恨みを抱えるな

 本日今月分の『SKITBOOK』の撮影をしてまいりまして、ヘトヘトです。最近仕事でフラストレーションが溜まっていたので、いい感じの気分転換になりました。嬉しかったのは参加してくれるスタッフやキャストが「『SKITBOOK』の現場は楽しい」って言ってくれる事なんですよね。ほとんどが仲のいい人ばかりで構成されている現場なのでことさらそういう雰囲気が醸し出されているのかもしれませんが、僕はやはり作品の面白さよりも誰もが気持ちよく参加できる現場にしたいんです。

 

 全く話は変わるんですけど、僕が初めて助監督として入ったバイリンガルの現場で、1stだったADが初心者の僕に一番最初にかけてくれた言葉は"Don't hold your grudges. Leave it on set."だったんですね。これは英語のよくある言い回しで、「恨みを抱えるな」「根に持つな」という事です。一時より良くなったとはいえ、特に日本の撮影現場はまだまだストレスフルな現場が多く、あえて人を傷つけるような言動や態度をするスタッフも多いのですが、彼はそういった嫌な気持ちを家に持ち帰って落ち込むな、全部現場に残してけ。って教えてくれたんです。実際、彼は「怒るだけ時間とエネルギーの無駄」と考えているタイプの人間で、どんなに辛い状況でもヘラヘラ冗談を言ってカッコよく現場を回していて、今でも本当に尊敬している人間です。

 

 話を元に戻すと、「嫌な気持ちを現場に置いてこい」というのは応用するとまた、「別の現場にそれを持ち越すな」という意味だとも思うんです。自分が先輩たちにされてきた「かわいがり」を後輩たちにすることが正しい教育だと思っている悪き徒弟制度を打破するには、自分がされた嫌なことは過去に置いてきて、それを他人にしない、という人として当たり前の行動が必要です。

 

 それが少なくとも、自分の現場では実践できていると感じられたのは、とてもよかったですね。明日からの仕事の現場でなんとか生き延びれそうです。

 

The Grudge (字幕版)

The Grudge (字幕版)

  • Sarah Michelle Gellar
Amazon