『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を観ましたが、ガッカリしました。

 という訳で昼に『ジュラシック・ワールド/復活の大地』を観に行ったんですけど、うーん、僕は非常にガッカリしました。

 

 先に良かった点を挙げますが、恐竜の巨大感は流石の素晴らしさで、IMAXで観る価値がありました。最近のハリウッド映画はやたら実写で撮ることにこだわる風潮が強いですが、結局大型のアニマトロニクスを作ったところで監督にその演出手腕がなければあまり意味がないと思うんですよ。その点、ギャレス・エドワーズVFXを出自としている監督だけあり、頭の中にハッキリとビジョンがありなおかつそれを映像化する能力に長けていると思います。

 

 特に白眉だったのは主人公一行がチタノサウルスと遭遇する場面で、あのシーンはシリーズが初めて1作目の「恐竜が実在する!」というビジュアルショックに肉薄した名場面だと思います。また、陸・海・空の大型恐竜からDNAを採取せよ!とプロットをケイパージャンルに寄せたのも分かりやすく新鮮味があって良かったと思います。

 

 ただですね、僕がこの映画にハッキリと冷めてしまったシーンがありまして、それは冒頭でスニッカーズが出てくる場面なんですね。詳細は控えますけど、このシークエンスのあまりの馬鹿馬鹿しさに僕は呆れてしまって、そこで離れた気持ちが戻らないまま映画が終わってしまいました。

 

 もちろん、『ジュラシック・パーク』並びに『ジュラシック・ワールド』シリーズも長年追っていると、これまでも口があんぐり開いてしまうくらいバカバカしいシーンはありました。モンスター映画にバカな登場人物や展開が出てくるのもお約束です。

 

 ただですね、今作の「スニッカーズ」のシーンに限っては、あから様にプロダクト・プレイスメントなんですよね。言わば企業の宣伝のためにバカなシーンが組み込まれているので、可愛げが全くなく現実に引き戻された気がしました。

 

 で、本編も本編で基本書き割り的な登場人物たちが、それぞれの役割を忠実に守って死んでいきます。また、本作はスカーレッド・ヨハンソン率いる傭兵部隊の他に、サスペンスを盛り上げるために子連れの家族も巻き込まれます。『ジュラシック・パーク』と子どもはお約束なので百歩譲って良いとして、これまたガキンチョがプロダクト・プレイスメントのお菓子を可愛い恐竜に配るためだけに存在しているようなもので、どんだけ危ない状況でも何故か勝手についてくるチビ恐竜に構っているので、ハラハラというよりはイライラしました。

 

 また、イライラで言えば、家族側の長女のボーイフレンドがいるんですが、こいつが登場時点から嫌なティーネイジャーで、初っ端から「そのまま恐竜に喰われろ!」と思わせるようなヤツだし、「おしっこしてくる」と言って近くですれば良いのにわざわざ危険を冒して遠くまで用を足しにいき、そのままサスペンスフルな場面に移りますが、あまりにもバカらしいのでサスペンスが機能していなかったですし、やっぱり僕は「このまま喰われろ!死ね!」とついつい思ってしまいました。

 

 そして、おそらくインドミナス・レックスを超えるように登場させられたD-REXですが、僕は予告編を観た時点でそもそもの恐竜を離れたモンスター然としたデザインに懐疑的に思っていました。ミュータント恐竜は『ジュラシック・ワールド』でも賛否を呼んでいた部分ではありますが、インドミナスは遺伝子配合された恐竜の特徴を全て兼ね揃えており、各アクションシークエンスでその能力を駆使するので大変楽しませてくれましたし唯一無二の存在になったと思います。

 

 その点、今回のD-REXはデカくてキモいと言うだけで、D-REXだからこそ成立するアクションやサスペンスが皆無なんですよね。だったら、今まで通りのT-REXヴェロキラプトルで盛り上がれば良かったのに。あと、登場シーンが押し並べて暗く全容が分かりづらいのもストレスでした。

 

 と言う事で、イナゴが大活躍した『新たなる支配者』からわずか3年ですが、もうシリーズの新機軸だそうです。劇中「かつては恐竜は人気だったのに、いまや誰も気にしない」などというシリーズや現在の映画界を示すようなメタ的な発言がありました。でもその答えは簡単で、ハイペースで作り過ぎなんですよ!劇中スピルバーグ作品のオマージュが散りばめられていましたが、本作のオリジナリティのなさを表しているようで虚しさを感じました。

 

 ただギャレス・エドワーズ本人は『ゴジラ』も撮って『スター・ウォーズ』もやって『ジュラシック・パーク』も手がけましたから、この世で一番幸せな映画監督ではあるかも知れないですね。その点だけは羨ましいです。