現実版『ROOKIES』

 不謹慎かもしれないが、今大炎上している広陵学園高校の野球部を見て「『ROOKIES』みたいだな」と思った。僕は森田まさのり先生のファンで漫画版*1の『ROOKIES』も大好きなのだが、その中でもクライマックスの笹崎高校編は傑作エピソードなので紹介したい*2

 

 『ROOKIES』は熱血教師の川藤幸一が不良や問題児だらけの二子玉川学園高校野球部を更生させ、甲子園を目指す物語だ。そんなニコ学高校野球部に最後に立ちはだかるのが、甲子園常連の強豪・笹崎高校である。タバコや暴力、いじめなど廃部寸前の問題ばかり起こしていたニコ学と比べ、笹崎高校の生徒たちは高校生活の全てを野球に捧げてきた真面目な才能ある野球青年たちだ。

 

 もちろん、先に勝ち進めるのは一校のみであり、観客や世間は笹崎高校を応援し、ニコ学を目の敵にする。もちろん、読者としてはニコ学の不良少年たちが更生している様を見てきているのだが、果たして彼らに笹崎高校の生徒たちの夢を倒す資格はあるのか?というのも大きなテーマとなっている。SNSを見ている限り、広陵高校旭川志峯高校の第一回戦はそんな様相を呈していた*3

 

 で、そんな漫画版『ROOKIES』の傑作編を台無しにしたのが劇場版『ROOKIES -卒業-』であった。この伝説の笹崎高校戦をせっかく映画化しているにも関わらず、全く笹崎高校の生徒たちのドラマがない!まるで『スーパーマリオ』のクリボーと一緒で、単純に倒せばいい敵として描いていて、最後にニコ学の面々が川藤に感謝の挨拶を長々と述べるクソ寒いシーンを感動的に演出していて、呆れ返ったのを覚えている。当時はTVドラマ映画の最盛期かつ邦画の暗黒期だったが、それにしても酷い作品だった。

 

 …閑話休題。結局広陵高校は二回戦で辞退してしまったらしい。先ほども書いた様に、漫画では読者は詳細に生徒たちが更生していく様子を見ていたわけだが、広陵高校の場合は生徒たちが改心しているのかどうかも分からないし、実情もわからないのにSNSで情報だけ流れてとんでもない火力で燃え上がっている。そりゃ共感なども呼べるわけもなく、ただただ被害に遭った生徒と暴力に加担せず真面目に頑張ってきた選手(がいたら)は可哀想だと思う。何よりも大人が反省すべき事案だが、現実に川藤のような人格者はいないだろうな…。

 

 

*1:間違っても実写版のファンではない!

*2:とはいえ、展開といいオチといい、『SLAM DUNK』の山王戦の影響を受けてしまっているのは否めない

*3:といっても、肝心の試合を僕は見ていません。甲子園どころか野球に興味がなくて…すみません