朝1番の回で話題の『国宝』をやっとこさ観に行きました。2日連続で3時間の映画を見たので、なんだか充実感のある週に感じます。
まあ、これだけ散々話題になっているので今更僕が言えることもないでしょうが、僕は一番最初のシーンで、喜久雄の少年時代を演じた黒川想矢が女方で登場した時の艶やかさに息を呑むくらい驚きまして、この説得力を持って3時間引き込まれたと思います。そして今役者名を調べて気が付きましたが、『怪物』で主役を演じていたんですね!この歳でもう俳優として完成されすぎています…!
そして、主役の子たちが成長して吉沢亮と横浜流星になってからも歌舞伎の説得力が凄まじかったです。Wikipediaにも書いてありましたが、本来は生まれてから稽古してやっと歌舞伎役者になれるところ、本作に出演された方々はわずか1年半でここまで演じきったのですから、見事と言わざるを得ません。もちろん、この「説得力」を際立たせるための演出も撮影も照明もメイクも衣装も美術も全部素晴らしかった。
ストーリーも歌舞伎という芸術をただただ極めたいという純粋な欲望を推進力に進むもので、僕も表現者の端(の端の端の端の端)くれとして刺さらないわけがありませんでした。歌舞伎を上達できるなら悪魔との契約も厭わないわけですが、この辺のテーマは『罪人たち』と非常によく似たものを感じましたね。あと、同じ白塗りだけに『ジョーカー』のような狂気めいたものを想起させた場面もありました。
一方で、邦画特有の少々説明的なセリフというのは若干気になりはしました。身体表現についての映画なので、やはり俳優の表情や表現で語ることにもう少し頼ってもよかった気はします。でも、そんなのは一部ですけどね。思い返せば最後に映画館で見た邦画が多分『室井慎次』なので、アレと比べたら、ねぇ!
ということで、僕も含めて映画ファンは意外とこういう世間的に大ヒットしている映画は後に回しがちだとお察ししますので、まだ観てない方はオススメです!