日本政府はNetflixのスピード感を見習えよ!/『"新型コロナウイルス"をダイジェスト 』感想

 昨日寝ようと思っていたら、Netflix新型コロナウイルスをテーマにしたドキュメンタリーを配信開始したと知ってしまい、ついつい布団の中でiPadで見てしまった。なんと20年代的なコンテンツ消費スタイルなんだ…!

 

 この『"新型コロナウイルス"をダイジェスト 』という番組は、Netflixがニュース解説メディアのVoxと手を組んで配信しているドキュメンタリーシリーズ、『世界の"今"をダイジェスト』のスピンオフだ。フォーマットがある程度できていたにしたって、この製作・配信スピードは驚愕的に早い。全3話になる予定で、取り急ぎ1話だけ配信した形だ。

 

 新型コロナウイルスがどういうウイルスなのか、新型コロナウイルス感染症とはどういう病気なのか、過去に人類を襲った他の感染症と比較しつつ、歴史上人類はパンデミックとどう立ち向かったか、今世界各国はどうしてるのか、そして僕らはどうすべきなのか。これらを30分以内にまとめ、悪戯に不安を煽らず最後は希望を抱かせる見事な手腕だ。インフォグラフィックも洗練されていて、突貫工事感を全く感じさせない。しかもナレーターがJKシモンズなの。完璧かよ!

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 一体どの段階で製作が決まったのか定かではない*1が、作品内で3月のイタリアやその後のNYの悲惨な状況を盛り込んでいたので、少なくとも1ヶ月くらいの短いスパンで企画から製作・配給まで至ったと想像ができる。比べる対象が違うのかもしれないが、いつまで経ってもダラダラと10万円の現金給付も、たかが1世帯2枚のマスク配布も、PCR検査の拡充もまともにできないどっかの政府には見習って欲しいスピード感ですな!

 

 余談ではあるが、僕はNetflix作品って結構作品の当たり外れの波が激しいと思っており、確かに賞レースを狙いに行って力を入れた作品の出来の良さは言及するまでもないが、作品の補充だけ狙ってあまり精査せずに製作オーダーや買い付けを行った結果、「これは配信スルーになっても致し方ないな……」と思わせる作品も数多存在する。なので、正直Netflixオリジナルという言葉には身構えてしまう。

 

 ただ、そんな中でNetflixがコンスタントに質の高い作品を連発しているジャンルはドキュメンタリーであり、昨今オスカーで長編ドキュメンタリー賞受賞やノミネートにNetflxが名を連ねているのも納得ができる。映画が当たりにくくなっている今、劇場用ドキュメンタリーに多額な資金を提供するのが難しくなっているが、元々資金力のあるストリーミングサービスでは自由なドキュメンタリー企画が通りやすいのではないか、と推測する。これはNHKBBCなどのドキュメンタリーの質が高いのと似た理由だ。

 

 少し話が脱線したが、『"新型コロナウイルス"をダイジェスト 』は1話26分ほどの作品で見やすいのでこの自粛期間中のお供としてオススメします。あと、ESPNと組んだ『マイケル・ジョーダン:ラスト・ダンス』もかなり熱い*2ので、これも今度紹介します!

 

新型コロナウイルスの真実 (ベスト新書)

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*1:なお、Voxは『世界の"今"をダイジェスト』シーズン2の1エピソードとしてパンデミックを特集していて、そのエピソード内でビル・ゲイツなどにインタビューしていた素材を本エピソードに流用している。これもスピード感を早めたのに一役買っている。なお、こちらの記事によると、NetflixがVoxのチームに製作を打診したのは3月中旬とのこと。は、早い…!

*2: