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ツンデレサラとカイルのドキドキSFラブコメディ☆/『ターミネーター:新起動/ジェニシス』★☆☆

感想 映画

 日本では本日より公開の人気シリーズ第5弾『ターミネーター:新起動/ジェニシス』を先週アメリカの映画館で鑑賞。『ターミネーター3』以来12年ぶりにアーノルド・シュワルツェネッガーがT-800として復帰。『ゼロ・ダーク・サーティ』『猿の惑星 新世紀』のジェイソン・クラークがジョン・コナー役を、テレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』で注目を浴びた新人エミリア・クラークがサラ・コナー役を、『アウトロー』『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のジェイ・コートニーがカイル・リース役を演じる。他にもイ・ビョンホンやJ.K.シモンズらが出演する。

 

※本作の出来がちょっとアレだったためウトウトしてたので完全にストーリーを理解しているか不安ですが、大筋は把握できていると思います。予告編でわかる範囲のネタバレはあります。というかあの宣伝戦略的にネタバレがあるのかも分かりません。

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  人類と機械の戦争が激化した2029年。革命軍を率いるリーダー ジョン・コナー(ジェイソン・クラーク)は戦争を終結させるためスカイネットに大規模な戦闘を仕掛ける。革命軍が勝利をつかむ直前にスカイネットはサラ・コナー(エミリア・クラーク)を暗殺するためT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)を1984年のLAに送り込む。ジョン・コナーの右腕カイル・リース(ジェイ・コートニー)は自ら志願し、彼女を守るため1984へ向かう。

 

 しかし1984年に降り立ったジョン・コナーはT-1000(イ・ビョンホン)の急襲に遭う。窮地に追い込まれるジョン・コナーであったが、彼を救ったのはまさかのサラ・コナーその人であった。「死にたくなかったら来なさい!

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 冒頭に書いたように『ターミネーター』シリーズも製作会社が潰れたり権利があっちこっちに渡ったりしてるうちに5作目である*1。作られるたびにジェームズ・キャメロンが監督した『1』や『2』にあった重みは消えていき、本作はまるで薄葉紙のようにペラッペラだ。2ヶ月くらい前破壊屋さん(id:hakaiya)が「シリーズ最高傑作は『T3』だ!」*2という愛のある記事を書いてTwitterでちょっとした論争が起きたが、いまにして思えば『ターミネーター3』の方が本作と比べたら農業機械と自転車ほどに演出の重みが違うし、『ターミネーター3』の方がよっぽど『ターミネーター』していたなぁと思う始末であった。

 

 『ターミネーター:新起動』のプロット自体は良い。タイムトラベルという題材がリブートに相応しいし、冒頭30分は初代『ターミネーター』を完コピしていて、前日に『T1』を予習していたこともあって感動したし、永遠にこのシーンだけ観ていたいとさえ思った。『T2』におけるT-800とジョンの疑似父子関係が今回T-800とサラに当てはまるのも面白い。機械であるはずのT-800がシュワルツェネッガーの実年齢に合わせて老ける理由も実に合理的*3だし、予告編でネタバレするのは意味わからないけどジョン・コナーを悪役にするのもシリーズに新風を吹かせるためには悪くない。

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 なのに『ターミネーター:新起動』にはビジュアル面に全く新しさがないし、むしろ『T1』や『T2』に劣ってさえ見える。がっくりきたのは新型ターミネーターのT-3000。T-3000の機能はナノマシンを操って自在に形を変えることで…ってそれT-1000とどう違うんだよ!映像革命云々を抜きにしても液体金属型というぶっ飛んだアイディアを1991年の時点で編み出していたジェームズ・キャメロンは色々言われていよう*4とやっぱり神だったんだと、4半世紀近く経っても未だにT-1000を引きずってる辺りからも伺えるんじゃなかろうか。

 

 ただし、『ターミネーター:新起動』は負け戦でもある。シリーズは作られるたびに評判は悪くなっていく一方だし、製作中からプロットも流出して炎上なんかしちゃったりもして、それこそ本作は機械に虐げられる人類のように可哀想だった。批判するのは簡単なので、見方を変えて僕が面白いと思ったポイントを一つ挙げるとすれば、本作はサラ・コナーとカイル・リースのラブコメにもなっている点だ。

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 『T1』は暗殺を阻止するためにサラを守りに来たカイルが実はジョンの父だった、という親殺しのジレンマの逆バージョンみたいな部分が面白かったのだが、なんと今回のサラは自分がカイルと結ばれることを知っているのである。ところが今回のカイル・リースは出鼻からサラに守られちゃうし、聞き分けが悪くて味方のT-800(ちなみにサラはこの個体をPop(パパ)と呼んでいる)を何度も壊そうとしては気絶させられる。こんな情けないカイルを見てサラは「こんなヤツと結ばれるなんてたまったもんじゃないわ!」とツンツンしている。

 

 なので『ターミネーター:新起動』は「サラはスカイネットの魔の手から生き延びることができるのか」というシリーズの基本的な部分とは別に「険悪な出会いから始まったサラとカイルは果たして結ばれるのか」というラブコメ的なサスペンスも盛り上げているのだ。ああ、叶恭弘先生あたりに描かせたいなぁ!


映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』第2弾予告編 - YouTube

 

 

 

*1:というかこの際はっきり言って、お前らは何回スカイネットの阻止に失敗しとるんだ、と身も蓋もないことを言いたい。

*2:

hakaiya.hateblo.jp

*3:まあ、合理的だからといってみたいかどうかは別の問題なんですけども。ただ最新技術を駆使してシュワ全盛期のT-800を生み出したのは素晴らしい!T-800VS老T-800のシーンだけなら満点だなぁ。

*4:誰がなんと言おうと僕は『アバター』を断固支持します。トゥルーク・マクト!