僕という捻くれた人間の話

 今日は高校時代の友人の結婚式に参列した。6年間同じ部活の仲間で凄く仲が良かったが、あまり気乗りしなかった。彼が学生時代に連んでいた人たちが好きではなかったのだ。

 

 話を少し変えると、僕は同窓会に人生で一度も行ったことがない。理由はシンプルで、当時好きじゃなかった人たちに会いたくないのだ。別にイジメられていた訳ではなく友達も多い方だったが、学校というシステムの中で無理やり形成されたコミュニティーの中では様々な人間関係が歪みが生じる。嫌な思いをさせられた人間は多いし、逆に僕が傷つけた人もたくさんいる。

 

 こういうことを言うと、「それが同窓会の醍醐味なのに〜」なんてよく言われるけど、僕はそんなマヤカシのエモさは求めていないし、今更当時のことは水に流して、っていうのは僕の性格的にはできない。

 

 会いたい人には自分から誘って会う、けど義務的に会いたくもない人たちとわざわざ会う必要はない、というのが僕のスタンスだ。余談だが、大学時代のサークル仲間とは卒業後も頻繁に会っていて、これは大学が自分で好きなコミュニティーを選ぶ場だから、自ずと好きな人だらけということに繋がっているのだろう。

 

 事実、今日結婚した友人(仮にAくんとする)とは卒業後も会ったり呑んだこともあったし、僕がアメリカから一時帰国するたびにも必ず会うくらい仲が良かった。が、Aくんの高校時代の友人たちは所謂不良グループばかりで、僕はあまり良くない感情を抱いていた。受験期の大事な一年で、彼らが行った悪戯のせいで学年集会となり、貴重な勉強時間が削られるたびに嫌気がさした。

 

 なので、今日は正直ちょっと憂鬱な気持ちだった。今日結婚式にきた人たちの中で仲が良かった人たちはほとんどおらず、なんなら卒業後13年間会ってない人だらけだ。もう初めましてにリセットされるくらいの感覚で、ただでさえ人見知りの僕にはきつい。最寄駅に向かうまでも、会場に向かうチャーターバスの中でも、間違っても「ああ、久しぶり〜!」なんて声をかけられて無理やり頑張って会話を展開させないように、僕はずっとスマホを見るのに忙しいフリをしていた。

 

 しかし、そんな「忙しいフリ」も解除についた途端に破られる。式が開場するまで待っていると「あ、Taiyakiじゃん!」と同級生が声をかけた。ウェルカムドリンク片手にオドオドしていると、隣の席に促される。観念して座ると「『SKITBOOK』見てるよ!」と言われて驚いた。まさか僕の活動なんて気にかけている人がいるとは思っていなかったからだ。次第にどんどん同級生が集まってくるが、「何年か前に撮った映画見たよ」とか「面白いと思ってフォローした動画がお前のTikTokでビビった」と何人か話してくれた。

 

 僕はすごくバツが悪くて気まずくて、だって卒業後みんな何をしているか知らなかったし、知ろうとも人に聞こうとも興味を抱こうともすらしなかった。こんな一方的に「好きじゃないから」と避けていた捻くれていた人間なのに、僕が何よりも命をかけている映像制作活動を見てくれているのは本当に申し訳ない気持ちになるし、もう少し交流を深めていれば良かったとも思った。

 

 そんなことを考えていたら、ケーキ入刀のタイミングで「(新婦の)おっぱい大きくね!?」と言う声が聞こえて一気に僕が抱いていた「エモさ」は消えた。このグループのこういう下品なところがやぱり嫌だったんだよな。ということで、披露宴が終わったら二次会には出席せずにまっすぐ帰ったのだった。Aくん、結婚おめでとう!