そういや昨日『室井慎次 敗れざる者』を観に行ったんだが…。

 いやー、ひっっっっっっっどかった!!!前日に観た『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』の酷さをもう忘れてしまったレベル。実は昨日メンタル的にはかなり落ち込んでいたのだが、朝にあった大事な面接が上手くいかず、夕方はトランプの当選を見届けることになり、その間の昼にこの映画を観てしまったからだよ!悲しみ→怒り→悲しみのスーパーネガティブサンドイッチだった。

 

 もうどこから説明しようかも難しいくらい酷かった。個人的にダメな映画って「あ、もう無理だ…」と折れる瞬間がある。『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』*1はそれが後半のラスベガスのシーンで訪れた。『室井慎次』の場合、冒頭も冒頭で室井の家を訪れた新人警官がどっからどう観ても無害な可愛い秋田犬を前にして「うわああああああああああ!!!!?!?!?!?ええ!!??!おおお!!?!??ええ???ビックリした…」とオーバーにも程がある演技を見せた時点で自分の中でポッキリ何かが折れる音が聞こえた。あと2時間もこの映画に付き合わなきゃいけないのかよ…。

 

 そこからというもの、全て口頭で説明してしまう陳腐なセリフ、テレビドラマかと見間違うくらいチープな画、「私はこの映画の中で悪い人/嫌なヤツです!」と宣言せんばかりに記号でしか描かれない登場人物たち、何も起こっていないドラマを無理やり盛り上げようとするためだけの音楽演出とか、何から何まで最悪としか言いようがない。

 

 書いていて思い出したのでついでに書いておくが、特にズッコけたシーケンスがあって、生駒里奈演じる新人弁護士が、自分が弁護する被告人の裁判戦略のために、殺された被害者の息子に被告が書いた手紙を送り続けるのだが、この見るからに怪しい目論見は室井さんがわざわざバカにも分かりやすく指摘する。にもかかわらずその後、生駒弁護士が「これで裁判で勝てると思います!」と電話でわざわざ誰かに説明しするんだけど、もう登場人物にレイヤーとか何もない。その次の場面で息子は被告人と面会するのだが、被告人は明らかに反省していない態度を取り続ける。お前、せめて反省しているフリしろよ!!!なんのための手紙だったんだよ!!!

 

 これは数ある酷い場面の一部でしかないのだけれども、書き出すと多分1万文字は超えるし僕も忙しいので割愛する。じゃあなんでこの映画を観に行ったかといえば、僕が『踊る』ファンだったからだ。テレビ史に名を残したTVシリーズと違い、悪い意味で邦画史に名を残した劇場版シリーズは作られれば作られるほど『踊る』シリーズのレガシーを傷つけていった。

 

 それでも悲しいかな、ファンとしては酷い出来だと分かっていても見届けにいってしまう性なのである。「これまで散々裏切られていたけど、今回は面白かったりして…?」トランプが勝つとうっすら分かっていても、ハリスの勝利にうっすらと希望を抱いてしまう気持ちとよく似ている。しかし、見事なまでに『踊る』シリーズは何も変わらなかった。「ああ、そういえばこんだけ酷いシリーズだったな…」と思い出し、劇場が明るくなって確認したトランプの勝利に打ちひしがれながら帰った昨日を、僕は一生忘れない。

 

 え?後編どうするかって?行くよ!(歯を食いしばりながら)

 

 

*1: