怒りのゾンビ・ロード/『新感染半島 ファイナル・ステージ』★★☆

 大ヒットした韓国製ゾンビ映画新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編、『新幹線半島 ファイナル・ステージ』を鑑賞。監督&脚本は前作に引き続いてヨン・サンホ、主演にカン・ドンウォン、出演にイ・ジョンヒョン、キム・ドユン、クォン・ヘヒョ、イ・レ、イ・イェウォン、キム・ミンジェ、ク・ギョファンら。

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 年も明けたし、新年一発目の映画館は景気のいいものをお探しですか?でしたら、大量のゾンビが猛スピードでドリフトするSUVに轢かれまくる新感染 ファイナル・エクスプレス』なんていかがでしょう!

 

 え?映画館行きたいけどコロナが怖いって?こんなご時世だからこそゾンビ映画を映画館で見るべきでしょう!4DX異常の一体感が味わえますよ!

 

 ……とまあ、(半分)冗談はさておいて、世界中で大ヒットした前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』にまさかの続編が登場。前作は高速鉄道のスピード感と短距離選手ばりにダッシュするゾンビの疾走感が合わさった新感覚のゾンビ・サバイバル・アクションであったが、本作では趣向をガラリと変えていて驚いた。今回は各所で比較されているように、マッドマックス 怒りのデス・ロード』を想起させるようなカーアクションが散りばめられた脱出アクションになっているのだ。

 

 『マッドマックス』を連想させるのはカーアクションだけでなく、前作から4年たち、ゾンビパンデミックにより文明が崩壊した韓国の有様が非常に終末映画的だ。この変わりようは、ちょうどジョージ・A・ロメロが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』でゾンビ像を確立して以降、『ゾンビ』や『デイ・オブ・ザ・リビングデッド』などで別のジャンルとテーマでゾンビを描くことにチャレンジしたことと似ている。ジョン・カーペンターの『ニューヨーク1997』と比較する声も多く聞く*1

 

 前作が世界的に売れたため、本作もエンタメ方向にステータスを全振りしており、なんなら前作を見ていなくても、はたまた忘れていても全く問題がない親切設計な作りだ。ユニバーサルな観客層を得るため、ゾンビ映画でありがちなゴア描写も少ない。まるで『ワールド・ウォーZ』のようだ、と名前を出すと警戒する人もいるかもしれないが、残酷成分が足りない分、全体的な汚れや水たまりなど、画の汚さで埋め合わせているのでご安心(?)を。

 

 不満を述べるとすれば、『怒りのデス・ロード』の影響下にある作品にしては、作品テンポが少しダレることと、また『怒りのデス・ロード』が実写で改造車を走らせることに執心した狂った映画であることと比較すると、明らかにCGでヌルヌル感のあるカーアクションはいささか緊張感に欠けること。そして、そのCG感を隠すために、基本的に夜のシーンで進むため、白昼堂々とゾンビパニックが進んでいた前作とは正反対だ。また、前作以上に感動的な場面をエモーショナルに盛り上げる演出がちょっと過剰すぎるきらいもあるが、まあこれは韓国映画のお得意なシーンってことで一つ!

 

 今回施行予定の緊急事態宣言では映画館は規制対象に当たらないとのことだが、このご時世何があるか分からないので、ゾンビばりの駆け込みで見に行くことをお勧めします。

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新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕版)

新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕版)

  • 発売日: 2018/01/01
  • メディア: Prime Video
 

 

*1:僕も学生時代に鑑賞しているが、悲しいことに全く内容を思い出せない…。あれだけ一生懸命映画をたくさん見ても、年々こういうことが増えてくるので、映画鑑賞とは一体なんなのか考えさせられる