに相応しいキャスティングとなっている。
ポスタライズ
まるでポスターになってしまうかのような、ディフェンスの上から強烈なダンクを叩き込むこと。ポスタライズダンクを決められてしまった選手はキャリアに渡って揶揄される為、力強いダンクのディフェンスを避ける選手は多いが、先シーズンは積極的なディフェンスが売りの渡邊雄太選手がポスタライズの餌食になってしまった*4。『ア・ニュー・レガシー』では「スタイル・ポイント」という、プレイ時の華麗さも加点の対象となるので、「ポスタライズ」も重要視される。
【上級編】
レブロンの息子
映画の中でレブロンが救いに行くブライスは完全にフィクションの存在だが、実際のレブロンにはブロニー、ブライズ、ズーリーの三人の子供がいる。中でもブロニーは父譲りのバスケ選手で高校生ながら全米注目の的となっており、ブロニーがNBA入りを果たす頃にレブロンが現役選手であり続ければ、史上初の現役親子NBA選手の可能性も。
なお、映画の中ではいい子ちゃん揃いのジェームズ三兄弟だったけれど、ブロニーは大麻をインスタライブ中に吸ってしまったことがある。
アーニー・ジョンソンJr.
スポーツ放送局TNTの名物NBA担当アナウンサー。NBAゲーム『2K』シリーズでも実況を演じているので、声を聞いたことがある人もいるのでは?本作にもひょんな理由でカメオ出演している。
ケヴィン・ハート
映画ファンには『セントラル・インテリジェンス』や『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル』などで知られるコメディアン。地元チームのフィラデルフィア・シクサーズ並びにNBAの大ファンとして知られ、スポーツ番組に呼ばれるほどだが、その身長の小ささをいつもイジられてトラッシュトークに発展するのがお約束*5。本作に登場していないものの、レブロンがアニメ世界に入り身長が短くなってしまう場面で「なんてこった!ケヴィン・ハートより小さくなっちまった!」と叫ぶ。翻訳しづらかったのか字幕に反映されてなかったのが残念だ…。
タッコ・チューズデー!
元々は「華金」的なノリで、語呂の良さで火曜日にタコス(Tacos Tuesday)を食べることがアメリカで習慣化されていたが、レブロンがインスタのストーリーで「今日は何の日だ?そう、タッコ・テューーーーーズデーーーーーー!!!」と火曜日になるたびに叫び続け、ミームと化した。レイカーズの試合でチャントになったくらい、いまやレブロンの代名詞的なセリフになってしまったが、『ア・ニュー・レガシー』にも「タッコ・テューズデー」が登場!見逃すな!
大体は網羅したつもりでしたが、如何せん僕もNBAファン歴は浅いので、もし取りこぼしていたネタなどありましたらコメント欄で教えてください!