『ダム・マネー』を面白く観れたのだ

 一昨年あたりから投資を始めた。僕には経済的素養はまるでなく、それまで多くの日本人と同じように僕は投資を胡散臭いものだと考えていた。『ウォール街』や『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』といった映画の影響もあっただろう、ハリウッド映画では投資家たちは大抵貧民から金を貪る悪として描かれることが多かった*1。しかも、ちゃんとした企業に勤めた事がないので、そもそも普通の人ならどこかで学ぶであろう一般常識としての経済に触れる機会が全くなかった。

 

 が、意識が変わったのは厚切りジェイソンの本をブックオフで立ち読みしたのがきっかけだった。世の中にはギャンブルみたいに狂った投資ではなく、堅実な分散投資と積立投資により複利の力で資産を形成できることを非常に分かりやすい文体で教えてくれる本であり、フリーランスで収入が不安定な僕にとってはうってつけの本だった。実際、漠然と貯金残高を恐る恐る見て暮らしていた頃よりも、お金に対する不安は結構和らいだ。このブログ読者の中でお金が貯まらなくて困っている人や投資に興味があるけど踏み出せない人には是非オススメしたい。*2

 

 心情としては僕は資本主義は嫌いだし、資本主義が生み出し続けている問題は山ほどある。だからか僕は経済や投資に関する勉強を放置していたし、ニュースを見ても恥ずかしいくらい分からない事が多かったけど、投資の基礎を学んだ事で経済に関する興味を持ち、世界に対する視野が少し広がった点は否めない。なにせ、嫌おうが好もうが、我々は資本主義社会に生きているのだから、その世界の仕組みについて知っておくのは悪いことではない。

 

 なんでこんな事を書いているかというと、昨日『ダム・マネー ウォール街を狙え!』を観に行ったんだけど、これをある程度理解して観れた事がなんとなく嬉しかったのだ。というのも、数年前『マネー・ショート 華麗なる大逆転』を鑑賞した時はアメリカ留学時で、ただでさえ難しい経済用語が字幕なしで飛び交っているのは大変キツい体験だった。当時のツイッターの感想を見てみると、明らかに分かってないのに知ったかぶりな感想を書いているのに苦笑する。

 

 その分、ある程度前提知識が分かった上で観る『ダム・マネー』は面白かったし、幸い分からない事があっても鑑賞後に嫁さんに質問したら教えてくれて、そこから更に映画の背景に触れる面白さもあった。この感覚は、分からなかった数学の問題を知識がついた上で解いてみると正解に辿り着いた時の快感に近い。経済とか投資とか関係なく、まだまだ人生勉強により学べる余地が発見できたのが面白かったのかもしれない。

 

 もう一回『マネー・ショート』、リベンジしてみたいな。

 

*1:それがまたピカレスクロマンとして魅力的なのだが

*2:余談だが、その後厚切りジェイソン先生の大ファンになってしまい、この続編の『ジェイソン流お金の稼ぎ方』も含めて買ったしまった