カイリー・アービング=カニエ・ウエスト

 NBA界隈では本日八村塁擁するワシントン・ウィザーズと、渡邊雄太擁するブルックリン・ネッツが試合を行い、今季初となる日本人対決が行われました。特に過去5シーズン、決して順風満帆なキャリアを送っていたわけではない渡邊雄太が躍動し、スター集団で構成されているネッツの一員として求められている役割を着実とこなして結果を出し、チームメイトやファンの信頼を勝ち取っていたのは感動的ですらありました。

 

 一方で、この喜ばしい試合の裏で、NBA界を暗い影が覆っていました。優勝経験もあるネッツのスーパースターであるカイリー・アービングが反ユダヤ的なTwitter投稿を巡り、チームから最低でも5試合の出場停止の決断が下されたばかりでした。これには日本人対決だけでなく、ケビン・デュラントやカイリー・アービングらスーパースターの共演もこの一戦の宣伝として推したかった楽天もビックリだったでしょう。

 

 カイリー・アービングは現代NBAにおいて間違いなく最高の選手の一人に挙げられるほどの実力者ですが、僕は正直あまり好きな選手ではありません。コート外での「思想的な」問題行動があまりにも多いためです。例えば、2018年にはネットの動画を鵜呑みにして地球平面説を真に受けた発言をして炎上しました。まあ、これはまだアホの子として可愛いものですが、2021-2022シーズンはNY市が義務化しているワクチン接種を拒んだために、ホームでの試合欠場を余儀なくされました。

 

 今回の反ユダヤ的投稿も含めて、カイリーはお察しの通りかなり陰謀論に傾倒しやすい人柄です。皮肉なことに、カイリーは黒人への人種差別問題に関しては積極的に声を上げていることで、なのに自分自身が人種差別的なスタンスをとってしまうのは矛盾もいいところです。

 

 「思想なんて個人の自由だろ」と思う人もいるかもしれませんが、僕はセレブやスポーツ選手は社会に対する影響力にある程度責任を負わないといけないと思っています。例えば単純に政治思想的に右か左かは個人の自由だとは思いますが、著名人が偽情報を元にした陰謀論フェイクニュースを拡散するのは社会的に害でしかないです。事実、2018年にカイリーが地球平面説を唱えた際、全米の学校で科学の先生の発言を無視して地球平面説を支持した子供たちが少なからず出てしまいました。

 

 で、カイリー・アービングの件で思い出されるのはカニエ・ウエストです。カニエ(というか、今やイェか)に関しては、僕自信元々『サウスパーク』や彼をジョークにするアメリカのコメディアンたちの悪影響を受けていたことは否めませんが、黒人が奴隷になったのは選択だと発言したり*1、MAGAハットかぶってトランプ支持を言い出したあたりからドン引きでしたし、大統領選挙に出馬して公の場で泣き崩れた時なんてもう目も当てられませんでした。

 

 僕はカニエ・ウエストに関して詳しいわけではないので、これを読んで反論したい人もいるかもしれませんし、彼のキャリアで数々の名曲を生み出してきたことも否定しませんが、最近の発言に関する炎上で窮地に立たされてなお、カイリー・アービングに関して共感を示すツイートをして自分が被害者みたいな書き方をしているのは、ちょっと擁護のしようがありません。カイリーもカニエも黒人社会において絶大な影響力を持っているので、その点もう少し自覚して行動してほしいです。

 

 なお、カニエがジェイ・Zと発表した曲「N***as in Paris」は正にネッツが歌詞に登場するバスケソングとして有名でカッコいい曲なんですが、YouTubeのコメント欄に「ジェイ・Zはこの歌でバスケ愛を歌っている。カニエは自分への愛を歌っている」と書かれていて笑いましたね!

 

I Love It [Explicit]

I Love It [Explicit]

  • Getting Out Our Dreams, Inc./Def Jam Recordings
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*1:同年、SNLでペットボトルの格好で披露した「I Love It」は本当にダサくて絶句した。後からMV見ても絶望的にダサく、歌詞も中学生が考えたみたい。理解が追いつかない。