答えはシンプル

 アメリカで今大きな問題となっているバトンルージュの悲劇。

  既に取り押さえられていたアルトン・スターリングという黒人男性が白人警官に射殺された事件で、今年に入って警官に殺された黒人は558人。今回の件が特異なのは一部始終を目撃していた人がスマホで録画しておりSNSで拡散されて大勢の人が警察の行き過ぎた暴力を見てしまったことだ。近年「Black Lives Matter(黒人だって生きている)」運動が盛り上がっている中でこの事件は起きた。

 

 僕のフェイスブックを見ると、いろんな友達がこの事件について意見を述べていて、当然多くが人種問題について触れている。「いつも殺されるのは黒人だ」と怒る人、「治安の悪い地域に配属されいてる警官だって大変だ」と主張する人。黒人と警官の両方の肩を持つ人。僕の友達はほとんど保守的なアーカンソー出身なので、リベラルの人もマイノリティの人たちも過去のいろんな経験をしているからか、人種問題にはある程度諦念が見える。僕が目にしたどんな意見も大抵結びはこうだ。「解決法が無い難しい問題だ

 

 いやいや、僕からしたらそんなもん小学生でも分かるくらい簡単だよ。そんなの100%銃社会だからに決まってんじゃん!当然人種差別の問題は無視はできないが、被害者は「銃を持っている」と通報されてこの悲劇が起きた。銃そのものがなければ警官に緊張が走らなかった*1し、こんな事件はそもそも起きてない*2。しかし、僕のフェイスブックに意見を投稿している人たちに人種差別に怒りこそすれ、この銃について触れる人たちは誰もいなかった*3。ちなみに1992年に日本人留学生がハロウィンで射殺された事件もこのバトンルージュだ。14年前から状況は何一つとして変わっていない。

 

 で、このシンプル過ぎる解決法をいつも複雑にしているのが全米ライフル協会と共和党と愉快な仲間たちだが、今回の事件を受けてそんな連中の言い分を皮肉った女性のツイートが拡散されて話題になっている。

ゲイクラブで乱射「皆銃を携帯して身を守るべき!」
警官がアルトン・スターリングを射殺「まあ、彼は銃なんか携帯すべきじゃなかったね!」 

 銃の権利を守りたい保守派の人たちは銃による乱射が起きると「銃を携帯してないのが悪い!」とか言うくせに、今回みたいに警官による不当な射殺が起きると「疑わしいことをするな!」とか言い始める。人種関係なく銃を携帯してたら嫌でも疑わしいよ!言ってることがめちゃくちゃで、自分たちの都合のいいようにコロコロ主張を変える。こんないい加減な連中を支持している層が一定数いるのも頭が痛くなる。

 

 今回の事件はまだまだ余波を残しそうだが、それにしても人が射殺される瞬間のビデオなんてどんなホラーより気分が悪くて見れないよ。横暴を晒すためとはいえ、よく皆んな拡散したよね。

 

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*1:ただし、当時スターリングは銃を手に持っていなかったので、明らかに警察が行き過ぎている。

*2:言っておくとヘイトクライムは銃があろうとなかろうとバカな連中がいる限り起きます

*3:ただし、僕の友達がほとんどアーカンソー出身だから、というのはある。世間一般の意見ではありません。