『search/サーチ』シリーズに代表される「スクリーンライフ」とは?

 『search/#サーチ2』を先日観に行きました。前作とは話はつながっておらず、精神性だけの続編で、ほとんど同じ構造ながら全く別のアイディアや仕掛けを生み出すのは感服しました。

 

 なお、調べていて知ったのですが、こういったパソコン上の画面だけで話が展開する映画のジャンルはいまや「スクリーンライフ」と名付けられているそうです。名付け親は『サーチ2』のエグゼクティブ・プロデューサーであり、前作のプロデューサーも務めたティムール・ベクマンベトフです。

 

 2016年、『アンフレンデッド』というスカイプで展開されるホラー映画の予告を見た時、失礼な話しながら「バカみたいな映画だな」と笑ってしまいました。だって、予告編で怖いことがいっぱい起きてるんですけど、パソコン閉じればいいじゃん!と思ってしまったんです。それから数年経ち、『サーチ』を観てその面白さに舌を巻き、「『アンフレンデッド』をマトモにやったらちゃんと面白い映画になるんだな!」などと観てもいないのに偉そうな事を思ってました。

 

 この批判は的を外しているのも良いところで、何を隠そう『アンフレンデッド』のプロデューサーこそ、『サーチ』シリーズをプロデュースしたティムール・ベクマンベトフなのです。つまり、「スクリーンライフ」というジャンルはベクマンベトフが開発して育てたジャンルと言い換えることができます。

 

 カザフスタン出身のティムール・ベクマンベトフは聞きなれない名前だと思ったら、ロシア産ファンタジーナイト・ウォッチ』シリーズや『ウォンテッド』、リメイク版の『ベン・ハー』などの歴とした監督です。「スクリーンライフ」というジャンル自体はパソコンとインターネットが急速に発展した2010年代にポピュラーになりましたが、『ナイト・ウォッチ』シリーズには既に「スクリーンライフ」らしい演出がとられていたシーンがあるそうです。(これまた未見で申し訳ないですが)

 

  「スクリーン・ライフ」は一見サスペンスやホラーと相性の良いジャンルですが、ベクマンベトフ曰く一つのパソコンの画面で物語が進行するなら「スクリーンライフ」として成立すそうで、ベクマンベトフ自身ポリティカルスリラーの『Profile』や『ロミオとジュリエット』の翻案ロマンティック・コメディ『R#J』を世に送り出すなど、色んなジャンルの「スクリーン・ライフ化」を試みています。仰天だったのは、『iBible: Swipe Righteous』というスマホ画面で聖書を語る映画もあるそうです。

 

 90年代以降ハンディカムが広く渡って『ブレアウィッチ・プロジェクト』を代表するファウンド・フッテージやPOVジャンルが流行ったように、「スクリーンライフ」はこれからもどんどん増えていくジャンルになるでしょうね。そういえば、コロナ禍の最中は皆ZOOMで映画を撮るしか無かった訳だし。

 

 え?なんでこんなに詳しいかって?また英語版Wikipediaを読んだからだよ!

en.m.wikipedia.org