ショートドラマとかいう人類の知性を破壊するコンテンツ

 今日作業しながらYouTubeを流しててこの動画に出会ってしまったんですけど、なんかハラワタが煮え繰り返るくらいムカついたんですよね。

 

 ニュースピックスの動画マーケテイングチームがノウハウを解説する動画で、僕が腹が立ったのは後半の14:28〜の箇所です。ここでニュースピックスのショート動画チームが制作しているショートドラマが流れて、登壇者が面白いかどうか聞きます。件の動画は正直に言ってありきたりで面白くがないので、当然多くの人が首を傾げますが、登壇者が誇らしげに「面白くなくていいんです!」と断言するんですね。ショートドラマは最後まで再生される視聴率が大事なので、テクニックを駆使して視聴率を維持させれば500万再生も可能なんだと、講釈を垂れます。

 

 かくいう僕も縦型ショートコントシリーズに全面的に関わっていますし、最近縦型ショートを監督することが増えておいて恐縮ですが、ハッキリ断言すると僕は縦型ショートドラマが大嫌いです。そもそもTikTokが死ぬほど嫌いで、TikTokは映像芸術の地位を便器の底まで落とし、人類の知性を崩壊させた諸悪の根源です。そんなTikTokに特化したショートドラマはパチンコみたいなもので、ワンカットを極端までに短くし、ストーリーも過激に扇情的に作られ、演技も画一的に過剰に行われています。

 

 なぜなら全て、視聴者の興味を持続するためだけに作られているからです。その作品が「面白いかどうか」や映像的文法は二の次で、ギラギラ光を点滅させたり心地い音を出すことでギャンブル中毒者を台に座らせるパチンコやスロットと同じ仕組みで人間の欲望を操っているわけです。

 

 僕も正直、自分が関わる作品全てを面白く作れているかどうかを聞かれたら自信はありません。むしろ「ああ、今回も時間がなくてクソな作品を作ってしまった…」と落ち込むことの方が多いです。また、僕もYouTubeTikTokで動画を出している以上、ある程度アルゴリズムに効果的な作劇法は意識したりもします。

 

 だけど、それでも僕は「面白い作品に仕上がってほしい」と切に願いながら映像を撮っています。どんなに内容がくだらないコントだろうと、役者にも演技指導をする時は台本の意図を伝えて感情を引き出すようにしますし、カメラを構えて構図を決める時も編集でカットを選ぶ時もそれなりに演出意図を考えます。それは映像制作者としての最低限の矜持だと思うのです。

 

 ただ、制作者自身が「面白くなくていい」と思いながら動画を作り始めたらもう終わりです。視聴者をただ小さいスマホ画面に釘付けにするためだけに動画を作っている。それはドラッグの売人と何が違うんでしょうか。ショートドラマの提携先にある商品を売るためだけに、ただただ人の時間を無駄に消費する。昨今のディズニー作品以上に頽廃した資本主義的発想です。

 

 余談ですが、ショートドラマは素人でも参入できる間口の広さが数少ない良い点だと思いますが、その分再生数のことばかり気にする役者さんが増えた気がします。僕はそういった役者さんがあまり好きではないですし、自分の作品への起用も避けます。僕は役者は芸術家の一種だと思っていますし、芸術家である以上、表現を追い求めるべきだと思っているからです。もちろん、僕だって再生数に一喜一憂しますし、役者の方はカメラの前に立っている以上、再生数や知名度が気になるのは当然だとは思います。

 

 ただ、僕は数字以上に自分がこの作品で何を伝えたいのか・それが伝わっているのか・自分がこの作品が好きかどうか、を意識しています。役者の方も演技という身体表現を通して、どのようにキャラクターに息を吹き込んでいくのか・どういった表現ができるのか・観客に何を伝えられるのか、といったことを考える人の方が遥かに魅力的だと思いますし、一緒に作品を作り上げていく醍醐味があります。

 

 話が少しそれましたが、冒頭で述べた登壇者の意図はわかります。ニュースピックスはビジネスメディアなので、ビジネスでどう成功して金を稼げるかの方が芸術的な表現よりもずっと大事なのでしょう。僕もお金は大事だと思います。ただ、人類が100年ちょっとしかまだ築き上げていない映像文化が、人類の知性を堕落させるための装置として使われていることに、僕は言いようのない怒りを覚えるのです。