こんな夢を見た

 「休みます」と書いた後に見た昨晩の夢があまりにも鮮明で強烈だったので、忘れないうちに書いてしまおう。なお、僕は人の夢を聞くのが大嫌いで、何故ならその人の脳内で勝手に起きたことなんか知ったこっちゃ無いからだ。そういう訳で夏目漱石の『夢十夜』も嫌いなのだけれども、これを読む皆さんはそんな理不尽を押し付けられることをご了承いただきたい。

 

 これはNetflix映画の『ドント・ルック・アップ』を見た影響だろう、12月31日の大晦日に地球に隕石が落ちてきて、ほぼ人類は滅亡することが決まっている。親父が旅行好きということもあり、我が家は年末親戚一同旅行することが決まっているのだが、この大晦日も例年同様みんなで集まっている。


 テレビではNHK紅白歌合戦がやっている。地球が滅ぶ一刻を争う状況なのに、世界中で諦念ムードが流れていて、むしろ通常通りやっていこうということだ。僕は情報が欲しかったのでチャンネルを変えるが、BSで細々と隕石落下の推定時刻が報道されるだけだった。また、隕石落下で生じる津波により、人類がほぼ滅ぶが、生き残る人もいると。

 

 我々が泊まっていたのは山間部だったので僕は少し希望を持ったのだが、こういう時父親は(リアルと同じように)嫌らしいくらい理屈っぽく「それくらいの規模だったら山にいようと意味ないよ」と(リアルと同じように)酒を飲む。

 

 新年を迎えるまで、残りわずか。僕は日課の通りブログを更新することにするが、このブログは人生で最後のブログになる。はてなブログスマホアプリで書いては消して、書いては消して、時折現状にパニックになっていたら、いつの間にか新年を13分過ぎてしまった。いつ隕石落下により人類が滅ぶかも分からないから、この日のブログだけは日を跨ぐ前に投稿しておこうと思っていたのに、それすらままならず人生最後の日にして最大の後悔をする。仕方がないので、「今までありがとうございました!」だけ投稿する。残り少ない時間の中で、誰かに読んでもらえることを祈って。

 

 数分後。窓の外から見上げると、巨大な火の玉が弧を描いて山の向こうへ落ちていく。遠くに落ちた衝撃が、軽い地震として伝わる。いよいよ終わりの時間が近づいた。せめてもの生存確率を上げようと、家族みんなで急いで戸締りの確認をする。泊まっていたのはそこそこ大きいコテージで、一階は全て閉まっていることは確認できた。

 

 しかし、どこからか隙間風が吹いていると思えば、二階からだった。慌てて二階の窓を閉めにいくときに、大事なことを忘れていた。彼女も人生最後の日を家族と迎えるために、台湾に帰っていたのである。今生の別れを告げようとLINEで電話をしようとするも、世界中がお別れの言葉を誰かに伝えているせいでネットが混戦して通じない。何回も電話をしようとしたところで、窓の外を見ると遠くの方から雪崩が迫ってくるのが見えた。

 

 

 

 

…というところで、目が覚めたのである。