実際に観たのは先週末だけど、アリ・アスターの新作『エディントンへようこそ』を観ました。僕はアリ・アスター作品は『ヘレディタリー/継承』と『ミッドサマー』は大傑作だと思うんですが、前作『ボーはおそれている』は前半こそ死ぬほど面白かったものの、後半があまりにも退屈で残念でした。
そのせいか今回もちょっと身構えたんですけど、今回は普通に楽しめました。傑作だとは思いませんが、今までのアリ・アスター作品の中でも一番ストーリーは理解しやすい作品でした。
ただ一方で大変僭越ながら、風刺コントを作っている身としてはちょっと視点が浅はかなのでは…?というモヤモヤも正直ありました。「右派も左派もバカばっかりだ!」というのは『サウスパーク』にも通用するものがありますが、トレイ・パーカーと&マット・ストーンはちゃんとアメリカ社会の構造的問題を浮かび上がらせる作品作りをする一方、『エディントン』のカルト集団やBLM活動家の描き方など、あまりにも表層的すぎると思いました。
また、陰謀論を批判したいのかと思いきや、アリ・アスター自身が陰謀論に傾倒していると思われかねないシーンもあり、眉を顰めました。まあ、アリ・アスター作品は個人ではどうにもならない超越的な存在により、個人が振り回されるという作品がとても多いんですけど、2020年代のアメリカを模した作品でそれをやってしまうと、どうしても陰謀論的になってしまって大変よろしくないです。
でも、保安官のバカっぷりなどところどころ爆笑するようなシーンもあり、嫌いにはなれない作品でしたね。『ボーはおそれている』も前半のどんどん事態が悪化するドミノ倒し的なシーンは最高だったので、一回アリ・アスターはコメディに直球で挑んでみてほしいです。
