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映画会社の人間は宇宙人なのか!?/『暗殺教室』☆☆☆と洋画配給珍騒動

 日本の映画関係者ってひょっとして宇宙人なんじゃないだろうか?と実写版『暗殺教室』のポスターを見かけた時に思った。断言してもいいが、『暗殺教室』の予告編なりポスターなりを見て「あ、この映画面白そう♪」と感じた人はいないはずだ。もしいたとしたら失礼だが、その人はとても純粋な人かその人もまた宇宙人に違いない。少なくとも僕の周りで実写版『暗殺教室』を『暗殺教室(笑)』以外の文脈で語っている人を見た事がない。

 
 言わずもがな、商業映画は投資ビジネスである。莫大な制作費をかけてそれ以上の利益回収を目指すハイリスク・ハイリターンな商業なので、まず失敗は許されない。ということは、少なくともこの映画の製作者たちは暗殺教室』は「当たる」映画だと信じて作っているはずだ。ここでまだ『暗殺教室』をよく知らないという人に、この映画のポスターと予告編を見て頂こう。
 

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 どうですか。あなたがこの映画のプロデューサーだったとして、出来上がった宣材を見た時、この映画は大ヒット間違いなしと確信を持って言えますか?
 
 言えたとしたらあなたも宇宙人かもしれない。僕だったら「プロデューサー!どうです、これ!」と一連の資料を渡されたらひとまずは必死の作り笑顔を返した後、トイレに篭って人に聞かれないようひっそりと号泣し、今後のことを考えて悩み抜いた挙句、一切の連絡を絶ってハワイに逃げる。*1
 
 ところが、現にこうして娯楽映画として、しかも全国ロードショー作品として世に出ている。この不安しか感じないコスプレ映画が春の一押し映画として売られているのである。
 
 一体全体どういうことだろうか?ひょっとして、この映画には予告編やポスターからは伝わらない魅力があるのではないか?それともそれこそ「この映画を公開しないと地球を破壊します!」と未知の生命体から脅迫を受けてるんじゃないだろうか?今邦画界で一体何が起きているのか?
 
 『暗殺教室』のことを考えれば考えるほど沸く好奇心には勝てず、僕はついに映画の日に『暗殺教室』を観に行くことにした。周囲からはまるでイスラム国へ向かうジャーナリストのような目で見られ忠告を受けたが、実情は戦場(劇場)に行かないとわからないじゃないか!真実を自分の目で確かめたいじゃないか!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 案の定とんでもない事故物件だった。
 
 細かいところを挙げればキリがない。脚本はキャラ紹介に終わり、CGはヌルヌル、二ノ宮和也のヌルフフフ、どいつもこいつも演技はヘタだし動きもとても殺し屋には見えず、アクションシーンは会話→攻撃のターン制でテンポが悪い。というかそもそも殺す最中に会話って、こいつら「暗殺」の意味分かってるのだろうか?
 
 何より、ポスターだけでも耐え難いものがあったコスプレ役者たちが実際に動いて喋っているところを見るのは想像以上に衝撃的だった。これはコミケ会場のドキュメンタリーか?ここでもう一度冒頭の疑問に戻る。スクリーンを通して観てもこんだけ酷いのに、これ現場で誰も「これヤバくない?」と思わなかったのだろうか?
 

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▲正気の沙汰とは思えないギャラリー①

 
 僕はこの記事で散々「宇宙人」と揶揄してきたけど、当たり前だけどこの映画の製作者達だって人間である(と信じたい)。僕たち観客と同じ感情やセンスを持っているはずだ(と信じたい)し、僕たちが明らかに不自然な役者の神や服装を見て「これヤバいわ…」と感じる同じ脳で「これヤバいな…」と感じているはずである(と信じたい)。
 
 もし僕と同じ人間たちがこの映画を作っているのであれば、もう何がどうしてこうなってしまったのか理解に苦しむ。羽住英一郎監督のトレードマークである寒いエンドロールも合わさって邦画界の闇を久々に垣間見た気分だった。
 

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▲正気の沙汰とは思えないギャラリー②

 
 
 ただ、この問題が邦画界に留まっているのであればまだいい。(全然良くないけど) 先週1週間は配給会社って一体なんなんだろうか?と洋画ファンが一斉に悩まされる1週間となった。
 
 まず4月13日(月)に既に試写を見たジャンクハンター吉田氏(@Yoshidamian)らの証言により、5月23日公開予定のSF映画『チャッピー』のバイオレンス描写が日本公開版では数カット消去されていることが発覚。

 

 続く4月14日(火)には6月20日公開予定の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の吹き替えタレントが発表、竹内力真壁刀義、そしてEXILEAKIRAがマックスの声を務めることが判明した。

 

 4月15日(水)には先日のカットの件で問い合わせが殺到したソニー・ピクチャーズが、公式Twitterを通して質問に対する返答を発表、編集は米国本社と協議し監督の賛同を受けた上だと釈明

 

 上記を受けて次の4月17日(木)に日本のファンが『チャッピー』の監督ニール・ブロムカンプのTwitterアカウントにリプライを送ると、ブロムカンプは「そんなことは聞いてない!」とソニーの発表をいきなり覆すツイート

 

 止めは4月19日(土)、ディズニーが『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』の公式サイトを更新、本作のキャッチコピーが「この映画を、<愛>を知る全人類に捧げる―」となったことが発覚する。

 

 なおあえて書かなかったが、どの日も新情報が発覚する度に僕のTLはマッドマックスばりの大荒れ模様を見せていたことは言うまでもない。

 

 もう本当に呆れる暇もないくらい次から次に各映画会社が夏興行に向けた愚策を発表していったスペシャルウィークだったが、どれもこれもほんの数秒でもちょっと考えればどうなるか分かるようなことだらけだ。

 

 各映画配給会社の人間は僕たちと同じように映画が好きな人間であるはずだ(と信じたい)し、映画好きなら『第9地区』でデビューしたニール・ブロムカンプのバイオレンス描写を監督の許可なしにカットしたらファンがどう思うか分かるはずだ(と信じたい)し、映画好きなら『マッドマックス』のファン層を理解していて話題だけのためにEXILEの兄ちゃんを起用することはしないはずだ(と信じたい)し、映画好きならマーベル映画の集大成となる映画が愛の映画ではないことは知っているはずだ(と信じたい)。

 

 だからこそ前半で述べた『暗殺教室』と合わせてもこの国の映画事情には本当に理解に苦しむ。まさかとは思うが、まさか日本の映画産業を廃れさせたいと目論んでる訳ではあるまい。恐らく、映画を作る人間たちも映画を流す人間たちも同じ映画好きの人間としてこの国の興行を盛り上げたいと考えているはずだ。

 

 だったらなんで…と考えると堂々巡りになるのでもうここら辺で止めておく。代わりに僕はある仮説を立てた。

 

 今日本には色んな映画会社がある。邦画なら東宝東映、松竹など、洋画ならソニーピクチャーズ、ワーナー、ディズニーなど。これらの会社は映画興行を巡って競争し合っているように見えて、実はそれらすべての会社の裏で恐ろしいまでにセンスが無いたった一人の宇宙人に牛耳られているのだ!

 

 そうじゃないともう色々と説明つかないよ!

 

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*1:勘違いしないで欲しいが、当然僕は原作のことは一言も言及しておらず、あくまでこの映画のことを言っているのである。