神は7日で天地を創造し

 ドナルド・トランプは8日でアメリカを壊した。

 

 一部では「不法移民を取り締まるだけ」と言われていたトランプの移民政策ですが、実際には就労ビザグリーンカード保持者までもが中東7カ国からの入国を禁止され、全米各地の空港で大混乱が起きました。保守派が多いとはいえ、さすがにアーカンソーの友達もFacebook上で朝から大騒ぎでした。結局連邦裁判所により入国禁止令は阻止されましたが、トランプが大統領になってからわずか1週間強でこの混迷っぷりには頭がクラクラしてきます。

 

 実は僕も正直、トランプが大統領になったらまともになるんじゃないだろうか、と淡い期待はしていたんですけど、本当に現実逃避でしかありませんでしたね。というか、本当に『サウスパーク』で言ってた通りになってんじゃん…

 大統領選の候補のうち、そのうちの一人は思いついたままのことを発言するぶっ飛んだバカ野郎だったんだ。彼はなんの解決法も示さず、ただ人々の怒りを煽る発言ばかりしていた。私たちはそれを面白がっていた。

 

 誰も彼が大統領になるとは思ってもいなかったし、冗談だと思っていた。ただ、私たちはその冗談を野放しにしすぎてしまったんだ…。彼は益々勢いづいていき、私たちがついに「いい加減真面目にやろう、誰が大統領になるべきか決めよう」と言おうとしていたとき、彼はすでに執務室に入っていた…。私たちは目を向けてなかったんだ…目を向けてなかったんだ!

狂ってるのは俺か?それともこの世界か?

 終末時計が残り2分半に近づいたことで賑わっています。

 

 しかし字面の不吉さに反して「終末」や「世紀末」という言葉にワクワクしてしまうのは何故なんでしょうね。パッと誰もが思いつくのはやはり『マッドマックス』でしょうか。

 

 『猿の惑星』シリーズも終末映画と言っていいかもしれません。『続・猿の惑星』のラストにはビックリしたなぁ。

続・猿の惑星 (字幕版)
 

 

 深作欣二が手がけた和製SF『復活の日』も邦画とは思えない壮大なスケールでウィルスにより絶滅の危機に瀕した人類を描いています。 

 

 少し変わった終末映画としては、地球滅亡の日にスティーブ・カレルとキーラ・ナイトレイが思いがけない出会いをするSFロマコメ『エンド・オブ・ザ・ワールド』があります。

エンド・オブ・ザ・ワールド DVD

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 世界が終わるって?じゃあ生き残った仲間でパーティするか!とボンクラ極まりない思想で作られた『ディス・イズ・ジ・エンド』もオススメです。

 

 こうして好きな映画を並べてると「あれ?終末も悪くないんじゃない?」と錯覚してしまいますが、現実にはコレですからね。

 

全然ワクワクできねぇよ、全く!

宗教ポルノ

 先週末始まったばかりのスコセッシの『沈黙 -サイレンス-』が明日で終わっちゃう!と慌てて観に行く。3時間のドッシリとした骨太さに満足していたが、一緒に見に行った友人(アイルランド人とメキシコ人というカトリック系)からどれほど聖書になぞらえて話が展開されていたかを聞いて目から鱗がボロボロ落ちる。「なんで1週間で終わるんだよ!」と思ったけど、むしろ南部で真っ向から信仰心を問うこの映画が客を集めるはずがない*1ね、上映されただけで奇跡だな。感想は近いうちに書きたい。

 

 しかし宗教を題材にした映画は月に何本か上映されるんだけど、この間も『The Resurrection of Gavin Stone』というクリスチャン・コメディが公開されていた。クリスチャン・コメディって字面だけでヤバ味が半端ないが予告編はもっと濃い…。何気に主演が『エージェント・オブ・シールズ』でウォードを演じてたブレット・ダルトン

 

 他にも嫌になっちゃうくらい予告編を見かけるのが3月公開のサム・ワーシントン主演『The Shack(小屋)』。初めて予告編を観たときは「お、ホラーかサスペンスかな?」とワクワクしたら、後半の胡散臭さに戦慄した…。

 

 こういう映画はまあキリスト系団体から資金をもらって製作されて、宗教の気持ちい部分ばかり観せているいわば幸福の科学が作る映画となんら変わりがないのですが、そういった点で宗教ポルノと名付けたい。

 

沈黙 (新潮文庫)

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*1:南部だけでなく、実は全米で興行的にちょっと苦戦している

タダでPV撮らしてくんない?

 最近友達に教えてもらったユダヤ人ラッパーのリル・ディッキー(Lil Dicky:ちっちゃいちんぽ)が面白い。

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 彼はミスター・レフトワード・スローピング・ペニス(Mr. Leftward Sloping Penis:ミスター・左曲がりちんぽ)やヤング・ディック(Young Dick:幼いちんぽ)という変わり名も持っていて、その芸名から分かる通り彼はコメディ系のラッパーだ。2013年にデビューした「Ex-Boyfriend(元カレ)」という曲で、彼女の巨根の元カレに嫉妬する心境をユーモラスに歌って注目を集めた。

 

 彼がマリファナでバッドトリップを起こした時の気持ちを歌った曲「Too High(ハイになり過ぎた)」のMVはまさにハイになった状態をカメラワークや広角レンズで再現されている。ちなみに「Ex-Boyfriend」も「Too High」も『So Hard(めっちゃ硬い)』というアルバムに収録されている。ちんぽにこだわり過ぎだよ!

 

 このようにリル・ディッキーは曲だけでなくMVも趣向を凝らしていて面白いのだが、僕が特に気に入ったのは「セイヴ・ダット・マニー($ave Dat Money:節約しよう)」。このMVは曲名通り「いかに一切金を払わずして豪華なMVが作れるか」をコンセプトにしていて、曲の合間合間に実際にロケ地やランボルギーニの借用を交渉している様子を挿入している。そして出来上がったMVは笑っちゃうほどヒップホップのMVあるあるで確かにすごく豪華!

 

 クリエイティブなMVはOKGOとかが有名だけど、製作過程自体がクリエイティヴなのは新鮮だ。リル・ディッキーはヒップホップ専門誌XXLでも注目のアーティストに選ばれており*1、今後の活躍が楽しみだ。それにしてもユダヤ系でお笑いやってる人たちのこの安心できるボンクラ感は一体なんなんだろうか…。

 

Professional Rapper

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*1: