今回の『サウスパーク』は糖尿病を患っているスコット・マルキンソンが珍しく主役回!そのために今シーズン毎回変わっているオープニングは60年代スパイドラマ風。
スコット・マルキンソンは朝鏡の前で「お父さん愛してるよ」というセリフを練習する。ディズニーが開始した配信サービス「ディズニー+」に入会するようにおねだりするためだ。しかし、サウスパークのケーブル会社で働くスコットの父親クラークは「うちにはケーブルテレビで十分だろ!ディズニー+だとかCBSMAXだとかAmazon Primeだとかキリがないだろ!」と全く聞く耳を持たない。
その日、クラスにソフィー・グレイという女の子が転校してくる。アリゾナから転校してきてサッカーと『マンダロリアン』が大少なソフィーも糖尿病を患っており、それを聞いたスコットはソフィーに一目惚れ。ソフィーは運命の人だと直感したスコットは、なんとかソフィーに近づけないか模索する。
さて、配信サービスのせいですっかり仕事が減ったケーブル会社で働くクラークだが、久しぶりにケーブル修理の依頼が入る。上司から「うちのサービスが遅すぎる、という理由でケーブルを解約する人が多いから、しっかり頼むぞ!」と念を押されたクラークは猛スピードでバンを走らせ、マクドナルドのドライブスルーに寄り、公園でランチを食べ、ショッピングに行き、ボウリングを楽しみ、依頼人のストッチ家に急行する。スティーブンが「12:00〜17:00の間に来てくれと頼んだってのに、もう17:15じゃないか!」と文句を言うと、「俺たちは常に15分遅れるんだ」とクラークは開き直り。「だから我が家もケーブルテレビを解約して配信サービスに移行しようって言ったんだ」とスティーブンがリンダに漏らすと、「あんたも質より量が良いのかい!配信サービスはこの街を破壊してるんだ!皆別々の番組を見るようになって人々が同じ番組で絆を深めることもなくなった!ハリウッドのクソどもが人それぞれに合わせたニッチな番組を作るようになっちまったからだ!」とクラークは憤慨する。
一方、学校では可愛いソフィーは既に人気者で、次々男子に話しかけられる。焦るスコットはどうにか他の男子を出し抜ける方法を模索する。「や、やあ、ソフィー!僕も糖尿病なんだ!」と意を決して話しかけ、なんとかソフィーと二人きりになることに成功する。「ねえ、あなたも『マンダロリアン』をディズニー+で観てる?」とソフィーに聞かれ、「え、あ、も、もちろん、『マンダロリアン』大好きだよ!」と嘘をつく。「でしょ、他の映画が全部犬のフンに見えるくらい『帝国の逆襲』以来の最高の『スター・ウォーズ』だと思うの!ねえ、新エピソードが配信される次の金曜日、一緒に観に行かない?」まさかのオファーにスコットはうなぎ上りに喜ぶ。
スコットは有頂天で家に帰ると、両親はケーブルテレビを見ていた。「今日学校に新しい女の子が来たんだけど、彼女も糖尿病なんだ!今度うちに来るから、お願いディズニー+に入って!」と早速おねだりをすると、「またこれか!答えはノーだ!配信サービスは俺たちの文化を破壊してるんだ!配信サービスのせいで視聴者の元に数千もの番組が24時間7日間選べるから、ハリウッドは番組を作るために番組の中で更に番組を作ってやがるんだぞ!」と激怒するクラーク。スコットは「でも父さん、人々が自分の観たい時に観たい番組を見れることの何がいけないのさ!」と反論するが、「びょくはスコット・マルキンソン、糖尿病がありましゅ」とクラークは学校の子供達がやる意地悪いモノマネを見せていなくなってしまう。
腹が立ったクラークは配信サービスの息の根をとめるために、ケーブル会社の仲間たちを木曜10:00〜14:00の間に集合をかける。しかし、当日いつまで立っても現れない仲間たちにクラークがイライラしていると、13:50に仲間たちが現れる。「お前らどこいってたんだ!」「だって10:00〜14:00の間って言ったじゃないか!」「10:00〜14:00の間は13:50に来いって意味じゃないだろ!いいか、俺たちは配信サービスのせいでどんどん仕事が減って来ている。だが、配信サービスを見るのに必要なインターネットケーブルを町中に配線しているのは誰なんだ!?」と鼓舞すると、「俺たちだ!」と仲間たちは答える。「いいか、俺たちがどれだけ必要な存在かを町民に示す必要がある!ネット配線を断ち切ろう!それぞれ必要な備品や道具を揃えて、16:00〜19:00の間に集合だ!」「おお!」と活気付いたケーブル会社の仲間たちはそれぞれ大急ぎで無料コレストロール検査を受けたり、映画を観に言ったり、日焼けサロンに行ったりするのであった。
さて、スコットはカートマンの家へ訪れる。カートマンはハイディと付き合っていた過去があり、唯一恋愛のアドバイスが聞ける相手だからだ。「どうにかしてディズニー+を手に入れないと!頼むよカートマン、僕の気持ちがわかるだろ?」「…おいらのアドバイスが欲しいか?諦めた方が身のためだ。愛はディズニー映画が約束するハッピーエンドとは違うんだ!フラストレーションと怒りと痛みの連続なんだ。付き合うってことは糖尿病の10倍キツいんだぞ!」「僕には糖尿病も恋愛も耐えることができる!」「そこまでいうなら良いだろう…ディズニー+を手に入れる方法を教えてやる。だが、2年以内に自殺したくなったらオイラの前では絶対やるんじゃないぞ」というカートマンにディズニー+を手に入る場所を教えられ行って見ると、ネイサンが配信サービスのアカウントをドラッグのように密売しているのであった……。
今回は長くアメリカのテレビ文化を形成していたケーブルテレビの終焉を象徴した回。僕もブログに書いたが、アメリカは様々な配信サービスが群雄割拠しており時代で、どの配信サービスも独自にハイクオリティなコンテンツを配信しているのが更にユーザーを悩ませる。クラークがいうように、全部に加入していたら月々の出費がバカにならない。
そのストリーミング戦争を過熱させるが如く登場したのがディズニー+だ。PIXAR、マーベル、『スター・ウォーズ』、20世紀フォックスと、現代のポップカルチャーを形成する最強のコンテンツを全て揃えたディズニーが満を辞して送るサービスで、特に独自配信されている『マンダロリアン』も大きな話題を呼び、サービス開始1日で加入者が1000万人突破したことも話題となった。
このエピソードで面白いのは、クラークが配信サービスをディスる理由が全部配信サービスの利点にしかなっていないことだ。もうトレイとマットもケーブルテレビは終わりへ向かうしかないことを悟っているのだろう。ただ、ディズニーはHuluも所有したことで、ディズニー+とHuluとスポーツ配信局ESPNを見放題のプランも出しており、結果的に『サウスパーク』のアメリカでの配信もディズニーが仕切っていることになることを考えると、ちょっと恐ろしいものを感じる。
あ、あと『マンダロリアン』で話題のベイビー・ヨーダもこの回に登場!悔しいけど可愛いんだよな〜。
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