出張と言ってたくせに割と長めの更新してるので鋭い方はお気付きかもしれないが、今回はユル目の出張で接待が多く、今日は射撃場に行ってきた。そういえばアメリカに住んでもう4年になるが、僕は銃を撃ったことがなかった。個人的には銃所持には反対しているので今まで手に持つ気も起きなかったが、しかしせっかくアメリカに住んでいるのに銃を撃ってないのも人生経験上どうしたものかとも思っていたので、今回はいい機会だった。
射撃場は武器の販売所にもなっているので、店に入ると一面にズラリと並ぶ銃に圧倒される。僕は銃に疎いのでアクション映画を見てすぐに拳銃の製造会社や種類を言い当てられる人を尊敬するのだが、そうしたガンマニアが入ったら卒倒するんじゃなかろうか。
百歩譲って自衛のためにハンドガンの所持を許したとしても、ライフルとかショットガンとか大型の銃を普通に販売しているのはやっぱり引くなー。そりゃ乱射事件がなくならないわけだ。
僕が一番笑ったのは、店内に聖書が置いてあったこと。リチャード・リンクレイターの傑作『6才のボクが、大人になるまで。』でメイソンくんが15歳の誕生日に保守的な祖父母に渡されたのは聖書と20口径のライフルだった。イーストウッドの『アメリカン・スナイパー』でもムスタファとの死闘の後、クリス・カイルがライフルと聖書を砂嵐に置いていったのは彼が戦いを経て捨てたものを表していて象徴的だった。やはりライフルと聖書は保守系アメリカ人の精神に密接に結びついているものなのだ。
射撃場は一人17ドルくらい。反動が小さい分初心者には優しいという9mm口径のハンドガンを借り、50発$13の弾丸を2パック買う。僕が銃を撃ったことがないということが分かるとオーナーのおじいさんは面倒臭そうにレクチャーする。非常に意地悪い態度だったが、お前の説明不足でなんかのミスで僕が死んだらどうするんだよ。いや、僕が死ぬのはまだいいが、誤ってクライアントでも撃っちゃったらどうするつもりなんだよ!とイライラした。
さて、肝心の射撃体験。何度も書いている通り、生まれて初めて銃を撃つのでとんでもなく緊張した。なんていったって、一つのミスが命に関わる体験などあまりない。震える手で弾倉に銃弾を込め、スライドを引く。隣の銃声に一々ビックリしながら勇気を出して銃を撃った動画がこちらだ。
いやー、痺れる。火薬のパワーというものは凄まじく、スライドの勢いにもビビるし反動が半端じゃない。よくハリウッド映画のガンアクションはファンタジーなんて話を聞くが、身を以て実感する。片手なんかじゃとてもじゃ撃てないし、これで一番反動が小さい銃というのが意味が分からない*1。射撃場には信じられないことに小さい子供を連れてきている家族がいっぱいいたが、正直その感覚は理解できないし、分かり合える日が来るかもわからない。
そして射撃を初めて15分くらいだろうか、3人で交代交代100発全てを撃ち切った。最初はビビっていたけれど、慣れて来ると案外楽しくて的の心臓部や顔を狙う余裕が出て来る。終わった後に自分が撃った的の弾痕を確認していたが、そもそも的が人型なことに気づいて改めて銃は人を撃つために作られたものなのだと実感する。いやー、やっぱこんなの映画の世界で十分だよ、平和が一番。
さて、撃ち終わった銃をオーナーに返しにいく。僕が預けていた免許証をオーナーが僕に返却するが、オーナーがあることに気づく。「アーカンソー!?君はアーカンソーから来たのか、ガッハッハ!」と態度が豹変したのだ。流石アーカンソー、銃愛好家には好かれるね!