ファンタジーの邦題

 『ホステル』『グリーン・インフェルノ』など数々のゴアホラーを世に生み出してきたイーライ・ロスの新作が児童向けファンタジー小説が原作で、思い切った起用に驚きつつ子供たちにどんなトラウマを残してくれるのか今から楽しみなんですが、邦題が『ルイスと不思議の時計』になると今更知りました。(原題は『The House with a Clock in Its Walls』)

 

 この原作小説の日本語版タイトルも『壁の中の時計』なので更に邦題に変更が加えられたんですけど、そういえば児童向けファンタジー映画の邦題ってやたらと『(人命)と/の(名詞)』が多いことに気がついたので、今日は原題とだいぶ違う児童向けファンタジー映画の邦題をまとめてみましょう。

 

ライラの冒険 黄金の羅針盤』(原題『The Golden Compass』)

シリーズ化の話はどこに行ったのでしょうか。

 

ヒューゴの不思議な発明』(『Hugo』)

 この手の邦題で一番ひどいと思うのは本作で、だって劇中でヒューゴは何も発明してない!

 

ヒックとドラゴン』(原題『How To Train Your Dragon』)

ヒックとドラゴン (字幕版)

ヒックとドラゴン (字幕版)

 

邦題だけでなく、主人公の相棒Toothless(歯無し)がオードリー春日のギャグのせいでトゥースと真逆の名前に変更されたり、評価が高いシリーズなのに2作目が日本ではDVDスルーになったりと、日本のファンを常に怒らせることで有名な作品。今度3作目が公開されるが、果たして…?

 

メリダとおそろしの森』(原題『Brave』)

メリダとおそろしの森 (字幕版)
 

まあ確かに『Brave』は訳しにくいタイトルだと思う。 

 

アナと雪の女王』(現代『Frozen』)

アナと雪の女王 (字幕版)

アナと雪の女王 (字幕版)

 

これらの作品群の中でも説明不要なビッグタイトル。

 

バーバラと心の巨人』(原題『I Kill Giants)

I Kill Giants
I Kill Giants
 

f:id:HKtaiyaki:20180828234952p:plain

10月に日本公開が控える本作は、タイトルどころかビジュアルイメージもまるで変わっている。

 

プーと大人になった僕』(原題『Christopher Robin』)

プーと大人になった僕

プーと大人になった僕

 

 現代の時点でシンプルな人名だったのに、邦題は見事にフォーマットに則ったタイトルに!ちなみに先週末観てきたんですけど、プーさんの映画を見ているとは思えないくらい陰鬱とした映画でした。 

 

こうしたファンタジー邦題の傾向の原因は何だろうって考えると、多分ジブリの影響だと思うんですよね。やはり日本ではファンタジージブリという認識が強いので、その影響力を考慮したマーケティングではないかと。『ハウルの動く城』とか『風の谷のナウシカ』とか確かに人名が入ったタイトルは多い。皆さんも何か見つけたらコメント欄とかで教えてください。

カリブの海賊日誌・後編

これらの記事の続きです。

 

バルバドスの街並み

 バルバドスは車で3時間もあれば一周できるほど小さい島だ。その島で最も発達しているのが首都ブリッジタウンである。ブリッジタウンという名の通り街中に橋が架けられている。船舶も多く停泊しており、『パイレーツ・オブ・カリビアン』に出てきそうな港町だ。

f:id:HKtaiyaki:20180827123602j:imagef:id:HKtaiyaki:20180827123637j:image
f:id:HKtaiyaki:20180827123557j:image

 

 建物はまるでイギリス植民地時代を真空保存したかのよう。ニューオーリンズにちょっと似ているし、バルバドスにもニューオーリンズという地名がある。

f:id:HKtaiyaki:20180827123814j:imagef:id:HKtaiyaki:20180827123859j:image

 

 街を離れればこんな感じ。少し高度が高い場所に行くだけで水平線が見えてしまう。

f:id:HKtaiyaki:20180827124256j:image
f:id:HKtaiyaki:20180827124301j:image
f:id:HKtaiyaki:20180827124306j:image
f:id:HKtaiyaki:20180827124250j:image

 

 ところでバルバドスの通りを歩いていて気づいたことが一つあるのだが、バルバドスにはマクドナルドがない!代わりによく見かけるのはケンタッキーフライドチキンと現地のチェーン店であるシェフェテ(Chefette)くらい。調べてみると過去にもマクドナルドは存在したそうだが、基本的にバルバドスでは魚と鶏肉しか食べられていないので全くはやらず、6ヶ月を待たずに店を畳んでしまったらしい。アメリカ資本主義がどこにでも通用するわけではないのだなぁ。

f:id:HKtaiyaki:20180827124543j:image
f:id:HKtaiyaki:20180827124539j:image

 シェフェテはこのチキンローティってやつがべらぼうに美味い。チキンカレーを包んだラップで500円くらいで食える。

f:id:HKtaiyaki:20180827124840j:image

 

 

バルバドスの歴史

 せっかく南国の島には来たが、スーパーインドアマンな僕は海水浴にはあまり興味がなく、というか友達も家族も恋人もいない状態で海で一人で泳いで楽しむっていうのが僕には理解できなかった*1。ただバルバドスという国や文化自体に興味は尽きなかったので、バルバドスの歴史博物館に足を運んだ。

 

 歴史博物館といっても大層なものではなく、この外観写真を見れば分かるような小さいものだった。チケットブースも何もなく、ただ警備員が一人だけ座っている受付で20バルバドスドルを寄付金として払うように指示されて入館する。ちなみにバルバドスドルは基本的にドルの半額で、なんなら米ドルだってバルバドスでは使える。単純に表示されているバルバドドルの半額をドルで払えば良い。しかし小さい博物館のくせして写真撮影を禁じられていたのは残念だった。残念だったと思うくらい展示物が興味深い。

f:id:HKtaiyaki:20180827124943j:image

 元々多くのカリブ海の島国と同じく、バルバドスには先住民(アメリインディアン)が住んでいた。先住民たちは南米のガイアナから渡ったとされるが、詳細は分かっていない。何故なら先住民たちはもうバルバドスには残っていないからだ。16世紀から17世紀にポルトガルやスペインの奴隷商船によって無人島化されてしまったそうだ。そうだ、という濁した言い方をしたが、これには諸説あるらしい。しかし、いずれにせよ北米や南米、はたまたその他カリブ海の近隣諸国と同様に西洋文明によって先住民たちがひどい仕打ちを受けてきたことは間違いがなく、その記録もあまり残っていないというのもむしろ残虐性を際立たせていて恐ろしい。

 

 無人島化されたバルバドスを植民化したのはイギリスで、砂糖のプランテーションのために大量の奴隷が西アメリカから連れてこられた。現在のバルバドス人口の9割が黒人であることは前編で書いたと思うが、彼らは皆奴隷の子孫であったのだ。奴隷制は200年近く続いたが、奴隷たちによる大規模な反乱を契機に19世紀初期に廃止された。奴隷制が廃止されて以後も白人農場主による独占政治が続いたが、黒人たちによる参政権運動が行われて1930年代末にようやく黒人奴隷の子孫にも参政権が認められた、というのが大まかな歴史である。

 

 如何せん写真を撮っていなかったので詳細は忘れてしまいだいぶ端折ったが、バルバドスの民主化の流れはアメリカの公民権運動と実によく似た流れを辿っている。しかし、市民権を勝ち取ってそのまま社会の中心にいる役割を果たせたバルバドス人たちと比べて、アメリカの黒人たちは公民権運動を終えた後も変わらず50年間社会から圧迫され続けいている。差別などなさそうで陽気で幸せそうなバルバドス人たちの姿からそんなことに思いを馳せてしまった。

 

 

 

*1:と書いたものの、NYに帰る直前に「でもせっかくバルバドスに来たんだから海行かないと!」と半ば義務感で水着とシュノーケリングゴーグルを急いで高い金出して買って泳ぎに行ったが、やっぱ泳いでる間に荷物盗まれんじゃないだろうかとか、やっぱり一人で黙々とただひたすらに泳いでるのって間抜けな画だなぁとか考えると全く面白くなかったでござんす。

RIP ジョン・マケイン

  共和党上院議員ジョン・マケインが亡くなりました。

 共和党員でありながら己の信念を貫いて時に自らの党と対立する姿勢は稀有で大変かっこよく、残念でなりません。マケイン議員の訃報を受けて、2008年の選挙の時に戦ったバラク・オバマ元大統領も声明を発表しています。

 ジョン・マケインと私は異なる世代の人間で、全く異なる出自や背景を持ち、そして政治の高い次元で競い合いました。だが、私たちの間にどれほど違いがあろうと、私たちは全ての世代のアメリカ国民と移民が共に戦い、歩み、そして犠牲にしてきた理想への忠誠心を共有してきました。私たちは、私たちの政治的闘争を特権や何か高貴なもの、我が国が持つ高い理想への執事として従事し、そしてそれを世界に促進させる機会として捉えてきました。私たちはこの国を可能性に満ちた土地であると見出し、そして市民権を未来永劫に現状保持する愛国的な義務として捉えてきました。

 ジョンが過去に直面したような方法で試された者、あるいはジョンが過去に見せたような勇気を示すように要求された者は少ないでしょう。しかし、私たち全員が個人よりも社会の利益を優先する勇気に熱望することはできます。ジョンは最善のやり方で、それがどういう意味か私たちに示してくれました。そしてそのために私たちは彼に恩義があるのです。ミシェルと私は心から哀悼の意をシンディと彼の家族のために表します。

 

 かつての政敵に対する敬意の満ちた崇高な追悼文だと思います。対して、共和党員で現大統領のあの男も得意のツイッターで追悼文を発表しましたが…。

 

ジョン・マケイン議員の家族に哀悼の意と敬意を送る。我々の思いと祈りはあなたがたと共にある!

 

 あ、圧倒的言語力の差よ!先ほどのオバマの声明は訳すのが難しくて悪戦苦闘しましたが、トランプのスマホからチャッチャッと投稿したのがよく分かるような弔文の翻訳には5分もかかりませんでした。まあ、マケインはいつもトランプを批判していたし、自分の葬式にも参列してほしくないと周囲には伝えていたから、トランプに追悼の意なんてこれっぽちもあるわけがないよな。

 

John McCain: An American Hero

John McCain: An American Hero

 

 

今日は華金

なので更新を休みます。今週末の更新予定はバルバドス日誌の後編と『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』の感想+もう1記事をお送りする予定ですが予定は未定です。

f:id:HKtaiyaki:20180825122937j:image

こちらの写真はバルバドス空港に設置されているバーでございます。素晴らしくバルバドスらしい。

エッッッグ!エッグリアン!(CVシルヴェスター・スタローン)

 このブログでも何度か書いたことがあるが、アメリカでは生卵を食べられない。むしろ卵を生食するのは日本や韓国くらいで世界的にも珍しい。卵を生食する文化がないので基本的に殺菌処分をしないのでサルモネラ菌による食中毒の恐れがあるのだ。『ロッキー』で生卵を一気飲みするシーンは公開当時アメリカの劇場で悲鳴が上がったという。

 

 

 なのでアメリカに住んでいると日本人の僕には生卵がどうしても恋しくなる。僕は納豆と卵かけご飯さえ食べられれば365日生きていける自信があるが、最近人生を生きていける自信がないのはひとえに卵かけご飯が食べられてないからではなかろうか。

 

 生卵への探究心はさっき韓国系スーパーでレンジでチンをして食べる牛丼を見つかったことから始めたった。度重なる出張で食材のほとんどを腐らせてしまい、かといって新しく食材を買って遅く帰ってから何かを作る気もおきず、困っていた時に冷凍牛丼が燦然とした輝きを持って目の前に現れた。牛丼といったら温泉卵ではないか…待て、火の通った温泉卵なら食べられるのではなかろうか…!あたかも初めてエロ本を買うがごとく、早く家に帰りたい気持ちを抑えて冷凍牛丼と卵のパックを買ってレジに並んだのであった。

 

 帰宅してクックパッドを調べると、早速温泉卵の作り方が見つかった。ただ沸騰したお湯に水を加えて12分待つだけで温泉卵が作れる、たんこたんきち氏による魔法のようなレシピである。リンク先にも書いてあるように作り置き用に4個を投入し、iPhoneのベルがなるまで12分ひたすら待った。これほど12分が長く感じたのはいつ以来であろうか。

 

 あの牛と玉ねぎとトロットロの黄身が絡み合う感覚を久しぶりに味わえる…!記憶の中で日本ですき家で食べた牛丼の味を思い出し、温泉卵が出来上がるタイミングを見計らって牛丼も解凍する。見事なタイミングでiPhoneと電子レンジの合図がなり、火傷しないように気をつけつつ牛丼と卵を食卓の用意する。焦る気持ちを抑えながら卵をゆっくり割ると…

 

 

 

 

 

ゆでたまごがでてきた。

 

 

 や、やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!

※火は止めたものの、コンロの上に鍋を置いて待ったことで全ての計算が狂った模様。

 

 

 ということで、今冷蔵庫には、作り置きした何の変哲も無いゆでたまごが3つある。1つは牛丼のサイドとして美味しくいただきました。

 

ロッキー (字幕版)

ロッキー (字幕版)