生まれて初めて結婚式に参加してきたのである。

 2/29は学生時代やっていたバイト同期(仮にHさんとしよう)の結婚式だったので、横浜まで行って来た。考えてみれば、僕は齢28にして今まで結婚式というものに行ったことが無かった。そもそも友達が少ないし、結婚式行くほど仲の良い数少ない友人たちも僕がアメリカに行っている間に結婚式をやっていたので、結婚式に行く機会がまるで無かったのだな。

 

 元々作法や伝統はどうでも良いと思っている捻くれた人間だが、流石にめでたい晴れの舞台に失礼があってはならないので、前日は日本に帰って来て初めて散髪に行き、ネットで祝儀袋の書き方を調べて緊張しながら帯に名前を書いたり、結婚式とはどのように進むイベントなのか調べたりして、それなりに準備して臨んだ。

 

 余談だが、僕は『ザ・ルーム』を配給する身として、新型コロナウイルスの感染状況が心配でならず、今その対応策をあれこれ悩みながら考えている。結婚式も映画の興行と同様に予め日にちが決まっているものなので、今回の新型肺炎のニュースには色々ヤキモキした思いだったんだろうなぁ、と夢想する。ひとまず無事に行われて良かった。

 

 ちなみに僕のアルバイトというのは某放送局のニュースデスクの電話番だったのだけれども、シフトは一人だった割にはバイト同士の中がとても良く、頻繁に飲み会などを行っていたし、僕が日本に一時帰国するたびにも高い参加率で皆集まっていた。今回結婚するHさんはバイトリーダーを務めていた同期の女の子で、僕も大学が同じだったし、奇しくも浪人を経験したことあるもの同士だったし、交代するタイミングが多かったこともあり、仲も良かった。僕が一番最初に出来た元カノに振られて相当落ち込んでた時には慰めてもらったりしたもんだ。飲み会ではよく無理やり飲まされてゲロゲロに吐かされもしたけれども。そんな彼女が結婚するのは中々感慨深い。

 

 横浜駅で久しぶりに会うバイト仲間と合流し、ホテルの結婚式会場に向かう。よく知る人の結婚式とはいえ、正直バイト時代の友人たち以外は全く知らない人の集まりなので、割とアウェー感があり少しキョドッてしまう。待合室で自然と隅に追いやられていた我々の立ち位置が、放送局でバイトしていた当時を思い出して笑う。というのも、すぐ隣の他部署のバイトの子にすら話しかけられないくらい、我々はコミュ障だったからだ。

 

 時間になり、結婚式場へ案内させられる。ホテルの中に教会を模した空間があるのは個人的には新鮮で少し可笑しかったが、そのレベルで僕は結婚式を知らない。すると神父と新郎が入ってくるのだけれども、神父は日本語を話せる外国人の神父だった。アメリカにいた頃、よく布教目的で日本や韓国にいたというキリスト教関係者をみかけたが、彼もそういう人間の一人なのだろうか。アメリカにいたやつはガチガチのトランプ支持者で正直大嫌いだったけれども。こういうことをめでたい席でついつい考えちゃう僕はいよいよ根性が曲がっている。

 

 さて、いよいよお待ちかね新婦の登場だ。お兄様にエスコートされ、ウェディングドレスに包まれたHさんは、今まで僕らが見たことがない美しい表情を見せている。いやあ、なんともめでたいもんだな。僕はデジイチを持って来ていたのでパシャパシャ写真を撮っていた。雇われのプロのカメラマンが当然一番良いアングルを押さえているので邪魔だ。結婚式のカメラマンの仕事も面白そうだから一度くらいやってみたいな。

 

 式が終わり、神の下でHさんと旦那さんが夫婦になったのを見届けると、別の案内室に連れてかれ、披露宴まで待たされる。この時、Hさんのお母様と妹様にお会いして「いつもブログ読んでます!今日お会いできるのを楽しみにしていました」と声をかけていただいた。実はHさんのお母さん、僕が大学時代に撮った映画が映画祭で上映された時に観ていただいたので、顔なじみではあったのだ。ご家族がブログを毎日読まれてることもHさんヅテに聞いていたが、改めて言われると嬉しい。調子付いて「今日のこともブログに書きますから!」とお答えしたが、思ったより長くなってしまったので昨日の晩の更新に間に合わなかったことをHさんのお母様に謹んでお詫びしたい。

 

 さて、披露宴である。前のスクリーンでは二人が出会った経緯を可愛く説明するビデオが流される。司会の進行もうまく、インタビューなどで会場は盛り上がる。来ている人を飽きさせない工夫が為されているが、結婚式も立派なエンターテイメントショーなんだな。神田うのが趣味として一時期盛大な披露宴を何回もやっていたことのもうなづける。ただ、ここでチクっておくが、新郎側のヤンチャな連中に何か触発されたのか、僕らのバイト同期のうち一人は飲み過ぎてしまい最後の方は船を漕いで爆睡していた。(Hさん、これを読んでいたら頭文字がOのやつですよ!)

 

 披露宴の最後、Hさんは家族への感謝の手紙を読む。ここで感心したのは、彼女は手紙を読んでいる際気丈に勤めていたが、最後に家族で挨拶する際にお母様と対面した際にやっと涙を流すのだ。Hさんはバイトリーダーを務めていただけあり、彼女のしっかり者の性格がここに現れていたと思う。あ、そうそう、もう一つ感心したのは、ついた席の名札の裏に、彼女が一人一人来てくれた参加者に対してメッセージを書いていたことだった。どれだけのインクと時間がかかったのだろうか、考えるだけで途方に暮れる。

 

 いつ編集したんだ!と驚かされる、当日ついさっきまで撮っていたはずの映像も盛り込まれたエンドロールが流れ、多幸感に満ちた結婚式は終わった。生まれて初めて参加した結婚式は面白く、月並みではあるが自分も結婚したくなった。何はともあれ、Hさん結婚おめでとう!

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