今年『アメリカン・パイ』シリーズ八作目『アメリカン・パイパイパイ 俺たちの同騒会』が公開されました。現在の学園コメディにも多大な影響を与えた『アメリカン・パイ』シリーズが、日本では二作目の『アメリカン・サマーストーリー』から実に11年ぶりに公開ということで、アメリカン・コメディの一ファンとして見逃す訳にはいくまいと、急いでシリーズ計七本を予習しました。*1
『アメリカン・パイ』シリーズは三作目の『
ウェディング大作戦』までが劇場用映画として製作されており、四作目の『バンド合宿』から七作目『ハレンチ教科書』まではDVD用のスピンオフ映画として製作されました。スピンオフである四〜七作目は製作費がグンと落ち、全作に登場するユージン・レヴィ以外の主要キャストは一切出ていません。
しかし、スピンオフも含めて一作目から最新作の八作目まで、実はある一本の線で全作品が繋がっています。それはスティフラー家の血統です。
スティフラーは一作目と二作目『アメリカン・サマーストーリー』、三作目『
ウェディング大作戦』、そして最新作『アメリカン・パイパイパイ』に登場する、毎度騒ぎの中心となるお調子者のバカキャラ、というかもはや
DQNキャラのことです。この四作品ではショーン・ウィリアム・スコットが演じています。
それで、スティフラーの登場しないスピンオフはどうなるかというと、全部彼の家族や親戚が騒ぎを起こすんですよね。『アメリカン・パイ』シリーズ=スティフラー家の血統の物語と言っても過言ではありません。
今回の記事では『アメリカン・パイ』シリーズをスティフラー家を中心に紹介してみたいと思います。『アメリカン・パイパイパイ』の予習にもどうぞ。つってももう公開終わったけど…。
第一部『アメリカン・パイ』★★☆
高校3年の冴えない男子生徒・ジム(ジェイソン・ビッグス)は、間近に控えた卒業を前に何とか”初体験”を済ませようと、同じく”バージン”の悪友達と共に恋人探しの大奮闘を開始する。仲間達が次々に恋人をゲットしていく中、間の悪いジムはシングルのままプロムの夜を迎えてしまう・・・。
本作のスティフラー家
スティーブン・スティフラー(ショーン・ウィリアム・スコット)
スティフラーのお母さん(ジェニファー・クーリッジ)
解説
記念すべき一作目。
童貞四人組がプロムを目前にして脱童貞を目指す、というストーリーの中で唯一の非童貞キャラです。既にこの頃からバカキャラとして定着しており、女をみればすぐにセックスをすることしか考えられない猿でした。しかし、冒頭のパーティではビールと間違えてオシッコを飲むという、なんとも可哀想な目にあっています。
. -―- . やったッ!! さすがスティフラー!
/ ヽ
// ', おれたちにできないことを
| { _____ | 平然とやってのけるッ!
(⌒ヽ7´ ``ヒニ¨ヽ
ヽ、..二二二二二二二. -r‐''′
そこにシビれる!
/´ 〉'">、、,,.ィ二¨' {. ヽ _ _ あこがれるゥ!
`r、| ゙._(9,)Y´_(9_l′ ) ( , -'′ `¨¨´ ̄`ヽ、
{(,| `'''7、,. 、 ⌒ |/ニY { \
ヾ| ^'^ ′-、 ,ノr')リ ,ゝ、ー`――-'- ∠,_ ノ
| 「匸匸匚| '"|ィ'( (,ノ,r'゙へ. ̄ ̄,二ニ、゙}了
, ヘー‐- 、 l | /^''⌒| | | ,ゝ )、,>(_9,`!i!}i!ィ_9,) |人
-‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ !‐}__,..ノ || /-‐ヽ| -イ,__,.>‐ ハ }
''"//ヽー、 ノヽ∧ `ー一'´ / |′ 丿! , -===- 、 }くー- ..._
//^\ ヾ-、 :| ハ  ̄ / ノ |. { {ハ. V'二'二ソ ノ| | `ヽ
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)ノ:l 'ーー<. / |. ヽヽヽ._ `二¨´ /ノ ノ
/ <^_,.イ `r‐'゙ :::ヽ \ `丶、 |、 \\'ー--‐''"//
\___,/| ! ::::::l、 \ \| \ \ヽ / ノ
ちなみにラストでオタク少年フィンチが[母親とファック]したことで、二人はシリーズを通して犬猿の仲となります。
第二部『アメリカン・サマー・ストーリー』★★☆
ハイスクールを卒業してそれぞれ大学へと進んだ彼ら。未だに女性経験のない
*2ジムは、今度こそは悲願達成との誓いを胸に、夏休みを地元で過ごすことに。仲間と共同生活を始めたジム。そこへ、運良く昔の恋人が帰ってくるとの知らせ。しかし、彼は未だに女性経験がないことを彼女に悟られまいと、高校時代の女友だちミシェルに女性の扱い方を教えてくれるよう頼み込む。が、ミシェルのほうは高校の時からジムのことが好きだったのだ。そんなこととはつゆ知らず、ミッシェルに教えを乞うジムだったが、いつしか2人の感情に微妙な変化が現れ……。
本作のスティフラー家
スティーブン・スティフラー(ショーン・ウィリアム・スコット)
スティフラーのお母さん(ジェニファー・クーリッジ)
解説
基本的には前作と全く同じストーリー展開で、ギャグも繰り返しなものの、一つ一つのギャグの過激さが一作目を上回っていたので問題ありませんでした。丁度『
ハングオーバー!』の一作目と二作目の関係に似ています。
大学に入ってもスティフラーはヤリチンで、相変わらずのバカでした。今度はオシッコを頭から被ります。呼ばれてもいないのに勝手にジムたちが企画したサマーキャンプに参加します。旅費を稼ぐペンキ塗りのバイト先に勝手に侵入してレズビアンカップルが所有するディルドーを盗み出し、結果ジムとディープキスをするハメになってしまいます。
ちなみに弟のマットも登場しますが、見た目的にまだ小学5、6年生くらいなのですが、もうセックスセックスと猿のようです。スティフラー家では一体どういう教育が行われているのか…。
第三部『ウェディング大作戦』★☆☆
大学卒業を間近に控えたジム。彼は、初体験の相手で付き合い始めて3年になるミシェルと卒業を機に結婚することを決意。そして、彼女が望む理想の結婚式を計画する。だが、その知らせを聞いてやって来た悪友のスティーヴたちは協力どころか、ミシェルの妹
ケイデンスをめぐって恋のバトルを繰り広げる始末。さらに彼らは、独身最後のジムのためと称し、ストリッパーを呼んで結婚式前夜のバチェラー・パーティを企画する。その晩ジムは自宅にミシェルの両親を招き、あいさつをする予定なのだが…。
本作のスティフラー家
スティーブン・スティフラー
スティフラーのお母さん
解説
遂にジムとミシェルが結婚します。ギャラで揉めたのか、今作にオズが登場しない
*3のが残念です。
ギャグもただ下品でクドいだけになってしまい、この作品から暫く本家シリーズが打ち止めになってしまったのも正直納得してしまいます。
しかし今作はスティフラーの成長物語にもなっており、スティフラーが影の主役です。
マンチャイルド*4というのはアメコメでよく扱われるテーマですが、本作はスティフラーがそれに当たります。どれだけセックスしようとスティフラーは精神的には一番幼稚です。仲間が結婚だ仕事だって時期に、彼だけは高校時代と同様女とセックスしてはしゃぎ回ることしか考えていません。ジムの結婚式も単に女をハメる機会としか捉えていません。
しかし、本作のクライマックスで遂にスティフラーはこれまでの過ちに気付き、更には本当の意味での愛も知るのです。その姿は
大長編版『ドラえもん』のジャイアンのように感動的でした。
第四部『バンド合宿』★☆☆
イースト・グレイト・フォールズ高校の2年生マットは、悪名高き卒業生、スティーブ・スティフラーの弟。卒業式の日、彼はブラスバンドにあるいたずらを仕掛け、せっかくの式を台無しにしてしまう。そのため、生徒指導のシャーマンに呼び出されたマットは、罰として、春休み返上で
吹奏楽部のバンド合宿に強制参加させられることに。しかし、転んでもただでは起きないマット。彼は、
吹奏楽部の女子部員を盗撮し、撮影ビデオをアダルト・ビデオ・プロダクションを経営する兄スティーブに送ろうと考えたのだ!さて、健全、生真面目なブラスバンド部員を相手に、マットが仕組んだ作戦とは…?
本作のスティフラー家
マット・スティフラー (タッド・ヒルゲンブリンク)
解説
本作からビデオスルーのスピンオフ映画になります。主人公が二作目にも登場したマットなのか、舞台が二作目にもチラッと出てきたバンドキャンプだったり、二作目で滑り倒してたシャーミネーターが生活指導の先生になっていたり、全体的に『アメリカン・サマーストーリー』とのリンクが濃いです。出来は、まぁ、ビデオムービー相応のクオリティでした。全体的にチープ…。
マットは兄に負けないくらいのバカでした。太刀が悪いのは、あれだけバカな兄に尊敬の念を抱いていることです。スティーブに負けんばかりにイキってみせます。ちなみにスティーブン自体は出てきませんが、冒頭でハレンチビデオの制作会社を運営していることが示唆されます。
本作では、普段バカにしている
吹奏楽部にイタズラを働いたことが原因で、マットは
吹奏楽部のバンド合宿に参加させられる罰を背負います。もちろん、文化系なんかと連みたくないからまともに練習に参加もせず、代わりに盗撮をしてバカにしてやるという、
倫理的に見ても非の打ち所のないカスなイタズラを試みます。
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/::::::::::: ::∨ト、 こいつはくせえッー!
:::::::::: :: レ'ノ
:::::::::::::: ::: レ'⌒ヽ ゲロ以下のにおいが
ヽ-───i===i─-}ァ' ノ プンプンするぜッ─────ッ!!
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、`¨フ>;''ニニゞ,;アニニY´; ) こんな悪には出会ったことが
_、;;)¨´,ニ=゚='" ,.ヘ=゚:く {ッリ' ねえほどなァ────ッ
i1(リ r;:ドヽ K
ヾ=、 に二ニヽ `|; ) 環境で悪人になっただと?
_,ノ| i. {⌒゙'^ヽ.{ i;; ヽ ちがうねッ!!
_,ノ!i ヽ、 ヾ二ニソ ,';;; ;;冫=:、
_;(|.!. \ ‐っ /!;;; ;;/ 、''"\__ こいつは生まれついての悪だッ!
'ト、\. ,ゝ、.二..イリ\ / ー1\'ニゝヽ_
:ヽ `ニア ,. -┴‐‐' ー-:l :=ゞ=ソ」=ヽ
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しかし、その実兄よりは優しい一面を持つマットは、合宿を過ごすうちにバカにしていたはずの
吹奏楽部との間に仲間意識を持つようになります。元々アメフト部員でもあるので、他校の
吹奏楽部と点数を競い合うというキャンプの趣旨が体育会系の肌にあったのでしょう。段々練習にも参加し、(
何故か)指揮も取り始めるマット。中学から犬猿の仲だった女の子とも良い仲になりかけます。
しかし、結局は"スティフラー"という仮面を被り続けようとするために、合宿中に築き上げていった絆がいとも簡単に瓦解してしまいます。再び信用を失ったマットは、今一度自分と向き合って…。
とこのように、本作は脚本としては真っ当なスポ根物であることが分かります。残念ながら話自体は退屈ですが、こんなチープなビデオムービーにすら脚本で勝てない大作邦画には絶望を感じました。
ちなみにマット役のタッド・ヒルゲンブリンクは見た目が似ているだけでなく、よくショーン・ウィリアム・スコットの演技を研究できていて、その点はうまかったです。
第五部『ハレンチ・マラソン大会』★☆☆
ハチャメチャな問題児一族"スティフラー"の名を持ちながら、童貞であることに悩む地味な高校3年生のエリック。トレイシーというキュートな恋人もいる彼だが、マジメな彼女は肝心のセックスをさせてくれない。そんな悩める童貞君に、ある日、悪友のライアンとクーズから、地元の大学で開かれる恒例のイベント"ネイキッド・マイル"への誘いが!?これは、学生たちがキャンパス内を素っ裸で駆け巡る狂乱のパーティーで、もちろんセクシーなギャルたちもオールヌードという悦楽のパラダイス。しかも、そ のあとはやりたい放題になるという噂も・・・。童貞を卒業できるまたとないビッグチャンスに、エリックの欲望は爆発寸前。トレイシーからも予想外のGOサインが出て、もはや躊躇する理由がなくなったエリックは、裸のギャルたちが待ち受ける、夢のイベント開場へ向かうが!
本作のスティフラー家
エリック・スティフラー(ジョン・ホワイト)
ドワイト・スティフラー(スティーブ・タリー)
ハリー・スティフラー(クリストファー・マクドナルド)
解説
後から知って驚いたのですが、監督はなんと、
『恋に落ちたジョージ・ルーカス』のジョー・ヌスバウムです。『恋に落ちた
ジョージ・ルーカス』は『
スター・ウォーズ』愛に満ちた傑作だったのにその後あまり活動を聞かなかったのですが、まさか『アメリカン・パイ』のスピンオフを手がけていたとは…。面白さは…『バンド合宿』よりも更に劣ります。
本作の主人公エリックは、スティーブンとマットの従兄弟。彼女はいるけどお堅いのでセックスをさせてはくれず。彼の悩みは、スティフラー家の中で唯一高校を童貞で卒業する男児になってしまうことだ。冒頭、抑えきれない性欲を解消するためセンズリをこいていたら、家に帰ってきた両親と祖母に目撃されてしまい、祖母は孫の射精を見たショックで死んでしまう。父親のハリーもカンカンで、「スティフラー家のくせにマスカキとは情けない!俺がお前の歳のころにはそこら中でファックしまくりだったぞ!!」今さら言うことではないかもしれませんが、この家族は狂っています。
そんな狂った家系の中でエリックは唯一の常識人なので一番感情移入しやすいスティフラーです。しかしそれだと物足りないと製作陣が感じたのか、もう一人の従兄弟であるドワイトを登場させます。ドワイトは酒に女にパーティーと例に漏れずバカでした。
今までの『アメリカン・パイ』シリーズと違い、本作と次作『ハレンチ課外授業』のスティフラー家は「伝説のヤリチン家系」として尊敬の念を集めています。ドワイトは大学の寮では中心人物であり、トラブルばかり起こして皆に嫌われていたスティーブン・マット兄弟とはエラい違いです。大学ともなると騒ぎを起こせるだけ起こすやつが人気者なんですかね。それとも単に製作陣が設定を忘れてただけなのか。……割とどうでもいいことなので、考えるのをやめました。
第六部『ハレンチ課外授業』☆☆☆
ハチャメチャな問題児
一族“スティフラー”家に生まれたにもかかわらず、かなり奥手のエリックも高校と同時に童貞も卒業し、晴れて大学生!!エリックとは正反対のパーティー・キングでイトコ、ドワイトを追って、悪友クーズと地元の大学に入学するが、ドワイトが所属するサークルに入るためには、数々のテストをクリアしなければいけない・・・。仲間と協力し、なんとか50にも及ぶ難問をやり遂げた。晴れて、正式メンバーになれたエリックたちだったが、ドワイトを敵視している
オタクエリート・メンバーの策略によって、サークルは解散の危機に!!そこで、レビンスタイン(ユージーン・レヴィ)に審判を頼み、伝説のギリシャ・オリンピックで決着をつけることに!過酷な(?)勝負に勝てるのか?!
本作のスティフラー家
エリック・スティフラー(ジョン・ホワイト)
ドワイト・スティフラー(スティーブ・タリー)
ハリー・スティフラー(クリストファー・マクドナルド)
解説
なんと、話が前作と繋がっており、キャストもほぼ続投しています。本家シリーズとはまるで
『X-MEN:ZERO』と『ウルヴァリン:SAMURAI』のような関係です。(分かりにくいわ)
しかし、本作はシリーズ最低の駄作でした。ギャグはキレがなく下品でクドく、脚本も
支離滅裂で杜撰です。こんな行き当たりばったりの話を綺麗にまとめた
Amazonのあらすじを書いた人は天才的だと思いました。
前作で「セックスよりは愛」という結論に至り、前作で恋人のトレイシーと結ばれたエリックは、彼女をイケメンに寝取られ絶縁。いきなり前作の否定から幕を開けます。そんなエリックも大学生になり、親友のクーズとともに前作でお世話になったドワイトがいるベーダハウスという
フラタニティに入居します。
まぁ、『アニマル・ハウス』のような
フラタニティ物をやりたいのでしょう。しかし、本作が写すのは大学生の乱痴気騒ぎだけで学業生活が描かれていないので同じ大学生とはいえ共感しにくいです。また、ベータハウス対ギークハウスの戦いにカタルシスが皆無です。あまりにも行き当たりばったりの展開にトホホ…でした。
第七部『ハレンチ教科書』★★☆
「アメリカン・パイ」から10年後。東グレート・フォールズ高校に通う3人の童貞仲間。彼らは高校の図書館で(第1作にも登場した)悪名高い“ハ レンチ教科書”を発見する。残念ながら本は完全な状態ではなかったが、彼らは、その教科書の教えに導かれ、童貞喪失のために奮闘することを誓うが・・・。
本作のスティフラー家
スコット・スティフラー(ジョン・パトリック・ジョーダン)
解説
|l、{ j} /,,ィ//| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
|リ u' } ,ノ _,!V,ハ | < 『おれはシリーズ最低予算の駄作を
fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人. | 観ていたと思ったら面白かった』
ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ | な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
ヽ iLレ u' | | ヾlトハ〉. | 俺も何を観たのかわからなかった…
ハ !ニ⊇ '/:} V:::::ヽ. │ 頭がどうにかなりそうだった…
/:::丶'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ \____________________
いやあ、びっくりしました。三本連続酷い作品を見続けていたので嫌気がさしていて、本作もぶっちゃけその程度だと舐め切っていたのですが、ところがこれが面白かった。本作は原点の『アメリカン・パイ』に立ち戻った作品でした。
キーアイテムの「聖書」、ユージン・レヴィ、ロケ地以外、他作品との関わりはほとんどありません。製作陣も「主役がスティフラーだからマズい」ということにいい加減気づいたのか、今回の主人公はロブ、ネイサン、ルビーの童貞三人組となりました。これぞ『アメリカン・パイ』。もちろん、本家シリーズと比べると些か見劣りしますし、ドン引きして笑えないギャグもありますが、スピンオフシリーズの中では一番面白くです。
今回のスティフラーはスティーブ達の遠い従兄弟であるスコット。顔は似てるんですけど、これまでのスティフラーたちと比べてイマイチキャラが薄く、役者の無理してる感が半端ない。作品としては面白かったですが、スティフラーのキャラとしては残念ながらシリーズ中最低でした。
第八部『俺たちの同騒会』★★☆
あらすじ(Yahoo!映画より)
童貞喪失を目指して大騒ぎした、イースト・グレート・フォール高校の1999年卒業生たち。その同窓会が行われることを親友ケヴィンから知らされ、ジムと同級生だった妻ミシェルは幼い息子を連れて帰ってくる。クリスやフィンチら、昔の仲間と再会してハメを外すジム。その翌朝、彼はキッチンの床で下半身をさらけ出したままで目を覚 ますが、前夜の記憶がまったくないことに愕然とする。
本作のスティフラー家
スティーブン・スティフラー(ショーン・ウィリアム・スコット)
スティフラーのお母さん
解説
本家シリーズとしては実に9年ぶりの新作となる本作は、苦労して予習した甲斐のあった良作でした。
『ハレンチ教科書』と同じく、原点である一昨目に立ち返ってるのが素晴らしく、監督も『アメリカン・パイ』の大ファンを公言しており作品への愛に満ちたオマージュネタが満載。しかし単なる焼き直しではなく、大人になったからこその責任感や哀愁を描いているのがポイントです。高校生の頃と同じようにバカだけしてりゃいいってもんじゃないと、彼らは学ぶのです。
しかし、久しぶりに登場したスティフラーだけはテーマに逆行しているから楽しい。冒頭では大騒ぎはするが上司には頭が上がらないという、なんとも情けない現状を晒しますが、後半で「仕事なんか知るか!俺はやりたいようにやるぜ!」と反抗して見せるのはカタルシスを感じました。かといって、以前のようにただ周囲に迷惑をかけるだけでなく、「好き勝手騒げるのは皆が居たから」ということに気づき、ジャイアンのようなガキ大将となりました。スティーブンなりの成長なのです。
一方でスティフラーのお母さんはトンデモないことになるのですが、それは観てのお楽しみということで!