絶食の後の間食はまるでドラッグ

 食中毒2日目。お陰様で体調はずっと良くなりました。この2日間何していたかと言いますとずっと寝ているかゲームするか『キャシアン・アンドー』を観ていました。(『マンダロリアン』S3には手をつけてすらいません)

 

 お医者様に昨日言われたのは、とりあえず「食うな!飲むな!どうしても腹が減ったらスープ飲め!とにかく胃腸に負担をかけるな!」ということで、その掟を昼まで厳格に守っておりまして、昨日は何にも食べてませんでしたし、今日も味噌汁やコーンスープでやり過ごしていたんですけど、やっぱ限界ってあるんですよね。糖分が不足しているせいか、脳に霞がかった感覚があるし、口が甘いものを欲しているんですよね。で、卓上を見ると、先日家でホームパーティーを開いた時に皆が買ってきたお菓子の余りがあるじゃないですか。

 

 非常に葛藤したんですが、午後3時頃。もう何気ないコンビニスナックが砂漠の中でのオアシスに見えて仕方がありません。目の前にあるチョコビスケットを歯で噛み砕き、口の中で甘みがトロけるあの感覚が懐かしい。その時、ふと思ってしまったわけです。「一口くらい、よくね?」と。

 

 まだ便は通じてないですが、動けないほどの腹痛は無くなりましたし、鏡で見ても昨日より大分血色がいいです。仮に胃や腸に負担があるとしても、一口くらい問題なくね?と自分なりにロジックを整理して、ビスケットを食べると、もう筆舌しがたい感覚が身体中を走るわけですよ。もう『レオン』のゲイリー・ゴールドマンみたいになっていたと思います。

 

 数分後、机の上のビニールゴミの数が散乱で気がつきました。「一口」で終わらなかった。どう考えたって「一口」で終わるわけがなかった。シュガーというドラッグの快楽に覚え、いつのまにか3パッケージくらいのチョコビスケットを平らげていました。絶食の後のスナックの魔力は恐ろしいもので、こうやってダイエット後のリバウンドは簡単に起きるんだなと悟りました。

 

 偶然にも数分後、台湾からの家族を連れて鎌倉観光に行っている嫁さんからLINEが届きます。

「気分良くなった?」という、僕の体調を気遣う優しい、ありがたいLINEです。本来は僕も一緒に義理の家族を案内していたはずなのに、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 

「うん、大分良くなった。我慢できなかったから、スナック食べ始めちゃった(笑)超腹減ってる」

 

「(笑)私の残り物食べた?」ふとキッチンに目をやると、奥さんが作ってくれたありがたいお粥があります。ただ、お医者様には「おかゆよりも重湯の方がいい。スープ上のものならいいが、固形物は避けて」と言われていたので、体調が戻ったら食べると伝えていたのでした。

 

「いや、まだ固形物食べてもいいか分からなかった。だから消化しやすいものから始めた」

 

すると嫁さんは鋭いですね。

「でもスナック食べたじゃん…」

 

 そうです、僕も正直自分で前の文章を打っていて違和感がありました。お菓子は食ったのにお粥は食べないのか?と。でもシュガーの魔力には勝てず、僕はお粥よりもチョコスナックに手を出してしまったのです。医者にはお粥よりも重湯と言われていましたが、お粥よりもスナックが良い訳がありません。

 僕は嘘がつくのが下手(嫁さん曰く)なので、もういう事がなく「ああ…」とだけ打つと…

 

このインパクト!

 テキストはなく、怒りの絵文字だけのシンプルな感情表現。明らかに怒っているという、この恐ろしさに僕はガクガクと震えました。一昨日、銀座のトイレで震えていた時と、どっちのバイブレーションの方が激しかったでしょうか、定かではありません。

 

 こちらはその後のやり取りですが、僕がスタンプと赤ちゃんっぽいYeshでなんとかやり過ごそうとしているのとは対照的に、彼女のメッセージから絵文字が消えて冷静にテキストだけが送られてきますが、こちらの感情を揺さぶってくるそのLINE使いには天晴れと言わざるを得ません。

 

 ということで、男性諸君。女性に嘘はつくな!

 

 なおその後、僕は必死にお粥を平らげ、家に戻ってきた嫁さんの機嫌は上場だったそうな。今晩、万が一腹痛が再発しても僕は受け入れる覚悟はできている。