LAに雪を降らせたジョン・マクレーン

 って事でイヴとクリスマスは家に泊まりに来てた友人と『ダイ・ハード』シリーズを3まで観てたっす。1作目は何十回観たかわかりません*1が、言わずもがな何十回観ても面白く、新しい発見のある映画です。今回観ていて初めて気付いて感心したのは、クリスマス映画として『ダイ・ハード』がさり気なく施していた演出です。

 

※以下『ダイ・ハード』ラストシーンのネタバレですが、万が一『ダイ・ハード』をまだ観たことがない幸運な人がいましたら、即刻ブラウザを閉じて近くのレンタルショップで借りるか、加入している配信サービスで『ダイ・ハード』を観て下さい。単純に映画史に残る傑作なので!

 

 『ダイ・ハード』でハンス・グルーバーがナカトミビルを狙ったのはテロリストを装ってその実ナカトミ社が保有していた証券や債券を手に入れる為でした。その企みを寸前で阻止し、ラストでハンス・グルーバーを窓から落っことしたジョン・マクレーンは、めでたくホーリーを救出してナカトミビルディングから出ます。その際、ハンスを突き落とした割れた窓からハンスが手に入れ損ねた証券が舞い散るのですが、これがあたかも雪のように演出されており、改めてダイ・ハード』のクリスマス映画性を高めているのです。

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 雪の降らない乾いたLAの冬空に、ジョン・マクレーンは雪を降らせる奇跡を起こした、まるでサンタさんの様な存在です。その後カールが実は生きていてパウエルがトラウマを克服するひと悶着があった後、エンディングクレジットに入る引き画では書類は降り終わってるんですけど、そこではヴォーン・モローの「Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!(雪よ降れ!)」を流して補完しています。この時期のジョン・マクティアナンの手腕は冴え渡りまくっていていて惚れ惚れします。

 

 続けて鑑賞した『ダイ・ハード2』に関しては疲れちゃったので寝てしまいましたが、『2』も『2』でレニー・ハーリンの大味さが楽しい映画なので今後見返したいと思います。

 

 で、『3』は最後まで観たんですけれど、NYを舞台にした『3』はNYに住み慣れてから見ると位置関係がとても良く分かるので面白さが倍増でした。「ハーレムからウォール街まで30分で行け!」というサイモンの一番最初の課題からして「そんなの無理じゃん!」ってゼウスの気持ちが超分かりますし、それに対してジョン・マクレーンがセントラル・パークを突っ切るのもマクレーンの無茶の性格を反映していると同時に凄くクレバーな選択肢にも見えてきました。ミッションがニューヨーク市北部から始まり南部に下り、その後もう一度北部に戻る、という移動経路が脳に分かりやすく浮かぶと同時にサイモンの頭のよさも良く分かるので、『ダイ・ハード3』の脚本も1作目とは別のベクトルで凄く丁寧でよく出来ていると思います。

 

 もしNYに来る機会がありましたら予習もしくは復習として『ダイ・ハード3』を見るのがオススメですが、今度このブログでもマクレーンとゼウスの動きを可視化した地図を作りたいと思います。やるといったらやるぞ!

 

ダイ・ハード (字幕版)

ダイ・ハード (字幕版)

 
ダイ・ハード3 (字幕版)

ダイ・ハード3 (字幕版)

 

*1:っていうか、今年で30周年だったんですね!全く色褪せませんね