ネット広告はクソな広告業界の更に絞りカス

 最近YouTubeの広告がウザくてしょうがない。コロナが流行ってから、というよりは日本に帰ってから目にすることが多くなったと記憶しているが、下手くそな絵柄と演技力もない声優と、くだらないストーリーが展開される漫画で、ダイエットやら筋トレやらのサプリメントを長尺で押し付けてくるアレだ。

 

 そもそも実体験上、僕はテレビ・ウェブなどの媒体を問わず、広告産業は総じてクソだと思っていて、広告に行く莫大な金があるくらいなら全額アフリカに寄付した方が遥かにマシと思っているのだけれども、確かにテレビよりも制限のないウェブ広告の方が作り手の矜持も倫理観も欠けていて、内容もずっと下品で下劣でクソ・オブ・クソで不愉快にさせる。

 

 どの広告も大体ストーリーは一緒だ。太っていた主人公が、周りからバカにされ人生もうまくいってないところ、オススメされているサプリを飲むと、高嶺の花だと思われていた巨乳美女とセックスして幸せになる、というものだ。どの広告も「肥満は蔑まれて仕方ないもの」という酷い偏見と、「女性は性の消費物」という呆れたミソジニーが盛り込まれている。僕は太ってもなければ女性でもない。でもこういうステレオタイプに満ちた価値観を見ることを強いられているYouTubeの広告システムには腹が立って仕方がない。

 

 最初に書いたように、僕は基本的に広告業界はクソだと思っている。例えば、東京の街で見かける化粧品のポスターは、ほとんど「白人」の美男美女だ。テレビで見る洗剤CMの主役は、ほとんどエプロンをつけた「主婦」だ。日本社会に古くから根付く悪しき差別心が流れているが、それでもテレビや街頭で見かける広告には大金がかかっている分だけ、業界屈指のビジュアル・アーティストたちが婉曲表現をうまく操って誤魔化している。

 

 一方で、ウェブ媒体の広告はインターネットの自由度を逆手にとって、醜悪なまでにダイレクトにメッセージを発している。例えば、YouTubeの広告は6秒経てばスキップできる。そんな短尺で消費者の興味を引くには、間接的な「表現」をする時間は勿体無い。「デブ=キモい」「女=セックス」と直接イメージとメッセージを結びつける。

 

 ちなみに、僕がアメリカにいた頃、こういったファックオフな広告を見た記憶はない。そりゃ、YouTubeに流れる広告は、須らく怪しくて胡散臭くてウザったいのは変わりはないが、差別心に満ちた下品な広告を流せるほど、羞恥心や矜持を欠いたメーカーや広告代理店はなかったと思う。

 

 本当に恥を知るべきだが、あんなカスみたな広告を作っている連中にそんな言葉は馬の耳に念仏だろう。なので、費する側の意識を変えて行くしかない。あのカスみたいなダイエット広告に少しでも心揺さぶられてしまった人は、『アイ・フィール・プリティー!人生最高のハプニング』という映画をオススメしたい。 

 

 自身の肥満にコンプレックスを抱いている主人公が、ある日頭を強打したことで自己認識が変わって、自分が絶世のスタイルの美女に見えてしまう、というコメディだ。当ブログでも一度紹介したことがあるので、詳細はそちらを読んで欲しいが、この映画を見ればサプリみたいな怪しいアイテムに頼らなくていい、というのが分かるはずだ。

 

 

 自分の美しさを決めていいのは自分だけで、他人がとやかく言うものではないのだ。YouTubeはあのクソダイエットCMは打ち切って、代わりに『アイ・フィール・プリティ!』を流せよ!

www.youtube.com