NYにはアレが無い!

 この間、近所の和食料理屋に行ったんですけども、まあこれが中国人経営のなんちゃって和食屋でして。とはいえ、アーカンソーで舌を育てたものですからたまにはこういう偽物の味が恋しくなるわけです。メニューを開くと案の定「ヒバチ*1」とか書いてあってしめしめと思って注文したんです。 ああ、久しぶりにヤムヤムソースたっぷりかけたヒバチが食べたい…。

 

 ワクワクして待っていると、それはヒバチとは程遠いただのチャーハンが出てきた。いや、ただのチャーハンならまだ許せるが、ヤムヤムソースが無いではないか。こっちはヒバチが食べたいというか、ヤムヤムソースを味わいたいのだ。店員さんにミスを指摘してあげる。「すみません、ヤムヤムソースが無いんですけど」「え?何ソース?」「だからヤムヤムソース」「…ヤムヤムソースってなんですか?」天地がひっくり返るほど驚いた。

 

 その店員さんは店長らしき人を呼んできてくれたが、その店長もヤムヤムソースがなんなのか分からない。というか、このブログを読んでいる大半の人もわからないだろうが、ヤムヤムソースはヒバチという鉄板料理にかける甘ったるいソースである。田舎の太っちょアメリカ人はインチキ和食屋に行ってはヤムヤムソースを米にぶっかけて「日本のヤムヤムソースは美味しいのかい?HAHAHA」なんて無神経なことを聞きやがるが、これが確かにうまいんだなぁ…。

 

 この出来事に衝撃を覚え、数日後会社のアメリカ人同僚にヤムヤムソースについて聞いたが、NY出身の彼もヤムヤムソースなんて聞いたことがなかった。どうやら本物志向が強いNYにはヤムヤムソースなんて紛い物は存在しないらしいのだ。NYでは本格ラーメン屋居酒屋なんかが進出してきて、何料理にしても本場の味を持ち込む流れがあり、それはそれで大変素晴らしい。

 

 ただ、アメリカナイズされた和食だってオリジナルと全く風味が異なれば、それはコピーが本物を超えたと言ってもいいのではないか?そんなことを『ブレードランナー』でも言ってたぞ。と、ヤムヤムソース禁断症状が出てきているが、そもそも日本にはヤムヤムソースが存在していないことを考えると一番アメリカナイズされているのは自分なのであった。

 

和食ドリーム

和食ドリーム

 

 

*1: 

 

そこまでしてみんな観たいかね?

 このブログを度々読んでいる人なら僕がディズニー傘下になった以降の『スター・ウォーズ』に対するスタンスはお分かりだと思いますが、ここ数日このニュースに煮え切れない思いを抱いております。

 


 いえ、まあ、すでに2年前の段階で報じられていたニュースではあるので、こうなることは分かっていたんですよ*1。ただ記事にあるボブ・アイガーの「金が入るから作る」以上以下の何もないスタンスには改めて怒りを覚えます。というか、他人が作った基盤で金を儲けておいて、「『スター・ウォーズ』シリーズに関しては大きな野心を持っている」ってなんだよ。ルーカスが『スター・ウォーズ』でやり遂げたかった野心は映画界の革命であって、金を永遠に作り続けることしか考えない浅薄な計画の何をもって「野心」と呼ぶのか。

 

 というか、シリーズが長く続くことについて喜んでいるファンも多いですが、よくよく一度冷静になって考えて欲しいです。ジョン・ウィリアムズだってベン・バートだっていつまでも元気にプロジェクトに参加はしていないでしょう。ただ、「創造性の違い」と称して言うことの聞かないフィル・ロード&クリス・ミラーやコリン・トレボロウといった若手監督のクビを切ったり、世界観に合わないからと巨額を費やしてトニー・ギルロイに再撮影させたディズニーのことなので、「すごくよく似た」ものを作り出せるスタッフを連れて入れ替えていくのでしょう。

 

 そうして『スター・ウォーズ』はどんどん作り手を変えていきながら工業製品のように延々と量産・消費され続けて行くわけですが、それは本当に僕たちが観たかった『スター・ウォーズ』なのでしょうか。いや、百歩譲ってそれが皆さんの観たかった『スター・ウォーズ』だったとしましょう。でも、永遠に続くということは、自分が死ぬまでにシリーズが終わらない、ということですよ?つまり、死の床で「ああ、死ぬ前にエピーソド〇〇が観たかった…」と非常にモヤモヤした思いを抱きながら死ぬわけです。そんな未練たっぷりな状態でこの世をさったら親族に化けて出ること請け合いです。それはファンとして幸せな死に方なんだろうか?と、今一度立ち止まって皆さんの終活のあり方を冷静に考えて欲しいです。

 

 とか言いながら、一番タチが悪いのは批判するのに観にいってしまう僕のような人間なのだろうなぁ…。だって金が入る限りディズニーは『スター・ウォーズ』を終わらせないんだから。

 

 

 

*1:

 

行方不明になりました

 逆転した世界へ…。探さないでください。