MCU最新作の『シャン・チー』を観てきたっす。
最近は長くなりすぎて且つファンダムが大きくなりすぎてMCU(というかディズニー系全般)に疲れてきていたんですけど、これがまあいい意味で予想を裏切られまして、大変フレッシュで素晴らしい映画でした。正直、後半のファンタジー部分はいつものマーベルって感じで、ちょっと食傷気味にはなりましたが、それを差し引いたとしても前半部分はMCUの中でも1、2位を争う傑作だったと思います。
冒頭の導入部分からして、ある登場人物たちの出会いを台詞なしでアクションのみで展開していたんですが、割と長い間言葉が発せられていないのに2人のエモーションの盛り上がりが伝わってきて、まるで『ウォーリー』とか『カールじいさんの空飛ぶ家』の冒頭部分レベルの表現で脱帽しました。
あと、『シャン・チー』は初めて実写化されるオリジンストーリーですが、いわゆる「ベンおじさんが死ぬまで」みたいなかったるい展開は全部飛ばし、我々観客が「シャン・チーとはどういうキャラクターか」を知る前から超絶怒涛のアクションが展開されて度肝を抜かされました。そろそろ飽きるかも…などと思っていたマーベル映画、まだまだ新鮮な語り口や手札があるようで、これは完全にケヴィン・ファイギを舐めていたと言わざるを得ません、すみません!
で、まだまだ『シャン・チー』について語りたいことはあるんですけど、今回は台湾人の彼女と観に行ったのがまた面白かったんですよね。というのも、『シャン・チー』はハリウッド大作にしては珍しく中国語のセリフが多く、彼女曰くこの中国語のセリフもかなり洗練されていたそうなんですね。
例えば、クライマックスで今回のヴィランでトニー・レオンが発する中国語のセリフで「お前らが白米を食べてきた間、俺は塩をくらい続けてきた」と彼が生きてきた1000年間の過酷さを表したものがあったそうなのですが、これは中国語の慣用句としてハマりすぎていて、映画の字幕や日本語の字幕には訳せていなかったそうです。まったく、MCUは日本語を扱う時にも同じくらい丁寧にして欲しいものです!
で、これは『シャン・チー』がお好きな方には残念な情報かもしれませんが、もう一つ彼女が観賞後言っていて笑ったのは、「シャン・チーが習近平に似ててノイズになった」ってことなんですよね。しかも、彼女だけでなくて、中華圏では割と今話題になっているみたいで、検索するとすぐに色々出てきます。
ちなみに、これが理由かは知りませんが、これだけチャイニーズカルチャーをフィーチャーした『シャン・チー』は中国で公開が決まっていません。当然、似ていることを馬鹿にしているのも台湾とか香港のサイトだけだそうです。ビッグマーケットを失ったディズニーもお口あんぐりでしょうけど、中国批判をしたクロエ・ジャオ監督作の『エターナルズ』も中国では決まっていません。プーさんの一件も含めて、つくづくすごい国だなぁ、と思いますよ…。