今年もついにベストテンで映画を総括する時期がやってまいりました!何回も言っていますが、今年はほとんど緊急事態宣言だの まん延防止措置やらが施行されていて、「平穏」だった日が数えるくらいしかなかったので、これほど早く感じた1年はあったでしょうか!
さて、そんな僕が今年見た新作映画の総数は65本でした。コロナ以前と比べると鑑賞本数が未だ3割減ですが、とはいえ去年の鑑賞本数と比べたら倍近くは増えているので、少しずつ日常を取り戻しているということなんでしょうね。あとはストリーミングサービス全盛期ということもあって配信に助けられた側面もありました。
まあ、どうでも良い前書きは置いておいて、僕にとっての今年のベストテンを決めて年を越しましょう!
▲今年のイメージキャラクター、麦くんと絹ちゃん!
【特記事項】
【2021年ベストテン】
- 花束みたいな恋をした
- 最後の決闘裁判
- シン・エヴァンゲリオン劇場版:||
- ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償
- プロミシング・ヤング・ウーマン
- パーフェクト・ケア
- ドライブ・マイ・カー
- マリグナント 狂暴な悪夢
- パーム・スプリングス
- アオラレ
【解説】
①を観た時に「今年のベスト」って言っていたけど、僕の中でこれを超える作品はやはり今年は現れなかった。セリフの一つ一つが珠玉で、サブカル満載のイースターエッグも憎い。でもそんなことを差し置いても、この映画はまるで他人事のようには思えず、物語を通して登場人物たちと一緒に傷つき、一緒に成長できるようなパーソナルで大切な映画となった。
映画の出来として一番震えたのは②。一フレームたりとも妥協した構図のないリドリー・スコットのビジュアルには惚れ惚れするのだが、そんな呑気な事も言っていられないくらい男らしさの呪縛に鋭い刃を向ける脚本には言葉を失った。映画が終わった時の劇場のグッタリとした雰囲気も含めて、一生記憶に刺さる。
③は初鑑賞時は斜に構えて観ていたけれど、その後NHKのドキュメンタリーを観たりシリーズを見返して、映画館に何度か足を運んで観直す度に『エヴァ』の完結編として段々ジワジワ沁みてきた。日常生活でも日々『One Last Kiss』ヘビロテしていたし、庵野秀明展も行ったし、何気に今年一番時間を費やした映画かもしれない。また、『これまでの東京ヲリンピック』がバズった感謝の気持ちも込めて3位。*2
④と⑤は厳密にいうと両方とも2020年の映画だし、上半期ベストテンでも取り上げたのでまとめるが、社会派としてもエンタメとして一級品だった。便宜上順位づけしているが、両方ともほぼ同順位だと考えていただければ。両方ともサスペンスとして目まぐるしいジェットコースターに乗せられた後に、社会の一構成員として自分に何ができるのかを深く自省させられた。
⑥は社会を牛耳る1%のクズたちによるピカレスクロマン。ビッグテックに代表される偽善的なリベラリズムの資本主義と、古典的な有害で保守的な資本主義がぶつかり合って生まれるアメリカという地獄。どいつもこいつもクソ野郎なのに、しっかりと肩入れしてハラハラするサスペンスと、悪が悪をついにぶちのめした時のカタルシスは必見。
天邪鬼的に避けていた作品だったので、自分でもベストに入るとは思わなかった⑦。静かだけどリッチで雄弁で、コミュニケーションを乗り越える映画として静かに感動した。車中での西島秀俊と岡田将生の対峙は強烈で、濱口竜介監督作品はキチンと追っていかないとダメだなと反省。
⑧は恐怖あり、アクションあり、笑いありのバッドアスな楽しいホラーで終始ニンマリ。家族愛まで含んでいて死角なし!リメイクや続編に頼らないオリジナル作品としてもポイントは高い。
昨日のコメディベストテンでも1位に選んだ⑨。タイムループ系SFの「あるある」をすっ飛ばす第一幕が斬新でビックリしたし、設定の小手先には頼らず人生訓となる脚本も素晴らしいし、しっかりコメディ映画としてギャグも面白く、更にはヴィランにも優しくて誰も傷付かず、褒めるところしかない大傑作だった。それだけにこれを配信しない日本のHuluの存在意義が分からない。
当ブログの「10位枠」は、映画の出来よりも勢いや愛すべきバカさ加減を優先しているのだけれども、煽り運転をあたかもこの世の終わりかのように誇張した⑩はその枠にピッタリ。細けぇこたぁいいんだよ!と言わんばかりにラッセル・クロウが大暴れするだけでニコニコ。アオッテンジャネェ!
【ワーストテン】
- 映画大好きポンポさん
- サンダーフォース 正義のスーパーヒロイン
- 竜とそばかすの姫
- 100日間生きたワニ
- モンスターハンター
- レッド・ノーティス
- 死霊館:悪魔のせいなら、無罪。
- DUNE/デューン 砂の惑星
- 007/ノー・タイム・トゥー・ダイ
- 東京オリンピックの開/閉会式
①は今の映像業界の酷さを全部煮詰めて美化したような映画で、倫理的に全く許せない。映像製作者の端くれとしてワーストワン。
②と⑥と、Netflixは最早ワースト枠安定のブランドになってしまった。Netflixは週一映画の前に企画を洗練するところから始めてほしい。
③は細田守ファンとしてガッカリ。倫理的にアレなのもあるけど、インターネット観がいい加減に古すぎる。
④は63分しかないのに半分近く寝ていた。炎上はちょっと可哀想だけどね…。
⑤、⑦、⑧、⑨は酷い映画だとは思わないけれど、楽しみにしていた分ガッカリ度もデカかった。
⑩は映画じゃないから控えめの順位にするけどさ、僕の政治的思想とかオリンピックに対する立ち位置とか全部抜きにしたって、エンタメとしてあまりにも退屈じゃいか?こんな事をいう日が来るなんて思わなかったが、まだアベマリオの方がマシだったよ!
【総評】
鑑賞本数を数えた時は少ないと思っていたけれど、いざベストテンを選んでみると漏れてしまった作品も多く、流石に去年より増えただけバラエティには富んでいると思う。ただ、そのうち10本近くはこの5日間に駆け込みで見た作品だし、観たかったのに年内鑑賞が間に合わなかった作品もたくさんあるので、来年はもうちょっと計画的に鑑賞して本数も例年通りに戻していきたい。
毎年の映画ベストテンを比べてみると、所謂ブロックバスター映画が『シン・エヴァ』くらいしかなく、つまらない物言いだけれども映画の趣向が段々と変わってきたような気もする。一方でワーストの方にハリウッドメジャーが集まっているのが興味深いけど、今年はたまたま縁がなかっただけだと信じたい。
今年はどちらかというと『スケッチブック』を始めとして映像制作の方に注力したが、来年はアウトプットもインプットもバランスよくできるように頑張りたい。というか、映画鑑賞を「頑張る」と表現している時点でダメですね。映画なんか好きな時に好きなものを見ればいいんですよ。来年も楽しい映画と出会える1年でありますように!そしていい加減コロナ終わってますように!
それでは良いお年を!
【過去のベスト&ワースト】