『テラスハウス』の一ファンとして、製作陣への「真摯な対応」を求める。

 木村花が亡くなってから4日経った。『テラスハウス』の歴代住居人、スタジオメンバーが各々追悼の意や声明を出している中で、制作サイドからの公式声明が番組Twitterと公式サイトに載せた以下の短文と、配信停止のお知らせだけなのに強い違和感と苛立ちを覚えていた。

木村花さんの突然の訃報に接し、言葉を失っております。ご親族の皆様へ謹んでお悔やみ申しあげるとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 しかも、製作スタッフは誰も実名で声明を出しておらず、これではスタジオメンバーに代弁してもらっているように見え、ある意味では責任を押し付けているようにも捉えることができて、非常に卑怯だ。一企業の危機対応のあり方として、これほど酷い有様はないんじゃないか。

 

 僕は何も、『テラスハウス』製作スタッフに木村花の死の全責任を問いたいわけではない。何度も主張したが、木村花のアカウントに攻撃した人たちはもちろんのこと、これまで出演者に辛辣な番組作りをして来た製作陣やスタジオメンバー、そういった作風を無批判に享受して来た我々視聴者、全員が共犯関係となって起きた悲劇だと思う。まさに我々が子供時代に散々言われた「イジメはやってる人だけじゃなくて、黙って見過ごしていた方もイジメ」という、説教の延長線上にある話だ。

 

 しかし、これまで『テラスハウス』が話題のために炎上を狙っていたのは番組を見ていれば明らかで、ならば出演者へのメンタルケアをしていたか、過度に誹謗中傷するアカウントには何か対応をしたのかなど、作り手として安全策を講じていたかどうかを明らかにする義務がある。

 

 製作陣がモタモタしている間、匿名の「現役スタッフ」による告発がネットニュースになった。匿名である以上、信憑性が担保されておらず、事実として実際の『テラスハウス』出演者の証言とは齟齬がある状態だが、既にネットニュースを読んだ人々によりさらなる大炎上が起きている。木村花に起きたことと全く同じことが起きる、皮肉で見にくくてとても気持ち悪い状況だ。

 

 いまやNetflixで配信されている『テラスハウス』は国際的なコンテンツであり、世界的に注目度が高い。であれば、一刻も早く事件の検証を行い、どういう工程で番組が作られていたのか包み隠さず説明し、真相を究明することが木村花や遺族への一番誠意がある対応ではないのか。エンタメ業界が同じ悲劇を今後二度と起こさないために、求められる態度ではないのか。

 

 こういうことを呟いていたら、4日ぶりに製作陣から公式の声明が出された。

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 僕は呆れ果てた。番組製作会社のイースト・エンタテインメントとフジテレビとNetflixは今週に入り協議をしていたと聞いたが、人一人死んでいるのに番組を続けるかどうかを検討していただけなのか。この時点で全く「真摯に対応」していない。余談ではあるが、問題が起きた時に原因から目を逸らす態度は、今の日本社会に蔓延している病だと思う。「原因」を追求しないと、次の「問題」は全く防ぎようがない。

 

 前述したように、我々『テラスハウス』ファンにも木村花の死への責任を負っていると僕は思っている。その責任は、今後二度とこういう悲劇を起こさないことでしか償えない。だから、僕は製作陣への「真摯な対応」を求める。

 

taiyaki.hatenadiary.com