こんな記事を見かけまして…。
まあ、僕ら夫婦もまさしくアプリで出会って結婚した日台カップルで、よく付き合った経緯を聞かれてそう説明すると「今時だね〜」なんて言われることが多いですが。これは単に出会いの距離が技術の発展とともに拡大している、ってだけの話だと思います。
昔このブログでも紹介したことがあるんですけど、コメディアンのアジズ・アンサリがNY大学の社会学者エリック・クリネンバーグと一緒に恋愛について研究した『Modern Romance』って書籍がありまして…って、今調べたらもう和訳本が出てるんですね、日本語タイトルは『当世出会い事情--スマホ時代の恋愛社会学』だそうです。*1
で、この本によると、コミュニケーション手段の発達と共に恋愛をする距離は拡大していったそうです。例えば、1932年にフィラデルフィア大学で結婚したカップルが元々結婚前にどれくらい離れた場所に住んでいたか調査をしたそうですが、1/3のカップルが5ブロック(街の区画)以内しか離れていなかったそうです。それどころか1/6は同じブロックに住んでいて、1/8はなんと同じアパートに住んでいたそうです。
それが通信手段と交通が発達していくとともに、パートナー探しは隣町や隣の市まで、あるいは州を跨いで、それが国の端から端まで、そしてついには国を隔ててまで拡大していったのです。
考えてみると、今時出会いのチャンスが自分の近所しかなかったら中々嫌じゃないですか?幼馴染のカップルは理想的な恋愛としてフィクションで描かれることは多いですが、現実はそう甘くないはないでしょう。恋愛対象の距離を広げると出会う人のサンプルも機会も増えるわけで、その空間とチャンスをデジタルで無限大に広げてくれるアプリは最強なわけです。
ただ、記事にもある通り、未婚者のうち14%が「結婚したくない」と答えていますし、一番大事なのは何より「選択肢が豊富にある」ということです。先ほどの近所で恋愛していた時代に戻りますが、結婚して子供を作ることを絶対視されていた時代に好きな人もいない中で近所の人の中で恋愛を強制されるのは中々に最悪だと思います。セクシャル・マイノリティの当事者だったら尚のことです。
そういう意味ではマッチング・アプリは恋愛したくない人は利用しなくてもいいし、性的当事者同士の出会いの場にもなるし、色んな選択肢を残してくれるアプリ全盛期の世の中を僕は大肯定しますが、結婚や子作りなんてしたい人が別にすればいいだけの話なので、記事にある通り国や自治体が予算割いてまでやることなのかは甚だ疑問ですね。