VR廃人

 引っ越しで荷物減らさなきゃ行けない矢先に、近所のスーパーの新学期応援セールで$10で売られていたVRゴーグルを衝動買いしてしまった。スマホを取り付けるだけの安物だけど、んまぁすごいね!YouTubeにゴロゴロVR映像が落ちているので平気で時間が潰れちゃう。いや、潰してる場合じゃないんだけど!

 

 VR映像コンテンツで目立っているのはディズニーランドやユニバーサルスタジオなどのテーマパークにあるアトラクションのVR映像だ。当然、ほとんどのテーマパークでは撮影は禁止されているし著作権の問題もあり、そもそもこういうライドは実際にパークに行ってこそ面白い。ただ、サービスが終わってしまったライドなどは映画と違って保存できないので、VRという形で体験できれば資料としては貴重なんじゃないかと思う。というか公式でやってくれればいいのにね、『バック・トゥ・ザ・フューチャー ザ・ライド』とかまた乗ってみたいよ。

 

 

ものすごいものを観た。

 時差がずれた恩恵というか、ものすごいものを観れてしまいました。

 

 これは日本時間だと8/25の夜に行われた松江哲明監督『童貞。をプロデュース』を上映した際の記念トークショーでの出来事です。『童貞。をプロデュース』は松江哲明監督が10年前に撮ったドキュメンタリーであり、DVD化されず毎年1興行のみ上映されるカルト的ドキュメンタリーです。

 

 僕は未見なのでなんとも言えませんが、予告編やネットで情報を見る限り、童貞の加賀くんと梅ちゃんを追ったドキュメンタリーらしいです。

 

 

 

 当時から評判の高いドキュメンタリーではあったものの、10周年という節目もあってか最近出演者である加賀くんから撮影当時監督から性的暴行を受けたとの告発があり、一部界隈ではちょっとした炎上騒ぎになっていたのでありました。

土下座100時間:世界で一番やさしいゲロ - livedoor Blog(ブログ)

 

 そして話題が冷めやらぬまま今回10周年記念興行が始まり、初日は松江哲明と加賀くんという渦中の二人が同じ壇上に立つという事で大変注目を浴びていましたが、結果いちばん最初にあげた動画のようになったそうです。日本では深夜帯でしたが、こちらではがっちり午後に吉田豪が次々とこの上映の生々しさを伝える参加者のツイートをRTしており、僕はそれを追いながら言いようのない興奮を覚えていたのでありました。

 

 

 

 

 これだけでも十分面白いのに、さらに磨きをかけたのは壇上にいる梅ちゃんのツイートですね。多いのですが、この臨場感を伝えるためにあえて全部載せておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後のケーキがこれ以上ないくらいオチがついていて素晴らしいです。

 

 僕は未見なので今回の件は記録的にまとめるにとどめますが、今回の事態を受けて以降の『童貞。をプロデュース』の上映は中止されてしまいました。

 

 ただ、一つ悔やまれるのは、僕は数年前に先輩に『童貞。をプロデュース』の上映を行かないかと誘われたのに、他の用事もあって行けなかったんですよね。今回の事件の影響で今後封印されるかも分からないので、あの時本当に見に行っておけばよかった…。

 


 【2020年1月23日追記】

 昨年末あたりからガジェット通信での藤本洋輔氏による加賀賢三氏へのインタビューを受け、さらには今年に入ってからも松江哲明氏がnoteに発表した声明文の影響からかこの記事へのアクセスが増えています。しかし、該当のインタビューなどを読むと、3年前に書いたこの記事はあまりにも酷く野次馬的で、無責任でかつ愚かな文面だったと反省しています。加賀賢三さん、本当に申し訳ありませんでした。本日書いたこちらの記事にも今思うところを記しました。 

 

 この記事を消去しようかとも迷いましたが、それでは自分が犯した過ちを無かったことにしてしまうので、自分への見せしめとしてこのまま残しておくことにします。ただし、Amazonのリンクは消しました。ちなみに、この記事を書いた時に貼っていたAmazonのリンクは松江哲明氏の『映像サバイバル入門』と森達也氏の『ドキュメンタリーは嘘をつく』でしたが、この事件に対する二人の対応を考えると偶然ですが皮肉なものです。

真の面白い映画とは

 日本での『ダンケルク』35mm期間限定上映のニュースを見て、寝る直前につらつらツイートしていたらなんか色々と思うところが湧いてきたので、さっきのツイートを今日はまとめて清書しておこうと思います。

 

 僕は『ダンケルク』を二回観ている。初回は70mmフィルム版を観て、まさか大好きなノーランの作品を観て退屈な気持ちになるとは夢にも思っていなかった。ところが二回目をIMAX 70mmで観ると、印象が180度変わって衝撃を受けた。鑑賞フォーマットが異なるだけで、映画としてこうも印象が異なるものなのかと。

 

 詳しくは当ブログで感想記事を書いた*1が、そもそもノーランはIMAX 70mmで上映されることを念頭に置いて撮影していたので、アスペクト比が変わり約半分もの情報量が失われた70mm版は別物と考えてよく、印象がまるで違ってくるのは当然のことだった。事実、既にアメリカで両バージョンを鑑賞した観客の中で、僕と似たような感想を抱いている人も見かけた。

 

 だから日本公開に先駆けて幸運にも異なるフォーマットで『ダンケルク』を観ることができた僕は、日本で鑑賞する際も可能な限りIMAXで観たほうがいいと勧めてきたが、少し自問自答してしまう。

 

 僕は『フォースの覚醒』*2が大嫌いでその年のワーストワンに選んだほどだが、当時賛否両論となっていた『フォースの覚醒』に対し、支持派の意見の一つとして「レーザーIMAXで観ろ」というものがあった。稀に反対派の意見の論旨を無視する勢いで「それでもレーザーIMAXは別格だから」と暴論を投げつける人も見かけ、「レーザーIMAX警察」と揶揄する声もあったし、僕もやたらと「IMAXで観ろ」と主張する声には冷ややかな目で見ていた。

 

 僕は世界でも最も映画鑑賞的に恵まれている都市である東京*3から市にシネコンが一つしかないアメリカのど田舎に来てからIMAX信仰というものに懐疑的になってしまった。契機となった映画は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だ。渡航時期的に日本での公開には間に合えず、アメリカでもだいぶ終了間近という微妙なタイミングで、近所のシネコンでも一番小さいスクリーンで2Dで鑑賞した。観る前は歯痒かったが、『マッドマックス』のテンションと熱量はスクリーンの大きさなんかで測れるものではなかった。また、最近キャスリン・ビグローの『デトロイト』を観に行ったが、相変わらずのキャスリン・ビグローの緊張感溢れる演出は冴え渡っていて、そのとてつもない臨場感の前ではスクリーンの大きさなんて忘れてしまった。

 

 そういった鑑賞スタイルとは無関係にパワーを持った作品と比べてしまうと、『ダンケルク』はIMAXで鑑賞したほうがいい、とあくまで条件付きで勧めてしまうのは何か作品として欠陥があるのではないかと、複雑な気持ちになってしまう。あれだけIMAX警察に冷ややかだった自分に対して自己矛盾を感じるし、あわや『フォースの覚醒』もIMAXで観たら全く違う印象を抱いてしまっていたんじゃないかと思うと恐ろしい。現に、今では『ダンケルク』は好きな作品となってしまっているので、尚の事だ。

 

 話は少し逸れるが、告白すると『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は渡米間もなくまだ耳も慣れていない状態で鑑賞し、しかもオーストラリア訛りやスラングのせいで聞き逃した部分はたくさんあった。にもかかわらず、鑑賞中は「自分は今とんでもないものを観させられている!」という得体の知れない高揚感があった。真の傑作映画は言語の壁すら超越する瞬間を目撃したのだ。

 

 そういえば、たしか『ムトゥ 踊るマハラジャ』を日本に輸入したのは江戸木純氏だったと記憶しているが、江戸木氏も国際線の機内上映で『ムトゥ』をたまたま言葉もわからず観て、この面白さを伝えねば!と奔走し、なんとか日本公開に漕ぎ着けたという話だったと思う。

 

 なんかブログに書いてもまとまらず、何が言いたいかよく分からない感じになってしまったが、結局のところ真の面白い映画とは、鑑賞フォーマットだとか言語だとか、そんなチャチなもんじゃあ 断じてねぇ、もっと恐ろしいものの片鱗をうかがわせるような、そんな作品だと思う。

 

 

 

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*1: 

*2: 

*3:まあ、住んでいたのは浦安だけど