2つで十分ですよ!

 引っ越したばかりなので金を稼がにゃならん!ので、FBグループで見つけた海外案件の映像仕事に応募したのである。ふんわりと内容を伝えると、都内の某建築物に関するドキュメンタリー映画で、映画内で使用する風景インサートを撮ってきてほしい、という仕事だ。

 

 先方は海外に住んでおり、現地のプロデューサーもディレクターもおらず、僕が一人でメールの指示書通りに淡々と撮影をこなして映像素材だけを送るという仕事だ。余談だが、去年もこのスタイルで中国のプロダクションに札束のパワーでこき使われたな。まあ、インサートや物撮りくらいなら、現地のクルー雇ってリモートで指示出した方が予算も押さえられるから、仮にコロナが終息しても続きそうな撮影形式だ。

 

 

 んで、話を戻すと今回の指示書、やたらと「『ブレードランナー』みたいに撮って!」としつこいくらい注意書きされている。場所もネオン街だったり、天気もよくない日ばかりを選んでいるので、相当ルックに影響を受けている。

 

 まあ、こっちは金さえもらえれば別にいいんだけれども、それにしたって誰も彼もが未だに『ブレードランナー』の影響を強く受けすぎやしないか。今年でちょうどもう40年前の映画だぞ?そして、今回の案件に限らず、未だにハリウッド映画でアジアの都市が登場すると大体『ブレードランナー』の影響下にあるのは、あの映画はちょっとアジアの風景というものをフェティッシュにファンタジー化しすぎてしまった点では、なかなか罪深いんじゃなかろうか。

 

 劇映画ならしも、この作品はドキュメンタリーだしなぁ〜とか余計なことを考えながら、生活のために東京の街で一人重い三脚を担ぎ、Recボタンを押し続けるのだった。どんな仕事でも大体文句を見つけてしまうのは、僕の悪いクセですな。