突如として始まった対談企画・第三回!「対談すればネタも考えなくて済むからラッキー」なんて軽い気持ちで始めた企画も、まさか毎日1万文字以上の文章を書くことになるとは想定しておらず、ヒーコラヒーコラキーボードを涙と指の血豆でにじませてタイプしていますが、3回にまとめるつもりがまさかの4部構成!今回はMassas52さんの2018年ベスト映画の第4位までを振り返るッ!
Massas52さんの2018年映画ベストテン(第10位〜第4位)
#2018年映画ベスト10
— TexasChainSawMassas (@massas52) December 31, 2018
①バッド・ジーニアス 危険な天才たち
②29歳問題
③愛しのアイリーン
④ミスミソウ
⑤A GHOST STORY
⑥恋は雨上がりのように
⑦寝ても覚めても
⑧M:I フォールアウト
⑨ウインド・リバー
⑩バトル・オブ・ザ・セクシーズ
第10位『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』~スティーブ・カレルが嫌な奴だから燃える~
Massas52:これはね、まず予告が凄い良かったんですよ。この映画の予告編憶えてる?
Taiyaki:僕この映画は観ましたけど、予告編はあまり覚えていないですね。日本のと一緒なのかな?
Massas52:あーどうなんだろう。日本オリジナルって感じではなかった気がする。予告編の音楽使いとか、スティーブ・カレルが良かった。これは当然観てますよね?
Taiyaki:あーもちろんもちろん、僕はスティーブ・カレルのはなるべく観るようにしてますよ、コメディ好きなんで。ただ、僕が観たのは2017年ですね。
Massas52:あーそうかそうか。まあ、コミカルなところもありつつ、スティーブ・カレルのあのテニスプレイヤーの演じっぷりがもういいじゃないですか。
Taiyaki:あっはっは、当時は普通のファッションですけど、あのショートパンツのバカバカしさとかね
Massas52:本当になんか、お前、いただろ!(笑)みたいな、そういうところもありつつの、性的にもいろんな展開を見せるじゃないですか、エマ・ストーン側が
Taiyaki:…ああ、そうですね!如何せん観たのが2年前なんで、今記憶と戦ってます…
Massas52:ははは、ちょっと時差がね。そうそう、そういう色な話があってからのクライマックスのテニスの試合。あそこがやっぱり燃えたんですよね。
Taiyaki:いやー、燃えますよね。スティーブ・カレルはちゃんと嫌な奴を演じてるのが偉い!セット力のある嫌な奴ですよね。
Massas52:凄い燃えたという、本当に単純な、そんなところです。
第9位『ウィンド・リバー』~緊迫感で死ぬ~ ※『カメラを止めるな!』のネタバレ注意
Taiyaki:僕Massasさんのベストテンは3つしか観てないからコメントし辛いというのはあるんですけど、『ウィンド・リバー』も観てないんですよね。これテイラー・シェリダンの監督作ですよね?
Massas52:そうそう、『ボーダライン/ソルジャーズ・デイ』を見逃したということもあり…
Taiyaki:贖罪的な?
Massas52:贖罪…贖罪じゃないんだけど(笑)これはこれで全然面白いですよ
Taiyaki:これはどういう映画なんですか?
Massas52:ある女性が逃げてるところから始まるんだけど、寒いめっちゃ雪降っているところで。それが何によって起きたのかを色々捜査して行くんですけど、ジェレミー・レナーとエリザベス・オルセンが…
Taiyaki:『アベンジャーズ』じゃないですか!
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Massas52:ね(笑)しかもジェレミー・レナー『インフィニティ・ウォー』に出てなかったもんだから…
Taiyaki:お前そこにいたのか!
Massas52:そういう見方もありつつ(笑)
Taiyaki:ヴィジョンは?
Massas52:ヴィジョンは出てないけど、『パニッシャー』は出てた
Taiyaki:わっはっは!
Massas52:『パニッッシャー』はめちゃめちゃいい役で出てた。まあ、それはあんまり深くは言わないんですけど…。色々いいところはあるんですけど、銃撃戦がクライマックスにあるんですけど、本当に観てたら緊迫感で死ぬんじゃないか、みたいな。
Taiyaki:『ソルジャーズ・デイ』ですね…!
Massas52:そうそう…それもあるから凄い観たかったんですけど…それと、さっき言った、とある女性が寒空の中で逃げていて、っていうところに至るまでの、最後の方で何故そうなったかっていう回想が入るんですけど…
Taiyaki:『カメラを止めるな!』じゃないですか!
Massas52:いや、観たことある映画で例えなくていいよ!
Taiyaki:だって僕それしかやることがないんですよ、今!
Massas52:そこの入り方が凄い良かった。描写単位の話なんで観てない人だとちょっとアレなんですけど…
Taiyaki:あれですか?エンドロール入ってから回想みたいな…
Massas52:だからそれは『カメラを止めるな!』だって!
第8位『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』~ジャッキー最新作はトンデモ映画~
Massas52:『フォールアウト』は前回喋った通りですけど(笑)
Taiyaki:補足するなら?喋り忘れたみたいな
Massas52:基本的にジャッキー・チェンの映画がやってたらベストテンに入れたい、っていうのを淀川長治さんが昔そんなことを言ってましたけど
Taiyaki:はっはっは、その枠ですか?
Massas52:それを実践してたんだけど、そうその枠は今やトムなんじゃないかっていう(笑)
Taiyaki:『フォールアウト』はまあさっき話したんだけど、本場のジャッキーの方は今年はどうだったんですか?(注:Massas52さんは香港映画ファンであり、ジャッキー・チェンを敬愛している)
Massas52:ジャッキーの方は、『ポリス・ストーリー/REBORN』という映画がありまして
Taiyaki:…なかなかのトンデモ映画だと聞いてるんですけど(笑)風の噂で
Massas52:トンデモない映画ですね、一切『ポリス・ストーリー』は関係ないという。ただ、主題歌だけ『英雄故事』のセルフカバーなんですよ。
Taiyaki:ああ、そこだけ?
Massas52:それ以外は特に『ポリス・ストーリー』ではない…まあ、普通にSFアクション…普通にというかジャッキーとしては珍しいんですけど
Taiyaki:途中からジャンルがガラリと変わると聞いたんですけど?
Massas52:途中かな?割と最初から
Taiyaki:じゃあ、最初の方でエンドロールが流れてジャンルが変わるんですね?
Massas52:だからそれは…(笑)ずっと同じ映画しか見てないって感じになるから、違いますよ!
第7位『寝ても覚めても』~キスから始まる物語~
Taiyaki:アメリカいると日本の映画全然観れないんで、僕このベストテンを見るまで全くこの映画の存在すら知らなかったですよ
Taiyaki:『桐島、部活やめるってよ』の宏樹くん
Massas52:そうそう。で、ヒロインがいて、最初は一人目の東出くんがワイルドな雰囲気というか、突然その女の子の目の前に出てくる。確か美術館かどっかで鉢合わせるんだけど、いきなりキスをしてそこから付き合い始めるという、結構衝撃的な恋愛を始めて
Taiyaki:『キスから始まる物語』みたいな映画ありませんでしたっけ?
Massas52:そういう感じのタイトルはあったかもしれない(笑)で、その二人がまず付き合ってまして、その男がいきなり彼女の前から姿を消して。最初その二人は大阪にいたんだけど、時間が経って彼女が東京に就職しに来たら瓜二つの第二の東出昌大が現れて。その人は全然真面目な会社員で全く前の東出とタイプは違うんだけど、顔と背格好が全く一緒。
Taiyaki:ほうほう
Massas52:最初はそれがあまりにも一緒すぎて避けるんだけど、次第に仲良くなって…っていう感じの恋愛の物語なんですけど、なんかやっぱりずっと不穏なんですよ
Taiyaki:いや、僕聞いてて、不穏な感じしかしませんよ
Massas52:まあ、まず二人目からすると「何故俺を好きになったのか問題」があるんですよ
Taiyaki:ああ、じゃあ本当にただ似てるだけの人なんですね。僕そこからヒッチコックの『めまい』みたいな展開になるのかと思ってましたよ。
Massas52:それでいて、結構観る人によっていろんな捉え方があると思うんですけど、女性側の心境が結構ぎょっとすることが多くて…(笑)二人に対する接し方というか。自分が仮にこの立場だとしてこの行動とるのか、みたいなのをありえなくはないんだけど、実はこの女が一番怖いんじゃないかっていう…まあ、ちょっとその位にしておきます
Taiyaki:ほーう、うまい言い方をしましたね!だから第二の東出くんが出てくる時はエンドロールになって出てくるんでしょ?
Massas52:…あんまこのパターンはうまく行ってねーな
第6位『恋は雨上がりのように』~負け犬が這い上がっていく物語~
Taiyaki:これも僕知らないですね
Taiyaki:小松菜奈ちゃん活躍してますね、『渇き。』以降
Massas52:『来る』とかも出てるしね。これがよくある「オジさんに女子高生が惚れちゃった」系の話なんですよ
Taiyaki:ふーん……大丈夫なんですか、その話?
Massas52:(笑)という入り口なんですよ。入り口かと思って油断してたら、めちゃくちゃこの映画評判が良くて、いざ観に行ったんですけど、これが負け犬達の這い上がって行く系の話だったんですよ
Taiyaki:えー!そんな急に『ロッキー』的な話になるんですか?エンドロール後に?
Massas52:エンドロールって…(笑)じゃあエンドロール前はおじさんとJKの話かと思いきやみたいに…(笑)まあ、ちょっと粗筋で載ってるレベルで話すと、女子高生が元々陸上部で割とスター選手だったんだけど、怪我でやめてて。そんな時にたまたま立ち寄ったファミレスで店長やってた大泉洋に、落ち込んでる所に手品見せてもらうくだりがあって、そこから恋を抱いてファミレスでバイトを始めるという
Taiyaki:ふーん……大丈夫なんですか、今日日おじさんに女子高生が恋するストーリーって…?
Massas52:俺も思ったんだよ、思ったんだけど、そこがだから…
Taiyaki:ミスリード?
Massas52:ミスリードっていうか…恋というか、挫折していた中で出会って優しくされて、みたいなのだったのが、大泉洋が告白を受けた後にどう振る舞うかという、ちゃんと陸上で夢を断たれた女の子の再生に力を貸して行くっていう振る舞いになって行く。さらに大泉洋側もファミレスの店長っていう仕事をしているわけだけど、こういうとあれだけどファミレスの店長になりたくてなったかっていうと彼もそうではないわけで。で、そこには何があったのか、みたいなところもあって、お互いを助け合って行くみたいな
Taiyaki:『ラ・ラ・ランド』みたいですね
Massas52:あーそうそう、ちょっと近いところがある。だから最終的にものすごい爽やかな終わり方をする映画なんですけど、いわゆる高校生向けの青春映画かと思ったら、凄い良かったという
Taiyaki:へー、気になるなぁ。ちなみに監督とかは?
Massas52:えっとね、永井聡って人
Taiyaki:あー、『帝一の國』の人か、あと『ジャッジ!』とか
Massas52:AOIプロなんだよね
Taiyaki:プロ…頭が、ウゥッ!
第5位『A Ghost Story ア・ゴースト・ストーリー』~ただただ傍観者なケイシー・アフレック~
Taiyaki:これも観てないんですよね…
Massas52:これはね、あんまり話っていう話はないんだけど…ケーシー・アフレックとルーニー・マーラが主人公夫婦で
Taiyaki:印象的なポスターは知ってますけどね
Massas52:あの風呂敷というかシーツかぶったやつね。で、ケーシー・アフレックが先立っちゃって、妻が残されて、っていう時にケーシー・アフレックがああいう状態の幽霊になって出て来るんですけど
Taiyaki:えー、こんなE.T.が布かぶってるみたいな格好で…
Massas52:全然誰にも見えないんだけど
Taiyaki:え、見えないっていう設定なんですか?
Massas52:幽霊同士は見えるんだけど、人間には見えない。これね、説明が難しいんだよね…
Taiyaki:へー、じゃあケーシー・アフレックは顔はずっと出てないんですか?
Massas52:そうそう、最初以外はほとんど出ない
Taiyaki:ずっとこの状態なんですね。それは面白いですね、手法としては
Massas52:あと全編4:3で、8mmじゃないと思うんだけど、昔のフィルムで観ているような感じの画を撮ってる
Taiyaki:これってA24ですか?
Massas52:あーそうそう
Taiyaki:A24の4:3でいうと、ジョナ・ヒルの監督デビュー作『mid90s』って映画も4:3でフィルムで撮ってましたね。
Taiyaki:僕これビジュアル的にホラーだと思ってたんですけど
Massas52:どっちかっていうとファンタジーかな。なんだろうな、そんなに話らしい話があるわけじゃなくて、本当にひたすら死んだケーシー・アフレックが妻を見続けるっていう
Taiyaki:話さないんですか?
Massas52:話さない。あんまり自分からは発信ができなくて、けどある場面だと物に触れて落としちゃう、みたいなことはあったりもする。お皿とかを触ったらそれが落っこちて、それがポルターガイストみたいな感じになる
Massas52:で、こっちから発信ができないんだけど、ルーニー・マーラが家を去ろうとする時に、ある置き手紙を残す。で、その置き手紙を柱の避けたところに挟んで去って行くんだけど、それを延々とシーツの中から取ろうとして全然取れないというくだりとかもあったりして(笑)
Taiyaki:わはは、そういうギャグとかもあるんですね?
Massas52:ギャグじゃない、物凄いもどかしいの、そこは。ひたすらもどかしい描写だったり、幽霊が見ているルーニー・マーラの姿を永遠と結構長回しで撮ったり、なんか不思議とずっと見れちゃう
Taiyaki:ベストテンのポイントは?
Massas52:えっとね、こんな話をしたんですけど、それが全体の3分の1くらいなのかな。
Taiyaki:えっ!?
Massas52:結構壮大な展開を見せるんですよ
Taiyaki:へー!だから話し辛いような感じ出してるんですね
Massas52:まあ、簡単にワンポイントだけいうと、死んだことによって彼は時間を超えた存在になるので、いろんなものが見えて行くんですよ。あくまで彼は傍観者なんだけど。っていう視点が面白い、っていう映画です。
Taiyaki:彼自身は介入はできないんですよね?
Massas52:介入はポルターガイストくらいしかできない。
Taiyaki:凄いなんか哲学的ですね。ちょっと興味出てきました、観ておこう
第4位『ミスミソウ』~ひたすら復讐が美しい~
Taiyaki:まあ、ツイッターかなんかで評判は聞いてましたけど、そんなに良いんですか
Massas52:これはね、『恋を雨上がりのように』もそうなんだけど、漫画原作モノは本当にここ最近は水準が上がってきた…上がってきたというか、高いものが増えてきたのかな、低いものも当然あるんでしょうけどね
Taiyaki:『BLEACH』とかね
Massas52:あー観てない(笑)
Taiyaki:まあ、大して話すような映画でもないです
Massas52:語る価値もないのか…(笑)まあ『ミスミソウ』は雪景色の中で起こる殺戮っていうのがあるんだけど、僕が好きな画として基本なんですけど、『修羅雪姫』的なところとか
Taiyaki:オマージュを捧げた『キル・ビル』とかね
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Massas52:で、まず最初は主人公の女子高生がいじめにあってて、結構そのいじめの描写が壮絶なんですけど、そういうところから始まってからの、簡単にいうと復讐劇なんですけど、ひたすら復讐する様が美しいというのは一番のポイントかな。全体的に美しいんだけど、ゴア描写的なのが結構時折チープなところも結構あったりするんですけど、そこもまたちょっと愛らしいポイントかなと
Taiyaki:でも暴力描写が美しい映画は傑作が多いですよ
Massas52:やっぱ雪景色強いなというのはあるんですけど
Taiyaki:ヴィジュアル的にね。タランティーノの『ジャンゴ/繋がれざる者』も白い綿花に一瞬血が舞うところがあるじゃないですか。やっぱり真っ白なところに赤っていうのが美しさがありますよね
Massas52:そうそう。で、この映画が面白いのは、ずっと雪が降り続けてて、惨劇が起こって行くんだけど、惨劇の跡が雪でどんどん積もって消えて行くっていう
Taiyaki:おー、だからバレないみたいな?
Massas52:行方不明者が大量に出てくるっていう
Taiyaki:えー(笑)そんな穏やかじゃない映画なんですね
Massas52:その数日間の中でどんどん行方不明者が現れて行く(笑)その復讐に転じるきっかけとなる出来事が、あまりにも凄惨な出来事が起こりすぎて、そりゃ皆殺しにもしたくなるわって感じのところはあるんですけどね。なので物凄い感情的にも揺さぶられたし、その後の復讐の描き方も凄い好きだなっていう
Taiyaki:復讐劇として完璧な一本ということで
Massas52:それに尽きるね。で、去年普通に一回見たのと、暮れに文芸座でオールナイトでこれに近いような映画をまとめた4本立てがあって。で、その4本とも観たら大抵の登場人物がほぼ死ぬっていう(笑)
Taiyaki:わはははは!
Massas52:4本観て何十人死んだんだろ
Taiyaki:なんか、作った人たちのルサンチマンが溜まってますね(笑)
Massas52:ルサンチマンとそっからの解放がね
【次回・完結編に続く…多分完結編】