「E.T.、ステイホ〜〜〜〜ム」

 今は僕にとって毎日がエブリデイ状態なので、今週から4連休ってことはニュースで言われてて初めて知ったのですが、くれぐれもみなさん、感染症に連休もクソもないので、Go Toなんちゃらに惑わされずステイホームしましょうね。今日はこれくらいしか書くことがありません。最近、なぜか夜寝るのが遅いので今日はもう寝ます。

E.T. (字幕版)

E.T. (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

僕は映画館保守派

 昨日の書いた記事と少し似た話だが、先日NY時代の友達から急に電話があった。彼女も映像系の職に勤めているが、コロナの影響や日に日に厳しくなるトランプ政権の移民政策問題もあり、母国の韓国に帰ろうと考えているようだ。が、彼女の性格的には後ろ向きな選択ではなく、むしろポストコロナの世相を考えた結果、韓国に戻った方がずっと将来性があると判断したのだそうだ。

 

 で、そんな話を聞きながら雑談したのだけれど、最近観た映画の話になった。彼女は「最近、映画を観る集中力がなくなっている」と話すので「だから映画館が大事なんだよ、途中停止できないから」と何気なく返すと、「でも、映画館はそのうち無くなるよ」と彼女は言う。あまりにもアッケラカンとした返答だったので、僕は思わず言葉を失ってしまった。

 

 誤解ないように先に言っておくと、この友達は映画が大好きだ。昨年末NYに滞在していた時、久しぶりに再会した彼女と『パラサイト』が傑作かどうかで激論を交わし、彼女は「『パラサイト』は韓国を欧米向けにファンタジー化しているのが腹に立つ」と、非常に鋭い視点も持っている程だ。でも彼女は映画館は消えるし、消えてしょうがないと思っている。

 

 日本でもミニシアターを守ろうとする動きはあるし、今世界中の映画ファンが映画館の行く末を案じている。しかし事実として、世界的にYouTubeTikTokなどで短い動画に慣れてきた若者世代が映画を観なくなってきたところに、コロナショックがやってきた。こうした「ミニムービー」世代を取り込むべく、短編動画をメインとしたQuibiなんてプラットフォームが出てくる始末だ。映画館はネット動画カルチャーに駆逐されていくのは、悲しいが起こりうる未来像なのだろう。彼女の理屈は非常によく分かるし、合理的で先進的だ。*1

 

 だけど、僕はやっぱり映画は映画館で観たい。明日、奇跡的にコロナがこの世から消え去り、満員の劇場でコメディ映画を観て笑いたいし、ホラー映画でギョッとしたいし、アクション映画で手に汗握りたい。映画は映画館で観られることを前提に作られるべきだ。そんなことを伝えたら、彼女は「いつも君が嘆いている日本社会みたいに、すごい保守的な考えだね」とからかってきた。返す言葉もなかったなぁ。

 

世界の映画館

世界の映画館

  • 発売日: 2019/11/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

*1:ちなみに、ガチで僕の予想をすると、僕も映画館は数を少なくするとは思うが、かつて『アラビアのロレンス』や『2001年宇宙の旅』が「ロードショー」としてアメリカで公開されていた時代のように、「豪華な娯楽体験」として生き残っていくんじゃないかと思う。そうなったらそれはそれで嫌な時代だなぁ。

過激系YouTuberにゃ矜持が足りない

 昨今ニュースを騒がせている迷惑系YouTuberなる存在を初めて知りました。というかまあ、僕は偏見がひどいので、大体のYouTuberがああいったイメージだったのであまり驚きもないんですけど、アメリカにもああいうのいるんですよね。

 

 今でこそNYは徐々に経済活動を再開してきたくらいには状況が落ち着いてきましたが、感染者数が爆発的に増加し、ロックダウンが敢行されていた頃、fckjoshyというクソくだらないイタズラで人気になったTikTokerが大量のシリアルを地下鉄でぶちまけました。

www.youtube.com

 

 もちろん、外出禁止なので、電車に乗ってるのは医療関係者などのエッセンシャルワーカーのみです。パンデミック下でMTA(NY州都市交通局)の職員に余計な仕事を増やして迷惑なことこの上なく、MTAは公式ツイッターで批判し、fckjochyのアカウントは炎上、謝罪を余儀なくされ問題の動画は消去されました。

 

 まあ、これは驚嘆な例かもしれません。が、こういう迷惑系YouTuberのみならず、僕はYouTubeTikTokで過激性が求められている傾向には少し危惧しています。別にPCをを押し付けたいわけではないんですけど、ちょっとオススメ欄を散策するとすぐ過激な文字列で装飾したサムネが目に入ったり、あからさまに下品内容で視聴者を釣ろうとしている動画が非常に多いんです。日本に限らず、英語圏の動画でもそうですし、なんなら世界中どこも同じような状況だと思います。

 

 で、試しに動画を開いてみると、妙なジャンプカット編集とオートフォーカスでたまにピントがずれた映像で、素人が噛みまくりながらゲラゲラ笑っていて何が面白いんだかよくわからない動画にめちゃくちゃ再生数や高評価がついていたりするんですね。こうした点について、前に一緒に仕事をしたTVディレクターに質問したことがあるんですけど、その人は「確かに最近はコンプライアンスが厳しくなって、昔よりは番組作りに自由度がなくなった。だけど、テレビマンたちはその規制の中で試行錯誤してより面白いものを作ろうと頑張っているYouTubeやネット番組は規制がないからどんどん過激なものを作ることができるが、逆に言えば過激性だけで質を伴っていないものがあまりにも多い」と熱く語っていたのが非常に印象深く残っています。僕はあまりテレビバラエティのファンではないですけど、そこには職人としての矜持が伺えて共感できました。

 

 で、あれこれ言いつつも、僕もYouTubeで『スケッチブック』を始めたわけですが、僕のスケッチを見てもらえれば分かる通り、安い機材なりに画的には結構作り込んでいます。カメラマンは、昔から写真や映像を撮るのが好きだった大学の映画サークル時代からの信頼できる先輩にやってもらっています。短かかったけど、NY時代にプロの映像現場で見てきたことを真似して実践するつもりで、カメラを回す前の準備は入念に行っています。

 

 カッコつけて話しますと、YouTubeTikTokが形成した今の映像文化に対して反旗を振りかざしたい気持ちで『スケッチブック』を始めた、というのもありますね。が、今のままでは負け犬の遠吠えなので、ひとまず収益化できるくらいにはチャンネル登録者数と再生数を増やすために、質のいいスケッチを提供し続けていく所存なので、是非観てもらえると嬉しいです!と、最後には結局宣伝して終わったよ!

www.youtube.com

 

 



「怖さ」よりも「厭味」が勝つ/『呪怨:呪いの家』感想

 諸事情で見る必要があり、Netflixの『呪怨:呪いの家』を完走したっす。僕はシリーズものを見る時はなるべく製作順に全て観たい性格なのですが、ちょっと時間がなくてNetflixで劇場版の『呪怨』『呪怨2』を観てからNetflix版に臨みました。『呪怨』シリーズは劇場版はNetflixに全て揃っており、ビデオ版もHuluにあるということで、そのうち全部制覇したいと思います。

f:id:HKtaiyaki:20200719224356p:plain


 まず、初めて観た劇場版の『呪怨』『呪怨2』の感想を軽く触れると、シンプルさに非常に感銘を受けました。舞台の主軸はほぼ呪われた一軒家なので、制作費がほとんどかかっていないことが推察されます。『1』の途中で田中要次がガソリンをまくところでは「お、ド派手に燃やすか!?」と期待しましたが、当然そんな予算はないのでまいただけで田中要次が呪われて終わりました。が、そういった制作費の無さを清水崇が見事に演出力でカバーして立派なホラーにしています。

 

 だって考えても欲しいのですが、今でこそ「伽倻子」や「俊雄」といったキャラクターイメージが先行してしまっていますけど、基本的に彼らは役者を白く塗っただけなんですよ。アップになった時の俊男なんて真っ白な上に目の周りはアイシャドー塗りたくっているのが分かってしまうくらいには低予算なんですが、その白塗りで半裸の男の子や母親が見え隠れするだけでしっかり怖い作品に仕上がってるのはとても感心しました。(といっても、古今東西のホラー作品はほとんどが低予算なので、そもそもが監督や作り手の創意工夫が楽しむ為のジャンルではありますが。)

 

 で、『呪怨2』になると、公開当時は前作からわずか7ヶ月のスパンで作られているので、相当1作目の評価が高かったことを受けてだろうと推測します*1が、その分冒頭からカーアクションが登場したりして制作費が如実に上がっているのも分かり、怖がらせ方のバリエーションも増えて遊園地的に楽しい作品に仕上がっていました。

 

 と、僕の軽い『呪怨』『呪怨2』の感想から、鑑賞時の僕には随分と「余裕」があったことを伺えるかもしれません。事実として、僕はホラー映画には結構耐性がある方なので、いつも映画を見る時のように部屋の電気を暗くして観ましたし、時には唐突な場面でゲラゲラ笑ったり、時には耳かきしながら観て余裕ブッこいて観てました。

 

 そんな調子付いたノリで昨日『呪怨:呪いの家』も鑑賞を始めたのですが、僕はすぐに自分の態度を後悔しました。『呪怨:呪いの家』は怖さの質が劇場版とは雲泥の差で、「厭味」をマシマシにしたホラーシリーズで毎話おっかなビックリしながら見る羽目になりました。観終わった後、電気をつけると何かいそうで怖いのなんの……。

 

 『呪いの家』は荒川良々の「『呪怨』は、実際に起きた出来事を参考に作られた」というメタ的なモノローグから始まります。その真偽のほどは定かではありませんが、『呪いの家』の劇中、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」や「地下鉄サリン事件」など、昭和後期や平成初期のワイドショーを騒がせた事件がニュースとして次々流れます。そして、『呪いの家』では、これらの事件を抽象化したような凄惨な出来事が次々と起こります。

 

 今挙げた実在の事件は、その異常性からマスコミではセンセーショナルに取り扱われてきましたし、現在も度々起きる悲惨な事件も同様に騒がれます。しかし、少なからずそういった「異常」と叩かれる事件の背景には、日本社会の歪みが見え隠れします。家庭内暴力だったり、貧困だったり、マチョイズムだったり。『呪いの家』は心霊映画ですが、画面上で起きる凄惨な事件は、日本がかかえる諸問題が背景として見えてきます。ある意味では実録犯罪映画には近いのかもしれませんが、そうした日本社会の犠牲者たちの「呪怨」が「呪いの家」の燃料となり、「厭味」となって視聴者を襲います

 

 また、先ほど予算の話をしましたが、劇場版シリーズと打って変わり、今イケイケのNetflixNBCユニバーサルが関わっている本作は明らかに潤沢な制作費がかけられています。舞台も年代をまたいで物語は壮大となり、ゴア描写も筋金入りの特殊効果で気合が入っています。もちろん、冒頭に述べたようにホラーの醍醐味は演出家の見せ方にあるので、お金が全てではありませんが、予算があれば画的にもリッチに人を怖がらせることができます。なお、仮に予算なんかなくたって、三宅唱監督の演出力が凄まじいのは留意しておきます。

 

 かように、『呪怨:呪いの家』はガワからもウチからも視聴者をどん底の恐怖体験に陥れます。非常に困ったのは、『呪いの家』は1話30分全6話という短さで、一気見させる勢いのある面白さの作品だったことです。夜に見てしまえば一度最後、あなたはこの『呪怨』に取り憑かれてしまい、夜もねれなくなってしまうでしょう。……そうやって僕は今朝の会議に寝坊しました!

www.netflix.com

www.youtube.com

呪怨BOX [Blu-ray]

呪怨BOX [Blu-ray]

  • 発売日: 2015/11/06
  • メディア: Blu-ray
 

 

 

*1:あるいは元々作る予定だったかもしれませんが。どなたか教えてください

『スケッチブック』新作「映画オタクはマウントがお好き」公開!

 お待たせしました、『スケッチブック』の新作スケッチ(コント)、「映画オタクはマウントがお好き」です!映画ファン、というかこの世のありとあらゆるクラスタの前に必ず立ちはだかる、知識マウントを取るのが大好きなおじさんを主題にしたので、共感していただける人は多いのではないでしょうか!*1ちなみに僕は『ダークナイト』は大好きです。

 

 なお、こちらのスケッチを撮影させていただいた「Cafe & Bar BIG FISH」は高円寺にあるとても素敵な映画バーなので、みなさん是非足を運んで見てください!なお、僕が今回このコントを思いついたきっかけのマウントおじさんもこちらのバーで出会いました。

Cafe & Bar BIG FISH
東京都杉並区高円寺北3-1-15
公式ツイッターhttps://twitter.com/BIGFISH_koenji

 

 ところで、今回のコントのリンクをシェアすると、そのリンクカードが何故か英語表記になってしまうのですが、これってどうやって変更できるのでしょうか……。YouTuber素人ですみません、どなたか教えていただけると助かります。

f:id:HKtaiyaki:20200718234116j:plain

*1:僕もこういうことはしてはいけないんだと、反面教師的に撮りました。