クソまとめサイトは世界共通

 ちょっと前に僕の友達がテレビに出たことがあって、次の日には「〇〇さんのインスタは?学歴は?彼女は?徹底的に調べて見ました!」系のクソまとめプロフィールサイトが作られていてクッソ笑いました。インスタも学歴も本名ネットで検索すればすぐ出てくるのに、そのページは「現在調査中で見つかっていません。分かり次第報告します!」と書いてあるのも、一周回って可愛くすら感じる。リサーチ能力低すぎるだろ!

 

 これ、日本特有のネット文化かと思ったら、去年オークワフィーナのことを調べた時に「オークワフィーナの年齢は?身長は?恋人は?収入は?レズビアンか?調べて見ました!」系のサイトが出てきて、アメリカにもゴミカスまとめブログ文化があるんだと知って驚きました。

 

 で、こういうサイトは見るだけ時間の無駄なので、あまりリンクを踏まないようにしていたのですが、スマホChromeでトップページのオススメ記事紹介に、スパイク・リー御大のクソまとめサイトが出現し、そのタイトルがスパイク・リーの本職は?」だったので、思わず二度見してしまいました。

 

 いや、まあ、僕も去年からNBAファンになり、スパイク・リーが熱心なNYニックスのファンであることはつい最近知りましたよ*1。かように、ある種のクラスタにとって常識なことは、全くの畑違いの分野を専門にしている人にとっては、意外な事実であることは多々あります。なので、自分にとって常識のことを相手が知らないからと言って、ニワカと詰ってマウントを取る事は非常に良くない事です。

 

 …よくない事なんですが、それにしたって、それにしたってですよ、スパイク・リーはバスケファンである映画監督であって、映画監督をしているバスケファンではないはずなので、このまとめ方はあんまりじゃないですか!

 

 ちょっと前にライムスター宇多丸をモデルとしたキャラクターが『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』に登場し、原作者の岸本斉史から「ラップをする映画評論家の方をモデルにしました」とコメントされ、宇多丸さんがラジオで怒っていたことを思い出しましたね。

 

 

 

治験にはパンデミックが必要?

 あんまり気分が明るくなる話ではないですが…。

www.nikkei.com

 

新型コロナウイルス感染症の治療薬候補「アビガン」の臨床試験(治験)が遅れ、7月以降にずれ込むことがわかった。6月中に終了する予定だったが、足元で新型コロナの感染者数が急減し、治験の参加者数が目標に届いていない。治験の進捗次第では、承認手続きがさらに遅れる可能性がある。

(中略)

治験に参加する大病院のベッドが4月は重症患者で埋まり、治験の対象となる軽症・中等症の患者が少なかったことや、足元では感染者数自体も減ったことなどで参加者を集められなかった富士フイルムは治験を受け入れる病院や地域を広げて参加者を募っている。

 

 これを読んでいて思い出したのは、つい数日前に読んだこんなニュースです。

toyokeizai.net

 

新型コロナウイルスによるパンデミックの第1波は、どうやら収まりつつあるようだ。だがワクチン開発者にとっては、これが障害になりかねない。

(中略)

英ウォーウィック・ビジネス・スクールで既存薬再開発を研究するエイファー・アリ氏は、「治験を成功させるためには、人々が市中感染のリスクに晒されている状況が必要だ。ウイルスが一時的にせよ排除されてしまっていれば、治験も無駄になる」と話す。 

 

 つまり、今人類が渇望している新型コロナウイルス感染症を治すための治療薬も、予防するためのワクチンも、承認や開発する為にはある程度ウイルスが市中に蔓延している必要がある、という皮肉な実情が明らかになって来ました。本来は強力な都市封鎖により、感染者数の「カーブをフラットにする」ことで、時間を稼いでいる間に医療体制を整えて第2、第3波に備える「ハンマー&ダンス戦法」が*1世界各国の主たる新型コロナ対策だったはずなんですが、ますます厄介な疫病ですね…。一刻も事態が収まることを祈ります。

 

ワクチン: 基礎から臨床まで

ワクチン: 基礎から臨床まで

  • 発売日: 2018/10/15
  • メディア: 単行本
 

 

新型インフルエンザに(恐らく)感染していた時の話

 今年はもう何と言ってもコロナの年ですが、人類はコロナの前にも何度も感染症の危機と戦ってきました。僕が高校3年生の時、新型インフルエンザが日本で大きなパニックを起こしました。そして、よくよく考えてみると、そういえば僕は新型インフルに罹っていたんだなぁ、ということを最近思い返しました。(以下に登場するクラスメートの名前は全て仮名とします)

 

 当時、僕は刑務所のような全寮制の高校に通っていました*1。僕は進学クラスに属していたのですが、今になって思い返すと、何というか殺伐とした空気があの教室に流れていたような気がします。元々、全寮制とあって学校が必要以上に受験勉強へのプレッシャーを煽っていたのもありますが、医者の子供が多く通っていたこともあり*2、彼/彼女らの多くは家の病院を継がなければならない重圧も背負っていたのでしょう。お互いを助け合う余裕もなく、皆精神疲労が限界の状態で机に向かっていました。

 

 「受験は夏が勝負!」というのは古より伝えられしスローガンですが、やはり僕のクラスメートの多くも勉強に集中するため、夏休みに2週間程度宿泊することを選びました。この延泊は学校では「合宿」と呼ばれて、受験学年のみが寮に泊まることを許されていました。しかし、合宿初日、クラスメートのN君の体調が明らかによくありません。汗が出続けていますし、顔は真っ青ですし、咳も止まりません。

 

 「お前、インフルじゃないか…?」と僕たちはN君に聞きますが、N君は笑いながら「いや、絶対違うから」と答えました。当然です。受験というプレッシャーに襲われていた我々進学クラスの心の狭さは、ニューイングランド地方に移住したばかりのピューリタンと同程度です。ここでN君が新型インフルに感染していたと分かれば、N君は即座に「帰れ!」と皆から罵倒を浴びさせられるに決まっています。寮での貴重な勉強時間を奪われたくないN君にとって、我々は松明を持った魔女狩りとなんら変わりなく見えたのでしょう。

 

 しかし、案の定、翌日からN君は来なくなりました。先生は「N君はインフルエンザだったので、家に帰りました。」とクラスに通告しましたが、誰も心配する声はなく、HRが終わった後に轟いた怒声は「あいつマジフザケんなよ!!!」でした。その後、今度はT君が明らかに体調を崩して消え、翌日にはF君、さらに翌日にはS君と、一人一人クラスから姿を消しました。もちろん、体調が悪そうに見える生徒には「感染す前に帰れ!」という心のない声が浴びさせられていました。僕も当時は受験のプレッシャーでかなり心が荒んでおり、独善的でしたので、新型インフルに罹る人たちを「迷惑」としか捉えていませんでした。

 

 4日ほど経った頃でしょうか、僕は悪寒で目を覚ましました。汗も止まりませんし、次第に咳も出てきました。僕は恐怖しました。巷を賑わせている新型インフルエンザにかかったことにではなく、クラスのみんなから魔女狩りに遭うことにです。松明持って追っかけていた側から、十字架に磔刑にされる側に立場が逆転してしまいました。

 

 とにかく、自分が体調が悪いことを悟られてはいけません。幸い、合宿といってもほとんどは自習でしたので、僕は気合いで咳を死ぬ気で押さえ込み、どうしても無理な時はトイレなどでスッキリするまで咳き込んでやり過ごしました。

 

 しかし、寮室に戻っても流石に勉強する気など起こりません。寮監督に体温計を借りたところ、39℃以上を記録していました。僕はこれは「ただの風邪」だと言い聞かせて自分を騙し、自販機でポカリを買って飲みまくり、とにかく寝まくって発汗とオシッコで病気と闘うことにしました。

 

 ほぼ1日寝ていたのですが、覚えているのはあまりにもキツくて夜目が覚めてしまったことです。当時僕はMDコンポを自室に置いており、そのコンポは音楽を再生すると赤いランプが光りました。多分世界史の年号の暗記法か何かを聞きながら寝ていたのだと思いますが、その赤いランプのせいでターミネーターに命を狙われる幻覚を見て、「助けてぇ…助けてくれぇ…!!」と、か細く泣き叫びました。

f:id:HKtaiyaki:20200607213711p:plain


 今思い返すと、これって意識障害を起こしていたので、かなり重症だったはずです。医者にも行かず放って置いたのはかなり愚かな選択だったと思います。もちろん、寮に残ったってこんな状態で勉強なんかできる訳ないですし。しかし、気力が通じたのか、明くる朝は汗でビショビショになったシャツの気持ちのいい涼しさで目を覚まし、熱も下がっていました。何食わぬ顔でクラスに向かい自習を続け、なんとか合宿をサバイブできました。

 

 その後、自分のクラスで続く退場者が出たかどうかは覚えていません。だって自分さえ良ければ良かったので。この話も、つい最近友人と話している時にフラッシュバックのように蘇りましたが、きっと自分の中では「風邪だ」と言い聞かせて処理していたからなんでしょう。

 

 今では僕は笑い話だとは思っていますが、このコロナ禍でも病気に罹った人を責めたり、コロナに罹って苦しい思いをしたのに謝罪する人がたくさんいます。僕の話から学ぶことがあるとすれば、感染症に罹った人を責める雰囲気は、逆に患者が情報を隠蔽することに繋がり、感染症の収束に逆効果、ということです。皆さん、心には常に余裕を持って、病人には優しく接しましょう。それでも、このご時世ですから、どうしても怒り足りない人はいると思うので、その全てを政治家にぶつけましょう!

 

 ちなみに、パンデミックの元となったN君は現役で医学部に合格し、僕は一浪しても第一志望の学校に行くことはできませんでした。チクショウ!

 

コンテイジョン (字幕版)

コンテイジョン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

*1:散々コスっている話ですが、僕は『ハリー・ポッター』に憧れてこの学校に入りました。しかし、蓋を開けてみると、登校時はゲームや漫画などの不用品を持ち込んでいないかくまなく手荷物をチェックされ、携帯も禁止され、TVは食事の時のNHKのみでした。ある時、そのNHKのニュースで刑務所の特集、というものがやっており、その受刑者の生活スタイルが僕らの学校生活となんら変わりないことに強い衝撃を受けました。他室訪問は禁止され、就寝時間後は寮監や先生が見回りをしています。僕はホグワーツに憧れていたはずなのに、入学してみたらアズカバンだった、というオチです。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (吹替版)

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (吹替版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

*2:卒業から10年以上経っているのに、今でも医学部に入るように親から泣きつかれた為に、人生を狂わされた友人とか見ると、僕は医者の息子でなくて本当に良かったと心の底から思っています。

今更だけど『クローン・ウォーズ』にハマっちゃった!の巻

 最近、Disney+で『クローン・ウォーズ』の視聴を再開したのですが、今までナメててごめんなさい、これが結構面白いんです。

 

 2008年に劇場公開された『クローン・ウォーズ』が大嫌いでして*1、だってジャバ・ザ・ハットの息子とか、アナキンの弟子アソーカが仮にも支障のアナキンに向かって「スカぴょん(日本語字幕)」なんて舐めた口を聞いたり、音楽にギターを採用していたり、いくらジョージ・ルーカスが製作している作品とはいえ、全体的に「軽いノリ」のような作風がちょっと受け付けられなかったんですね。20世紀FOXのファンファーレじゃなくてワーナーで始まる『スター・ウォーズ』っていうのも当時違和感が強かったですし。 

 

 んで、アメリカ渡ってNetflix入ってみたら、『CW』が全シーズン配信されていたので、観てみたら相変わらずバトルドロイドやジャージャー=ビンクスが必要以上にオチョけたりしていて、僕の『SW』観が崩れるような気がして、とてもじゃないけど観るのが苦痛だったんですよ。頑張ってシーズン2の途中まで観ましたが、断念し、ディズニー傘下の『SW』自体にも興味を失い始めていたところだったので、今日の今日まで放っておいたんです。

 

 時は流れ、シークエル三部作も完結してしまいましたが、僕にとって『SW』とは、PS4の『バトルフロントII』とドラマシリーズ『マンダロリアン』に集約されました。前述の通り、僕は『CW』が全く好きではなかったので、ファンが『BFII』にアソーカが出ないことに落胆したり、ダース・モールの新スキン*2歓喜したりする気持ちがよく分からなかったんですが、『マンダロリアン』は超面白かったので、いまや『SW』界のスピンオフを一挙に任されているデイヴ・フィローニの出世作となった『CW』でも観てみるか、とふと一昨日から視聴し始めたところ、これがどうにもこうにも滅茶苦茶面白いシリーズだったんですね!

 

 僕が『CW』の最初の方のシーズンにのめり込めなかったのは、一話完結型のドンパチやってるだけのシリーズにしか思えなかったからなんですけど、第3シーズンからは外交がクローン大戦の局面を左右するエピソードが多く、とても面白く観れました。例えば、とある惑星で激戦が繰り広げられていたが、共和国軍側に支援物資が足りないので、議会が中立の惑星へ大使を送り、支援物資を運搬する中継地点になってもらえないか交渉する、というエピソードまで登場します。「戦闘」よりも「外交」や「対話」に焦点が当たるのはまるで『宇宙大作戦』的ですらあります。

 

 他にも、クローン兵士の訓練模様や、惑星マンダロアの社会システムが登場したりしますが、『SW』の世界をミクロな部分を描くことで拡張しているのが『クローン・ウォーズ』は面白く、これぞ『マンダロリアン』が多くのファンを魅了したところで、更に行ってしまえばシークエル三部作が大失敗した点だと思います。僕はまだS3の途中までしか観れていないニワカで恐縮ですが、『マンダロリアン』にハマった方は『クローン・ウォーズ』にも手を出してみることをオススメします。

 

 

 

*1:カートゥン・ネットワークで放映されていたアニメ『クローン大戦』はカッコよくてシリアスでダークで超好きでした

*2: