『シビル・ウォー』を観てきたっす!

 アレックス・ガーランドの新作『シビル・ウォー/アメリカ最後の日』を観てきたっす。昨日の『憐みの三章』と引き続いてジェシー・プレモンス祭りで、鑑賞した人が全員が全員話す「What kind of American are you?」のシーンの緊迫感には分かっていながらも震えました。

 

 このレイシスト剥き出しの処刑シーン含め、冒頭の大統領演説からして明らかにドナルド・トランプ以降のアメリカを舞台にしていますが、僕が本作が興味深いと思ったのは、過度に政治的にしていない点です。つまりどうもアメリカが分断しているのは右派対左派という単純なイデオロギー闘争のためではなさそうで、テキサスとカリフォルニアという一見水と油な州が連合を組んでアメリカ政府に挑んでいるという構図からもそれは明らかです。

 

 また、もう一つ面白かったのは本作の主人公をジャーナリストに設定している点ですね。これもトランプ時代以降ですが、社会はニュースやメディアというものを本当に軽視する社会になったなと思います。ニュースのYouTube動画のコメント欄を見ると偏向報道だとかフェイクニュースだとかいった類のコメントがあまりにも多すぎて辟易しますが、そういった中でジャーナリストの重要性を描いているのは素晴らしかったですし、また単にジャーナリスト讃歌でも終わらず、彼らの成果主義な冷酷さも描いているところがバランス取れていて本当に良かったですね。

 

 僕はアメリカの田舎町にも暮らしたことがありますし、ワシントンD.C.にもいったので、戦地として描かれるアメリカがとてもリアルで衝撃を受けました。これは確か2005年に読んだスピルバーグのインタビューでしたが、20世紀以後アメリカは戦場になったことがない唯一の先進国だそうで、それがスピルバーグにとっては『宇宙戦争』を撮るインスピレーションになったそうですが、今作も戦地アメリカを描いたことがこれほどセンセーショナルに人々の関心を得た一因だと思います。

 

 ということで、『シビル・ウォー』は文句なく面白かったですね!アレックス・ガーランドはやっぱり信頼できるなぁ。