パンデミックで大打撃を受けている映画業界ですが、それでも映画業界が逞しいのはこのコロナ禍さえも映画に変えて稼いでしまおうという気概です。コロナ禍以降に企画されたパンデミックをテーマにした映画が既にいくつかあり、なんならもう配信されているものもありますので、今回はそれらの映画を並べてます。
『Songbird』(配信済み)
おそらく、コロナをテーマにしてものでは、メジャーでは最速で製作されたマイケル・ベイプロデュースのスリラー映画。COVID-19どころかCOVID-23という冗談でもやめてほしい突然変異種によるパンデミックが起きている世界を描く。あまりの早さに「世界中で苦しんでいる人がいるのに、金儲けが過ぎる!」と炎上した上、製作過程でも少し揉めた曰く付きん作品ではある。
『Locked Down』(HBO MAXで1/14に配信)
ダグ・リーマン監督、アン・ハサウェイ主演、キウェテル・イジョフォー共演という、やや豪華な布陣によるロマコメハイストムービー。ロックダウン中のロンドンでカップルがハロッズで強盗を企てる。予告編でも写っているが、zoomの画面がもはや当たり前になってきている。
『Staged』(BBC One で放送済み)
リモート撮影スタイルで、マイケル・シーンとデイヴィッド・テナントがそれぞれ自分自身を演じ、ロックダウン中にリモートで演劇のリハーサルに臨む姿をコミカルに描く。好評だったようで今月シーズン2が放送。
マーティン・スコセッシの短編(放映済みのBBCシリーズ『Lockdown Culture With Mary Beard』内の短編)
An extra treat on Lockdown Culture on Thursday 7.00 pm BBC2 is special short from Martin Scorsese, at home, on lockdown (through the lens of classic film). You saw it here first (with host of other great stuff too, from Don McCullin to @d_spiegel & @DeborahFW & MORE) @BBCArtsPR pic.twitter.com/W68yMFldvu
— mary beard (@wmarybeard) 2020年5月27日
BBC2で歴史家のメアリー・ビアードがホストを務める番組用の作品で、マーティン・スコセッシが自らのNYでのロックダウン中の体験を短編映画化した模様。シネフィルらしくクラシック映画の影響が垣間見える作品らしい。普通に観たい……。
タイトル未明のジャド・アパトーのコメディ映画(Netflixにて配信予定)
パンデミック中に無菌空間のホテルに閉じ込められた役者のグループが、映画の完成を目指そうとする、というあらすじ。アイディア自体は結構面白く、『カメラを止めるな!』に似た傑作が撮れるのではないだろうか。
『This Sceptred Isle』(放送予定の英ドラマシリーズ)
マイケル・ウィンターボトム監督作で、コロナパンデミックを背景に、ボリス・ジョンソンの人生を描く予定の政治ドラマ。日本だったらシンゾーくんやスガの実録ドラマを今企画するようなもので絶対実現しないだろう。こういう時欧米が心底羨ましい。
『Lakewood』(公開形態不明)
ナオミ・ワッツ主演、フィリップ・ノイス監督のスリラー映画。ロックダウン中の田舎町で息子を救出するために奔走する母親を描く。コロナ対策が(アメリカと比べて)しっかりしていたカナダで撮影されたそう。
『The End Of October』(公開形態不明)
ローレンス・ライトのパンデミックをテーマにしたSF小説をリドリー・スコット御大が手がける予定(記事には「監督の可能性あり」とだけ書いてある)。厳密にはコロナをテーマにしてはいないが、コロナ禍だからこそ通った企画だと思う。
『さらば!2020年』(Netflixにて配信中)
最後に僕が観た作品だけど、これは酷かった。人類史上最悪の年「2020年」をモキュメンタリースタイルで風刺するつもりが、切り口が浅いのなんの。『続・ボラット』の爪の垢でも煎じて飲んで欲しい。
そして、『続・ボラット』もコロナ映画でしたね。