こないだ観た『オーシャンズ8』がとても良かった。ちょっと尺が長く感じるキライはあるものの、華麗に決まるハイストシーンは心地よくて、サプライズにはカタルシスを感じ、『オーシャンズ』シリーズファンへの目配せも忘れず、男に騙された女の復讐譚としても燃えて、正直期待値は低かったので予期せぬ面白さだった。完全にナーメテーター(©️タマフル)ってやつですね。
今回デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)が率いる新メンバーも全員魅力的なのが素晴らしいが、中でも僕が気に入ったのはコンスタンスというアジア系のキャラ。ネット世代の若者らしいノリの軽さで観客を笑わせてくれる彼女を演じているのは、アークワフィーナというラッパーだそうだ。
僕は不勉強だったので彼女の名前を知ったのは今回が初めてだが、実は無意識なところで彼女の出演作は観ていた。フィルモグラフィーを調べてみるとセス・ローゲンの『ネイバーズ2』*1で印象的だったアジア人女学生も実は彼女だったそうで、WAGの傑作アニメ『コウノトリ大作戦!』*2でもウズラの声優を務めていた。
更に、実は今年密かに注目している映画の予告編があって、『Crazy Rich Asians(オカシイくらい金持ちなアジア人)』という。もう少しこのバカみたいなタイトルはなんとかならなかったのかと正直思うが、ホワイトウォッシュ問題などが未だ横行中のハリウッドでは珍しくオールアジア人キャストで構成された映画で、初めて予告編を観たときから明らかに異彩を放っていた金髪アジア人キャラが実はアークアフィーナであるとも『オーシャンズ8』を観た後で知った。
アークワフィーナが世に出るきっかけとなったのは『My Vag(あたいのマ○コ)』というラップソング。「あたいのマ○コはオペラのバラード、あんたのマ○コはまるで爺ちゃんのキャベツ」と、ひたすら自分の女性器を褒め称え、あいての女性器を貶し続けるラップビデオ*3を2012年に発表したところ、YouTubeで200万再生を超える大ヒット。
うちのブログで取り上げているラッパーがいつも下ネタラッパーなのは気になるところだが、アークワフィーナはNYクイーンズのフォレストヒルズの出身(うちの超近所!)で、中国系の父親と韓国人の母親の元に生まれた。ニューヨーク州立大学オールバニー校でジャーナリズムと女性学を専攻し、更には北京語言大学にも留学した秀才だ。現在もブルックリンに住んで活動している根っからのNYラッパー*4で、そのため歌詞にもよくNYの地名やカルチャーが登場する。
日本でも公開が控える『オーシャンズ8』をきっかけに彼女が女優としてブレイクすることは間違いない。彼女の名前を覚えておいても損はないし、同じアジア人としてハリウッドの第一線で彼女が活躍するのを応援したい。