台湾旅行記 vol.2

1月3日(前半)

 台南にある婚約者の実家に泊まっているが、実は彼女の母親は台湾ではちょっとした有名な教育評論家らしく、軽く引くほど大きいペンションに住んでいる。動画を僕の家族のライングループに送ったら、母親から「うちとは釣り合いませんので…」と冗談混じりで返ってきた。哀しいな!

 

 しかし、朝から飛行機の音がうるさい。しかもただの飛行機ではなく、軍用機の空気をつんざくような音だ。この付近には空軍の空港があるらしく、日常的にこの轟音が響いているそうだ。僕なんかはニュースで聞いているように、つい中国の台湾侵攻を思い浮かべて緊張が走ってしまうが、お義母さん曰くそんなものは全く心配していないそうだ。何十年も続いている中国の脅しなんかにいちいち怖がっていられないとのことで、つ、強い…!

 

 この日、ご両親は二人とも仕事があり(お義父さんは町の歯科医だ)、彼女の妹二人とその彼氏たちと台南を回る。末の義妹と彼氏は台北に住んでおり、有給をもらって台南に泊まっているそうだ。彼の名前はティーアンと言い、建築会社に勤めていて、『ワンピース』が大好きで日本語を少し話せる。末の義妹はアメリカに留学していたので英語を流暢に話せるが、ティーアンもゆっくりながら英語でのコミュニケーションは可能だ。ただ、中国語を話していても物静かで、写真を撮るのが好きな芸術家タイプ。

 

 曲者なのは、真ん中の義妹が付き合っているアメリカ人の彼氏の方だ。二人は年末、東京の我が家に泊まりにきていて既に顔見知りだったが、彼氏のコナーは典型的なアメリカ人でとても理屈っぽい。納得できないことがあるとすぐに義妹と口論(しかもスーパー早口)をするが、その様子を見るのはとても愉しい。

 

 しかし、おそらくコナーは結婚を意識しており、既に彼女の両親に会っている僕にどうやったら仲良くできるか事前にアドバイスを聞いてきたり、僕が渡台するよりも前から台南にいる彼は、彼女の両親に「感謝の手紙」を書いて渡していたりする、したたかな一面がある。コナーの母親は中国系アメリカ人なのに彼自身は英語を話せないコンプレックスもあるのだろう、同じ中国語を話せない者同士仲良くやってはいるが、どっちがより義理の両親に気に入ってもらえるか、僕に対する薄らとしたライバル心を彼から感じる。(気のせいかもしれないが)

 

 何せ、家族全員でご飯を食べる時など、コナーの行動は早い!水を注いだり、皿を配ったり、何か欲しいものがあるか周りに聞いたり、僕が気づく前には大体彼が済ませている。そういう時は僕も「あ、まあやってくれるなら楽でいいや〜」とか思ってしまうと、彼女の「このままじゃ置いていかれるよ!」という視線に気付いてしまうので、もうヘラヘラ苦笑いしながら箸を配るしかない。

 

 実にクセの強い義理の弟(の候補)が二人もできたと思うが、まあ、彼らからしてみても僕はすぐ一人でフラフラどっかに行ってジンバルつけたミラーレスカメラで動画撮ったり写真撮ったりしているので、相当空気の読めない義理の兄ができただろう。結婚は結婚相手のことだけじゃなくて家族がいきなりドッと増えることなのだと、2日目にして改めて知らされたのであった。(明日以降の1月3日後半へ続く)

 

家族になろうよ / fighting pose

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