【サルベージ記事】2011年映画ベスト&ワースト【2011/12/24】

 すっかり忘れていたが、3月31日をもってYahoo!ジオシティーズが終わった!つまりネットという広大な海から当ブログの前身「尾も白いの探して。」は消えてしまったという訳だ。しかし今更だが何というダサいサイト名だったのだろう。

 

 幸いなことに、ジオシティーズの閉鎖が発表されてから間もなく僕はサイトをローカルフォルダにダウンロードしておいた。小学校から大学時代初期まで続いたサイトだったが、どの記事も自分の幼くて拙くて未熟な部分ばかり透けて見えてきており、あまりにも恥ずかしいので全ページを別のホームページサービスにアップする予定はまるでない。

 

 と言いつつも、自分で言うのもなんだが、読み返すと結構好きな記事もある。今後「SUPERBAD-ASS」を運営していく中で、再度引用する記事や逆に今じゃ思いつかないことを指摘している記事もある。そういった記事はもったいないし折角なので当ブログにアップし直していこうとは思う。

 

 そんなサルベージ記事第一弾は2011年のベスト&ワースト記事。今となっては恒例となった、僕が年間映画ベスト&ワーストを選び始めた記念すべき最初の年でもある。平成どころかテン年代も終わろうとしており、当然当時と今では自分の好き度具合が変わった作品もあるが、テン年代初期に僕はどういった作品をどういった理由で選んできたのか、改めて読み返していきたい。


※以下、2011年12月24日に書いた記事です。敢えて誤字脱字やPC的に酷い表現や笑えない冗談など、そのままに残しています。悪しからず。あまりにもひどい文章には注釈でツッコミを入れています。

 

 2011年もついに年末となりましたので、今年1年を振り返ってみたいと思います。前にもどこかに書いてますが、僕は中高6年間を寮で暮らし卒業後も1年浪人していたため、7年間も中々自由に映画が観れない生活を送っていました。なので、映画が大好きなのに一般的な映画ファンと比べて鑑賞本数が遥かに少ない事が一種悩みでもありました。しかし今年は抑圧からようやく解放された反動か、47本の新作映画(うちDVD3本)を観ました。これでも他の映画ファンと比べたら少ないとは思いますが、自分の中では大きな機転だとは思っています。今年は大学の映画サークルに所属した事も僕の映画人生の中で大きな機転でしょう。毎日映画の話が出来るのは幸せ。『ツリー・オブ・ライフ』『大鹿村騒動記』なんかは映画サークルに入ってなかったら永遠に観る事は無かったでしょう。

 前置きが長くなりました。それでは僕の2011年に公開された映画ベスト&ワースト10を発表したいと思います。


【ベスト10】

 

【ベスト10:短評】

 映画の完成度よりも、どれほど僕が好きで、観ていて如何に興奮、衝撃を受けたか、を基に順位付けしています。なのであんまり気にしないで下さい。

1. サイモン・ペグとニック・フロストコンビによる待望の新作。彼らは盟友エドガー・ライトとともに『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ/俺たちスーパーポリスメン!』と映画愛に満ちたコメディ作品を世に出し、好評価を得てきた。僕が唯一観ていたのは『ホット・ファズ』だけだが、正直に言ってしまうと自分の映画的教養が全くないため、特に『ホット・ファズ』がオマージュを捧げている刑事アクションをほとんど観ていなかったため、周囲が褒めるほど傑作だとは思えなかった。というか傑作かどうかすら分からなかった。
 しかし、『宇宙人ポール』は自分の大好きなスピルバーグやルーカスの70年代後半から80年代のSF映画への愛をビンビンに感じ、まさにドストライクゾーンだった。サイモンとニックのコンビが発表している映画は、『最終絶叫計画』シリーズのような単なるパロディではなくて、彼らが愛している映画へのリスペクトとオマージュに満ちた作品なんだということをやっと理解できた。ちなみに本作にエドガー・ライトは参加していないが、今年公開されたライトの『スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団』も最高に面白かった。
 また、『宇宙人ポール』は作品内容だけでなく、鑑賞環境も良かった。僕は9月にしたまちコメディ映画祭の映画秘宝まつりで本作を鑑賞したが、まず上映前に映画評論家の町山智浩さんと浅草キッドの3人によるトークで映画の背景など予備知識を勉強して下ネタトークであったまり、本編が始まると観客全員で一丸となって楽しんだ。面白いシーンには皆で手を叩いて笑い、エンドロールには拍手が起こる。映画鑑賞のライブ性というものを実感したが、アメリカの劇場ではこれが一般スタイルなのだろう。日本でもこのような鑑賞スタイルが定着して欲しい。

2. 『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』と常に評価が高いアニメを発表し続けているブラッド・バートの実写初監督作品。ある程度期待はしていたが、その値を遥かに上回るほどの大傑作だった!シリーズ最高傑作である事は言うまでもなく、アクション映画としては一種の究極の形であると断言しても構わないだろう。伏線の置き方が絶妙で、観ていて気にならないような仕草が後の大きなアクションやドラマに繋がっていくなど芸が細かく、アクション映画の最高峰『ダイ・ハード』を彷彿させる。テンションの操り方も上手く、サイモン・ペグも出演していてユーモアもあり、流石はピクサー出身の監督だ。ピクサー作品をそのまま実写化したようなクォリティである。

3. 幅広く映画を観ようと決心した直後に観た映画であり、全く鑑賞予定にもなく粗筋すら全然知らなかったため良い意味で驚かされた。幻想と狂気に満ちていて、コテコテのハリウッド映画を主食にしていた僕にとって最高のスパイスだった。後に本作の姉妹ともいわれ、同じダーレン・アロノフスキー監督の『レスラー』も観たがこれもまた傑作であった。『ロッキー』がシルベスター・スタローン、『レスラー』がミッキー・ロークの俳優人生を体現していたように『ブラック・スワン』もニナがそのままナタリー・ポートマンの人生のメタファーとなっており、アカデミー主演女優賞も納得である。また、個人的にナタリー・ポートマンは『スター・ウォーズ』シリーズから応援していた為、彼女がオナニーやレズプレイを演じたときの衝撃は小学校時代の憧れのあの娘がAVデビューしたときのそれと等しい。いや、そんな経験無いけど…。

4. 今年はスピルバーグリスペクとの映画や彼が関係している映画がたくさんあった。そして3年ぶりのスピルバーグ最新作はやっぱり面白かった!冒険映画の高揚感を久しぶりに味わうことができ、『レイダース』を劇場で観るチャンスが無かった僕たちの世代にとって本作が如何に貴重な映画か。「子ども版『インディ・ジョーンズ』」なんて揶揄してる連中はそのありがたさを分かってない!
 また、本作はスピルバーグが初めてアニメ、3D、デジタルに初めて手を出したことも忘れては行けない。パチもんの3D映画が流通知る中、やはりスピルバーグは巨匠と呼ばれるだけあって器用であり、存分にアニメや3Dとしての特質を活かした映画となっている。なので『タンタン』こそ劇場で観て欲しい映画だが、まさか日本では『怪物くん』『けいおん!』にも負けてしまうとは…。

5. 『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで有名なゴア・ヴァービンスキーの最新作。映画ファンの間では『パイレーツ』シリーズは駄作という認識が主流だが、僕はむしろ2作目も3作目も大好きで、確かにストーリーが意味分からなくても楽しく観れたのは娯楽映画を得意とするゴア・ヴァービンスキーの手腕による所が大きいのではないかと分析している。その彼の娯楽性が存分発揮されたのがこの『ランゴ』で、それだけでなく『宇宙人ポール』と同じように映画、特に西部劇への愛に満ちた傑作となっている。

6.7.  はどちらもドキュメンタリーの傑作で、テーマ的にも監督が愛する人との死別と似ている。正直どちらの順位が上でも良い。ただ、前者の方がより主観的な内容となっている。ドキュメンタリーなんて今まで劇場でもDVDすらも観た事が無かったが、「松嶋×町山 未公開映画を観るTV」も観るようになって案外一般の映画にも負けない傑作が多く潜んでいることを知った。

8. 三池崇史の最新作にして海老蔵復帰作。この映画の魅力は何においても市川海老蔵の演技にある。あの事件以来市川海老蔵はずっとネタにされてきたが、やはり彼が高慢を振るうだけの演技力があることが実証された。三船敏郎に勝ると言っても過言ではない。まあ、だからといって高飛車な態度をとっていいとは限らないんだけど…。でも素晴らしい事には違いないし映画の内容も面白いので、海老蔵が嫌いだからといってこの作品を観ないのは非常にもったいない事である。本作も興行的には振るわなかった。実に惜しい。

9. 原田芳雄の遺作となった人情喜劇。この撮影時既に原田芳雄は病に冒されていたというのに全くそれを臭わせることもなく渋い演技を見せてくれて、彼もまた素晴らしい名優であった。原田芳雄はうちのサークルの縁の人でもあるが、そもそサークルに入らなかったら原田芳雄なんて名前すら知らなかっただろう。代表作『浪人街』でも観てみようかしら。

10. 底抜けハリウッド超大作。酷評された2本目を反省して脚本を練るとか言っていたくせに、お話は今までと何も変わらずバカ映画のままだ。今年公開されてこの映画より完成度の高い映画なんて山とある。それでもベスト10にランクインさせてしまったのは映像面が突出して良かったから。まあ、その点は『ツリー・オブ・ライフ』と同じだと思って下さい。

 

【他にもこんな映画が面白かった!】

 


【ワースト10】

1位:カルテット!~Quartet!~

2位:忍たま乱太郎

3位:ツーリスト

4位:ワイルド7

5位:婚前特急

6位:グリーン・ランタン

7位:パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉

8位:スカイライン/征服

9位:ナルニア国物語/第三章:アスラン王の魔法の島

10位:ステキな金縛り

 

【ワースト10:短評】

1. 今日観て来ていきなり1位にランクイン。 観賞後「殺すぞ!」以外の感想が見当たらなかった。*1舞台は我が浦安で、僕もエキストラで参加しています。それだけに被災地である事を強調した宣伝やEDロールには心底腹が立った。被災地を食い物にしてるのはテメー等だろーが!それを差し引いたとしてもどうしようもないお涙頂戴物だったので、ワースト1とさせて頂きました。

2. 『カルテット!』が登場するまでぶっちぎりのワースト。子ども向けではない、子ども騙しである。今年三池崇史は『一命』も撮っているが、まさかのベスト、ワースト両方ランクインとなった。

3. このメンツでこの出来かよ!俳優や監督の独りよがりの映画をオナニー映画と呼ぶが、これはジョニデとアンジーをひたすらセクシーに映すためだけの映画なので2人のセックス映画だ。アクションの演出も酷かったし、サスペンスとしてのオチも悪い意味で驚愕もので、出来の悪さを笑うしか無いコメディ映画。

4. 今更ドヤ顔で『ダークナイト』の劣化コピーを作られても…。羽住英一郎は『銀色のシーズン』も酷かった。

5. 最低女が最低のまま幸せになるラブコメ。これで吉高由里子が嫌いになりました。*2それも監督の意図なのである意味成功とは言えるけど…。

6. 『バットマン』『ハリー・ポッター』終了後のワーナー・ブラザーズが心配になる…。マーベルと比べてDCコミックスの実写化はコケまくり。この作品には「怒り」というか「可哀想」という感情を抱いてしまった。

7. ★★☆という評価にしたけど、今思うとバルボッサしか観る所は無かったなぁ。大好きなシリーズがこんな事になって悲しい。やっぱりヴァービンスキーの手腕は大きかったよ!

8. 『世界侵略:LA決戦』のパクリ映画。『スカイライン』の方が好きという人は多いけど、僕は逆。しかし低予算でここまでインベーションやったのは評価に値する。それだけに脚本が残念…。

9. 『パイレーツ~』と同じくこれもアンドリュー・アダムソンからマイケル・アプテッドに監督が替わってから大きくパワーダウン。クライマックスが船の上という、なんとスケールの小さい冒険だろう。3D効果も失敗してた。

10.  三谷幸喜大好きだったのに残念です…。

 

【他にもこんな映画がつまらなかった!】

 


【2011年総評】

 今年は下半期に傑作が多かった。ベスト10を観ても9~12月にかけて公開された映画が多数を占める。逆に上半期に元気が無く、「面白いんだけどもう一歩かなぁ…」という惜しい作品ばかりで、いつまでたっても2010年製の『ブラック・スワン』がトップだったので心配していた。

 印象的だったのはPIXARの不調。創立以来傑作ばかりで毎年のベスト10にもランクインさせている(未発表)*3が、ジョン・ラセター親方が出向いた『カーズ2』は佳作どまり。しかしつまらないというわけではないので、このレベルで叩かれているPIXARもまだまだ安泰という所だろう。アニメでは一方で『ランゴ』『タンタンの冒険』など実写を得意とする人たちが活躍しており、PIXAR出身のブラッド・バードが『ミッション・インポッシブル』を作った事は興味深い。

 邦画がベスト10に多くランクインしているのも珍しい。いや、単純に邦画を観るようになったからか…。しかし、ワースト10は邦画と洋画が半分ずつなのも特徴的。

 観なかった事を後悔した映画は『ハング・オーバー!!~史上最悪の二日酔い、国境を越える~』『ピラニア3D』『マネーボール』『レア・エクスポーツ』、評判の悪い映画だと『高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』。両方ともタイトル長いな!

 来年は『ダークナイトライジング』『メリダとおそろしの森』に期待!
 
(引用ここまで)

 

 という訳で、今日は2011年ベスト&ワーストをお送りしました。しばらくは過去ページからのサルベージログをお送りしたいと思います。書くネタ考えなくていーし。

 

映画秘宝 2012年 03月号 [雑誌]

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*1:当時激怒していたとはいえ、今読み返すと酷い物言いです。僕も今や映像業界の端くれなので、今後は言葉を選びます。関係者の方々には謹んでお詫びします。

*2:演じる役と役者とは別だという事を当時は理解できていませんでした。当時は『カルテット!』に出ていた剛力彩芽のこともボロクソ言っていて、今では反省しております。

*3:この年初めてベストテンを選んだはずなのに、何を言っているのかが意味が分からない。