『名探偵ピカチュウ』が公開されたことは、90年代生まれの青年たちにとって少なからず大きな衝撃を与えたのではなかろうか。予告編が公開された時点で既に幼少期に慣れ親しんだポケモンたちがリアルかつ原作に忠実に再現されており、気が遠くなるくらい高いハードルを越えていたことに度肝を抜かした。『名探偵ピカチュウ』はあたかも我々がポケモンと共に過ごした平成の終わりを告げるが如く現れた事件である。
日本から遅れて一週間、『名探偵ピカチュウ』はアメリカにも電撃を放った。このブログにも度々登場する同僚の あみん くんと一緒にこの一大事件を公開日に目撃、ポケモンブーム当時は子供だった我々も酒を飲みながらあーだこーだニ時間半に渡る激論を交わした。年始のmassas52さんとの2018年ベスト対談以来*1の文字数の多さの絶望に再度襲われつつも、シコシコ書き下ろしていた対談が遂に完成!母国から遠く離れた男二人によるノスタルジア対談をとくとご覧あれ!
※いつも通りネタバレ全開ですので、ご注意ください。また、酒が入っているためくだらない話も多いですが、その辺の雰囲気も含めてお楽しみください。あと、書きおこしに時間が経ってしまいましたが、こちらの対談は2019年5月10日に収録されたものです。
『名探偵ピカチュウ』はオリジナルのスタッフが関わっているから偉い
Taiyaki:はい、というわけで今回のゲストは あみん 君です!
あみん :どうも、よろしくお願いします~
Taiyaki:ちょっとビール飲みながらやりましょうか、乾杯!
あみん :乾杯!
Taiyaki:まあ、今丁度『名探偵ピカチュウ』見てきたとこなんですけど、 あみん 君は僕の親しい友人で、いつも僕のブログを読んでくれてダイレクトに感想をくれる珍しい数少ない友人の一人なんですけど(笑)二人ともNYにいるということで、あとたまたま91年生まれという事で凄く気が合うんですけども。91年生まれという事でお互いにポケモン直撃世代なんですけども、 あみん 君のポケモンの原体験ってどんな感じ?
あみん :原体験ね…多分普通だと思うけどね。毎週木曜日だっけ、最初火曜日だったんだっけ?*2
Taiyaki:そこまで覚えてないよ(笑)
あみん :17:00とかから始まるから、その時間になったら友達とどんなに公園で遊んでても一斉解散でダッシュで家に帰るみたいな。帰った瞬間、靴も揃えないでリビング直行でテレビつける
Taiyaki:ゲームから?アニメから?
あみん :アニメから
Taiyaki:で、ゲームボーイも買ってもらってみたいな?
あみん :そう
Taiyaki:ちなみにゲームはどこまで?
あみん :『ルビー/サファイア』までかな
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Taiyaki:ああ、第三世代のね。小5とかだっと思うよ。だって僕小6位で確か『ファイアレッド』と『リーフグリーン』が出て、僕中学校受験したんだけど親に隠れてコソコソやってた記憶あるもん*3(笑)
あみん :あ、俺『リーフグリーン』もやったそういえば
Taiyaki:DSはやってないってことだよね?第4世代の
あみん :DSはやってない
Taiyaki:まあ大抵皆我々の世代はそこで卒業するよね
あみん :弟は今でもコアなファンやってるんだけどね
Taiyaki:ああ、そうなんだ!僕の場合でも、初代から今でも現役で、最近仕事が忙しいから最新の『Let's GO! ピカチュウ/イーブイ』はやってないけど、その前の『ウルトラサン/ウルトラムーン』はやって、ポケモンGOも毎週末やって、むしろ週末の予定はポケモンGOを遊びに外に出る以外ないみたいなね
あみん :ははは!
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Taiyaki:まあ、二人ともそれなりにポケモンは思い入れがあるという訳で
あみん :ありますね、間違いない
Taiyaki:じゃあまず あみん くんの名探偵ピカチュウの感想はどうですか?つい2時間前に観てきたばかりだけれども
あみん :細かいところ言っていくと色々あるけれど、全体的にざっくりまとめちゃうと楽しかったよね(笑)
Taiyaki:ふははは!楽しかったよね
あみん :こうなるんだ!みたいな
Taiyaki:お互い顔がニコニコしたまま固まっちゃってね、帰りのタクシーの中でもニコニコニコニコずっとして、言いたい気持ちはこの対談のために抑えてって感じだったけど
あみん :ちょっと漏れちゃったけどね
Taiyaki:ははは。ちなみにどういうところが気に入った?
あみん :多分皆そうだと思うんだけど、特に小学生の時とか寝て夢見るじゃない?自分がポケモントレーナーになった夢とか見たことない?
Taiyaki:うーん、まあ分かる分かる(笑)
あみん :で起きて、あー、いねーんだ、みたいな。だからちょこちょこあったのよ、小さい時に寝てて夢の中でポケモンを戦わせているとか、必ずしも戦わせてなくてもポケモンと一緒に空を飛んでいるとか、そういうレベルでいいんだけど、それが具現化されたみたいな経験ではあったかな、と思いますけど
Taiyaki:なるほどね。僕はね、減点法で言うと多分60点なの、でも加点法で言うと500点くらい行ってるんだよね(笑)
あみん :減点法の方が切り崩し始めたらすごい細かくなっていく遠むんだけど、じゃあざっくり加点法で500点というのを説明してもらえる?
Taiyaki:まずね、細かいところがね原作準拠っていうか、ちゃんとリスペクト持ってるっていうところが素晴らしくて。まず始まりなんかは『ミュウツーの逆襲』を意識しているからあそこで大分持っていかれたという所があって、その後の例えばカビゴンが道を封鎖しているとかちゃんとゲームにあったし、警察官が連れているポケモンが必ずガーディとか、そういうところの細かいところでの原作準拠っていうところがところがもうほんとツボに入って。
Taiyaki:エンドロールで確認したんだけど、やっぱり製作総指揮に入ってるのが石原恒和さんっていう株式会社ポケモンの社長なんだけど、やっぱそういうところで絶対細かいチェックが入ってて。だってポケモンデザインとかも実写版にして思ってた以上に一一違和感がない。それもエンドロールチェックした時にVFXのスーパーバイザーが杉森建だったんだよね。
あみん :間違ってたらごめんね、ポケモンカードのイラスト書いてた人じゃない?
Taiyaki:それどころか、そもそもゲームのポケモンのデザインをしてる人っていう、もう第一者というか、ポケモンのイメージ統括みたいな人
あみん :ポケモンカードってそのイラストを書いた人の名前書いてあるの知ってる?
Taiyaki:知ってる知ってる
あみん :それで俺その人の名前覚えたんだよね。最初は誰がデザインしたとか、誰がポケモン社の社長だとかしないで観てたけど、ポケモンカードに書いてあるとやっぱり分かるから、その名前が出てきたらちょっと嬉しかったな
Taiyaki:ちなみに杉森建は攻略本とか、ポケモンが公式として出すイラストを絶対に担当するイラストレーター
あみん :光のテカリ具合が絶妙な人ね
Taiyaki:そうそうそうそう!だから、そういうのとかみてもやっぱり、僕もブログの記事に書いた通りなんだけど、ちゃんと株式会社ポケモンとかゲームフリークにチェックを通しているのがビンビンに伝わってきたね
あみん :まあ、元の権利を持っている人たちだからね。あとつまんない話しちゃうと、クレジットの中にでっかいチャンク(固まり)があって、それが全部リーガルチーム(法務部)だったの。
Taiyaki:あーはいはい
あみん :リーガルチェックとか、リーガル○○みたいなのが、上から下まで全部日本人の名前で。全員誰だか知らないんだけど、全員日本人の名前だったから恐らくオリジナルの関係者なんだろうな、って思って。そこがやっぱり日本人で固められていたというのがデカい。
Taiyaki:製作総指揮に元々のゲームを作っていた人たちとか株式会社ポケモンの人たちで固められていたから、そこが今問題になっているソニックとかと違うところだと思うんだよね。
アメリカ人が作ったからこその『名探偵ピカチュウ』
あみん :って思うんじゃん?加点法って話をしたけど、その他の加点されている良い部分ってのはアメリカ人が作らなかったら生まれなかっただろうなっていう観点も結構あるよ
Taiyaki:例えば?
あみん :やっぱスラップスティック的なコメディがあるじゃん
Taiyaki:そうだね
あみん :ピカチュウも言葉遣い悪いくて下品なジョークもあるんだけど、下品だけど下らなくない下品さと言うか、子供に見せても楽しめる下品さってあるじゃない?
Taiyaki:うんうんあるね、割とね。でも、僕はジョークが大人向けっていうのはビックリしたけどね。「鼻から紫の煙吸ったからピカチュウと喋れる」って話したら皆引いて(笑)あんなのモロにドラッグのあれだし
あみん :あったね。あと割とsucker*4という単語とかね。fuckとは言わないものの、割と近い単語を上手に近い周りの単語を潰していった感じはするよね。あと、電気ショックが出なくて「人に見られてると出ないんだよね」みたいなジョークとか(笑)まあこれが字幕なり吹き替えなり日本語でどういう風に訳されているのか結構想像できない部分もあって。でもあれはやっぱり元が英語じゃないと成り立たないジョークだから
Taiyaki:あのバリヤードの下りとか日本語版だとどうなってるか、気になるよね
あみん :バリヤードの下りは面白かった、分かりやすかった
Taiyaki:あ、でもそれで言うと吹き替え版に興味があって。というのも、ポケモンの名前が英語じゃん。コダックがPsyduck(サイダック)とか、それはもちろん向こうの鳴き声で「サイダック!サイダック!」言ってるんだけど。
あみん :そう、俺分かんなかったんだよね、英語の名前知らないし
Taiyaki:だからそれをね、日本語版だったら多分元のアニメの鳴き声担当した人たちがやってると思うから、凄い興味あるんだよね
あみん :それはあるね。それが一番顕著に気になったのが、落ち込んでボロボロになった感じのピカチュウが英語のテーマソング『Gotta Catch'em All!』歌ってたじゃない?
Taiyaki:あーはいはい
あみん :「Catch'em all!」とか言いながらジェスチャーが付いてきていたけど、あれはやっぱり日本語版だったらオリジナルの曲じゃなきゃ
Taiyaki:納得いかないよね
あみん :成り立たないし、ピカチュウの動きと合うのかなって思って
Taiyaki:確かに確かに。だって日本語版の『めざせポケモンマスター』って英語版の『Gotta Catch'em All』って曲のテンションが違うからね。いつも僕が あみん とこっちの友達と昔の懐かしソングを流す時に、僕たちがポケモンの曲を流す時に『めざせポケモンマスター』流して、で彼女が『Gotta Cath'em All』流した時に「ふざけんなよ!」ってなるじゃん(笑)
あみん :そう、「何言ってんのお前?」って(笑)「テンテケテケテケテー♪じゃなきゃダメでしょ!」って、聞いただけでモンスターボールの周りに炎草みたいなのがグニャーって周ってるのが頭に浮かぶじゃん
Taiyaki:はっはっは、そこがやっぱ今日観ててもピカチュウが英語版歌ってた時に観客がゲラゲラ笑っていたけど、ちょっと悔しい思いはしたよね
あみん :悔しかったけど、でも嬉しかったのは、例えばこの映画が日本で作られて日本版がベースとなって作られましたってなって時に、あのピカチュウが同じように日本語版歌ってれば日本人は「イエー!」って反応するでしょ?
Taiyaki:するだろうね
あみん :同じような反応をアメリカ人がアメリカ版のものに対して抱いていたっていうのは、俺らが持ってる子供のころのポケモンの感情に凄い似てるんだろうなって、それが伝わってるって言うか、同じように共有できてるっていうのは凄い嬉しかったけどね。必ずしも同じ曲を聞いて同じノスタルジアを感じるわけではないけど、違った形でたどり着いているところは一緒な訳じゃん。…宗教みたいなもんだよ(笑)
Taiyaki:あっはっは、ポケモン教ね
あみん :神様は信じてるけど、信じ方が違うっていう
Taiyaki:そういった意味では、全世界の人に配慮できてるっていう。日本のファンの為だけじゃなくて、アメリカのファンにもそういった意味でも配慮できたと思う。僕が感心したのは、 あみん は「観てて意外と知らないポケモンがいっぱいいた」って言ってたけど、僕はそこが超感動したところで、初代のポケモン知ってる人だけのためのサービスになってなかったというか。結構つい最近のゲームに出てきたポケモンとかも出てきて、それが全世代に向けてファンサービスしてたっていうのは俺すげー偉いなって思った
あみん :ああ、そうだね
Taiyaki:最近ポケモン本家のアニメの方とかが危険だなって思ってるのが、僕らに向けたサービスをし過ぎてるっていうか。ちょっと前の『キミに決めた!』っていう映画が2017年に公開されて、それは初代ポケモンのアニメのリメイク映画みたいなやつで。
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あみん :でも、それはもう完全に俺ら向けで作ってるわけでしょ
Taiyaki:そう、だから俺はそれはノスタルジアに寄りすぎてて、ポケモンがこの先発展していくために今の子供に目を向けなきゃいけないのに、相手してるのが俺たちっていうのがちょっと凄い危機感を抱いていて、今度のポケモンの夏の映画は『ミュウツーの逆襲』のリメイクなの。
あみん :ああ、そうなんだ
Taiyaki:だからそれが俺はちょっとなんか違和感じゃないけど……いや、俺たちは嬉しいよ。超勃起するんだけど、心の中では(笑)でも、それはポケモンの発展のためにはどうなの?って思っちゃうの。今の『スター・ウォーズ』と一緒で、今の『スター・ウォーズ』は昔のファンに向けてのサービスばっかやってるけど、何一つ新しいことやってないと思うから超嫌いなの。そういったものを今のポケモンのアニメに感じてて、それは嬉しいんだけど、ちょっと俺たちへの、大人へのファンサービスをやりすぎてない?って思ってるんだけど、でも今回の『名探偵ピカチュウ』は割とどの世代から入っても、『赤/緑』から入っても、『金/銀』から入っても、『ルビー/サファイア』から入っても、『ブラック/ホワイト』とか入った人達でも楽しめる作りになってたのは俺はメチャクチャ偉いと思ったね
あみん :ピカチュウという軸があるからいいよね。それは永遠に変わらないから。でもなんか、大した話じゃないんだけど、不思議だなと思ったのはミッキーマウスもピカチュウもどっちもネズミなんだよね。ネズミ方程式。
Taiyaki:いや、本当に。世の人気キャラはほとんどネズミで出来ている
あみん :でもさ、NYに住んでると思うけど現実世界に住んでるネズミってめちゃくちゃ嫌われてるじゃん
Taiyaki:あんなキモいのになー、家にいるネズミとか一匹残らずぶち〇したいと思ってるんだけども
あみん :Taiyakiさんのネズミ嫌いは半端ない*5からね(笑)
Taiyaki:本当にもう、家じゅうに罠仕掛けてますよ。この間も僕の家の引き出しの中もネズミの糞だらけで発狂して服全部捨てたけどね
あみん :今のところ何匹〇してる?
Taiyaki:それはちょっと動物愛護的に問題あるから言わないけど(笑)
あみん :でも、家に罠仕掛けて捕まってるのがピカチュウだったら〇さないでしょ?
Taiyaki:〇さないね
あみん :どうする?ミッキー・マウスが捕まってたら?
Taiyaki:もう見えない!この会話の出口が見えないよ!イイ感じにお酒は言ってるからこういう会話の流れになるんだけどね(笑)
カラカラはキューボーンじゃねえ!
あみん :まあ細かいところから入っていくと、実写版ポケモン見るつったら、主人公がどんな人とか、どんな背景・街並みなのとか、それ以前にポケモンがどう描かれてるのか、っていうのが一番俺らの中でセンターな訳でしょ?アテンションの中心の訳だから映画が始まって一番最初に見せるポケモンって大事だと思うのね。一番最初に観たポケモンって覚えてる?
Taiyaki:ミュウツーでしょ?
Taiyaki:ははは!
あみん :股間が割と生々しくて、「あ、ミュウツーの股間だ」と思って俺映画が始まったの(笑)やっぱり一番最初だから「どんなふうにできてんか」つって俺らの目がギランとしてるわけでしょ。予告編観た限りで「そもそもプリンって毛が生えてんだ」みたいな、「毛皮の生き物だったんだ」とか、人間って見たものに関してはテクスチャーから入っていくから。だからミュウツーの股間を見た時の人の目のギラギラ感って凄いと思う。で、多分作り手がそこをそう思って作ってないから股間から入ってるんだろうな、と思うんだけど(笑)俺だったら頭からパンダウンしていくかなと思って。っていうのが、ちょっとがっかりしたってわけじゃないけど、一人でクスとなってた
Taiyaki:まあ入り口でね、変なところで少し躓いたのかもしれないけれど(笑)
あみん :でも、映画のシネマ言語から言ったら、足から入るっていうのは正しいの。『シャーロック・ホームズ』もそうだよね、まず人の靴見るっていうじゃん。だから人の足元見て水滴垂れてたんだったら「外雨降ってんだろうな」って、「傘持ってなかったんだろうな」とか、靴がドロドロだったら「泥の中歩いてきてわざわざここまで来たんだ」とか、色々足元観て分かって、段々カメラが上にあがってきて最後顔っていうのは鉄板だから
Taiyaki:まあね
あみん :ミュウツーで同じことをしたかった気持ちはわかる。
Taiyaki:ただそれは、股間になっちゃうっていう(笑)
あみん :そう、そこがちょっと生々しく再現された股間から始まったっていうのが、俺の中では笑うポイントだったっていうのが一番正しい言い方なんだろうけど。その後色々ありまして、まあどの映画もそうだけど、最初にちょっと大きい機関の爆発なりなんなり…
Taiyaki:最近ちょっと多すぎるなー
あみん :ちょっとそこは文句になるから、俺もそこ行くからちょっと待っててよ!で、最初に言った大きい機関の物語の発端であるシーンがあります、主人公はまだいません。で、こういう少年モノは大概主人公ってのは比較的規模の小さい単位の人間になるから。その後マサラタウンらしき町に移るわけじゃん。そこで次に写るポケモンがなんだか覚えてる?
Taiyaki:ピジョン?
あみん :そう、ピジョット。それは俺嬉しかった、鳥から入ってくるっていうのが。アニメとかそうだったような気がするんだよね。鳥がこう舞って行って、『フォレスト・ガンプ』みたいな感じで、町が見えるみたいな感じで。で、鳥って住んでる環境が顕著に出る生き物だから、ハトがいます、スズメがいますとか、はたまたオウムが住んでたら南国だなとか、鳥から入るっていうのは分かりやすくて良かったなって
Taiyaki:あのポケモン世界の見せ方って超素晴らしいと思って、『ロード・オブ・ザ・リング』のホビット庄の最初の見せ方みたいなのを思い出したんだよね。「この世界はこういう世界ですよ」みたいな、カメラがグワーッとトラックインしていく見せてく感じが、「今からお見せする世界はこれですから!」みたいな見せ方が、凄くね「世界観をいま確立してますよ」みたいなところが超いいな、と思ったね
あみん :最初に登場するのがカラカラだった事についてどう思う?
▲カラカラ
Taiyaki:全然いいと思うし、なんなら今回感心したしたのは、ポケモン図鑑の設定まで完璧にしてるんだよ。カラカラって親の骨を被って泣いているっていう設定のポケモンだけど、それを忠実にやっててそこで信頼を得たんだよね。「あ、そこを拾うんだ!」っていう
あみん :俺も思った。カラカラ見て、そういえばカラカラって自分のお母さんの骨被ってるんだなって思って、これ後でTaiyakiとの対談で作えるじゃんと思ったら、映画の中でちゃんと言ってたから、「分かってんじゃん!」ってなって
Taiyaki:あそこで我々世代の信頼を得るところだよね
あみん :そうね、ポケモン図鑑に書いてあるもんね。ゲームボーイのポケモン図鑑のカラカラの説明に書いてあるもんね
Taiyaki:スタートボタンを押して一番最初の所ですよ。「親ノ骨ヲ被ッテ泣イテイル。(モノマネしながら)」
あみん :カラカラってCubone(キューボーン)っていうんだね
Taiyaki:そうなんですよ!僕はそれで言うと、小さい時日本とアメリカを行き来してる少年時代だったから、アメリカのポケモンの名前も分かるんだけど。あとゲームでオンライン対戦もやってて、英語圏の人とバトルする時いつもポケモン英語の名前で出てくるから分かってたんだけど。話を戻すと、キューボーンと言うか、カラカラだよね
あみん :カラカラだよね
Taiyaki:だからカラカラが「キューボーン!」って鳴くのも、俺はちょっと嫌だった
あみん :カラカラって言って欲しいよね
Taiyaki:だから吹き替え版がすげー見たいんだよね!日本は一週間早く始まってるの
あみん :ああ、そうなんだ!じゃあ吹き替え版はもうあるんだ
Taiyaki:西島秀俊が確かピカチュウの声やってて、多分セクシーな感じになってるんだろうけどね。あ、そうそう、冒頭から追っていくと、フォントが我々日本人にとって読みにくいというか
あみん :思った!あれカタカナっぽくしてるわけでしょ?
Taiyaki:ちょっと前にネットで話題になった、カタカナに見えるアルファベットを使ってるから、あれちょっと読みづらいよね
あみん :読みづらいけど、劇中に出てくる看板とか全部あの看板だったじゃん?英語として書いてるとか日本語としてやってるじゃなくて、「ポケモンの中の世界の言語ですよ」って出来てるから、読みづらいけど別に読もうとしなきゃいい話で(笑)
Taiyaki:はははは、俺も途中であきらめたけどね
あみん :これはもう外国のこういう言語なんだなって、思って読むんじゃなくて見ることにした、看板とかも
Taiyaki:そうね、あと東宝が出ると上がるっていうのはあるね。東宝の文字を見ると、「ああ、日本頑張ってるじゃん」みたいな(笑)
あみん :そこで電通とか出て来なくてよかった。
Taiyaki:ぶわはははは!Association with Dentsuとか出てくるとぶん殴りたくなるよね!
『名探偵ピカチュウ』はダーバーシティに溢れてる
Taiyaki:今回ロンドンでロケしてるんだよね
あみん :そうね、人のアクセントはイギリスアクセントぽくなってたけど中途半端だったなっていう印象が一つと、最初町観た時に思ったけど、あれサンフランシスコだったよね
Taiyaki:一番最初の?
あみん :電車にのってこう入っていくの
Taiyaki:どうなんだろうね?ロンドンでロケしてるからそこら辺の電車乗ってんじゃないの?って思ったけど
あみん :ロンドンはあんなんじゃないよ
Taiyaki:でも長距離移動のあるじゃない?ユーロスターみたいなの?
あみん :あの辺はイギリスの田舎っぽい感じだったけど、あの町は、俺の意見ではサンフランシスコと東京を足して二で割った感じだったかな
Taiyaki:街並みがってこと?
あみん :そう、だからすごい好きだったよ、『ブレードランナー』の感じはしたなぁと思ったけどね
Taiyaki:モロにだよね(笑)
あみん :やっぱりこうなっちゃうんだよなぁっていう
Taiyaki:この間『アベンジャーズ/エンドゲーム』見てさ、まあ あみん まだ観てないと思うけど、東京が出てくるの。クッソダサいんだよ!東京って世界で一番映画撮りにくい街だから、アトランタにセット建てて撮ったんだけど、それがクソダサくて死ぬほど吐き気がしたんだけど
あみん :俺ね、それまだ観てないんだけど、『パシフィック・リム/アップライジング』の東京は観たからなんとなく想像は着く
Taiyaki:あそこからイメージが脱却できてないんだけど、まあ今回の都市は東京とかそういう訳じゃないから
あみん :東京じゃないから何でもいいんだよね
Taiyaki:だから架空の都市として成立しているのは良かったよね
あみん :ポケモンのゲームとかで建物とかって、いい感じの近代風なのとかレンガ調なのと、石畳の地面だったりってのがすごい感じで混ざってるじゃない?だから俺もなんとなく『名探偵ピカチュウ』を観る時に「イングランドとかボストンみたいなのかな?」と思って、波止場とかがあったりってのを想像してたんだけど、割と『ブレードランナー』寄りになってたじゃない?
Taiyaki:そうだね(笑)
あみん :それがいいとか悪いとかじゃなくて、やっぱりなんかそうなるんだな、っていう
Taiyaki:やっぱアジアをイメージしちゃうとネオン街になっちゃうんだね
あみん :ネオン街になっちゃうね
Taiyaki:そこがまあ、どうなんだろう問題っていうのはあるんだけど
あみん :どうなんだろ問題だけど
Taiyaki:『ゴースト・イン・ザ・シェル』とか『アリータ:バトル・エンジェル』とかもそうだったけど、基本ああいうゴチャゴチャしたのが典型的なアジアのイメージなんだろうな、っていうのはあったけどね
あみん :『スカイフォール』とかね。でもさ、おれら仕事ですげーいろんな都市に行くじゃん?
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Taiyaki:ああ、行きますね
あみん :で、「こういうイメージの街を探しているから、こういう都市を探してください」って言われて、「どの街がこのイメージに合うかな?」みたいなのGoogleマップとかいろんな写真とか見比べてやっていくと思うんだけど。俺たちも実際にそういう街とかに行って、アメリカの地図はほぼ網羅している訳でしょ?
Taiyaki:うん
あみん :で、辿り着いた見解としては、結局どの街も同じなんだよね(笑)街は街としての機能を優先してデザインされているから、異端児な建物とか異端児な何かが無い限り、街って全部街なんだよね。
Taiyaki:そうだね
あみん :だから、東京の街とか、「実際の凄い生々しい東京を描きましょう」って言ったら、「これNYと一緒じゃない?」ってなっちゃうと思うの、結局は。だから振り切るって意味だったら、やっぱりネオン街があって香港っぽい街になる、っていうのは必然的なものなんじゃないかなって思ってる
Taiyaki:そういう意味では、やっぱアメリカ人がイメージする東京ってさ、東京じゃなくて渋谷でしょ?
あみん :渋谷だね
Taiyaki:アメリカ人が思う東京っていうのは、渋谷だからさ、ただの。センター街のモニターがあってみたいな。そういうのがやりたかったんだろうね、っていうのは正直あるね
あみん :でもね、『名探偵ピカチュウ』はやりすぎて無かったと思うよ
Taiyaki:それは思うよ。だから今回別にイラっとは来なかったもん。観てて、ちゃんと世界観あるなって思って
あみん :アメリカっぽいし、日本っぽいし。町の世界観のバランスはすごい花丸だったなって思います
Taiyaki:今回日本的なものを凄い意識してたなって思ってて、ライムシティ到着した時に、宮崎駿の音楽っていうか、音楽に久石譲感は感じたんだよね。凄い『千と千尋の神隠し』のあの世界に行きました感の曲調が流れてた
あみん :ああ、ちょっと俺そこ意識してなかった。でも作り手は意識してるでしょうね
Taiyaki:音楽で言うと、僕がちょっと感心したのは、ポケモンのゲームでアクションシーンになるとバトルミュージックに切り替わるじゃん?
あみん :あー、あったあった
Taiyaki:今回ヘンリー・ジャックマンが担当してるけど、あの感じが再現されてたのが、すげーいい仕事するなと思ったね
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あみん :ああ、音楽大事だもんね。あとね、なんだっけ、石畳和夫じゃなくて、誰だっけ?あ、渡辺謙だ
Taiyaki:ぶわはははは、石畳和夫!どこから出てきたんだよ!酔いすぎだろ!
あみん :(笑)まあ、渡辺謙…演技が良かったとかいうほど登場してないし、大したこと言ってないんだけど、渡辺謙を出せば日本へのリスペクトが出来ました、ハイ終わり!っていう感覚を感じたんだけど
Taiyaki:だっはっは、あれなー、渡辺謙問題っていうのはあるよね。でもね、僕は渡辺謙で感心したことが一つあって。渡辺謙が『GODZILLA(2014)』に出た時に、Godzilla(ガッズィーラ)のところを渡辺謙はゴジラで押し通したの。今回、Pokémon(ポキモン)じゃなくてポケモンで押し通してて(笑)
あみん :流石だと思ったね
Taiyaki:また同じメソッドやってんなと
あみん :でもねもう一つ説はあるよ、Pokémonって言えなかった説もあるね
Taiyaki:だっはっは!
あみん :あの人英語上達しないからね、あんまり
Taiyaki:そこはあんまり触れないであげてよ!
あみん :ゴジラもガッズィーラっていえなかった説あるよね
Taiyaki:でもインタビューで本人は「僕は違うと思ったんでゴジラと言いました」って言ってるんだから、そういうことにしておきましょうよ!
あみん :そういうことにしておこうか(笑)
Taiyaki:後なんだろうね、順番を追っていくと…
あみん :設定から話をすると、ダイバーシティ…日本語で何という?
Taiyaki:多様性?
あみん :多様性というとちょっとニュアンス変わっちゃうんだけど、今ホワイトウォッシュとか凄い問題になってるけど、全く感じなかったね
Taiyaki:バランス良かったね
あみん :むしろ不自然なくらいバランス良かったね(笑)凄いイイ感じにあの…
Taiyaki:最近のハリウッド映画観てると、PCが行き過ぎてて、作り手の「叩かせませんよ」とか「批判させませんよ」っていう意志が見えてるのが気持ち悪いなって思ってたんだけど
あみん :そうそう、気を使いすぎてる
Taiyaki:そうそうそうそう!
あみん :まあ、世の人は言いたいことを言うから難しいんだけどね。気を使ったら今度は気使いすぎてるっていうし、今度はむしろ気にしてないですよってし過ぎちゃうと、気にしろよ!って言われるし。でもこのポケモンはでも全く気にならなかったから
Taiyaki:違和感なかったよね、そういう意味では
あみん :人の人種の違いとか言ってる場合じゃなかったからね(笑)
Taiyaki:僕は色んなポケモンが居過ぎて画面のどこを見ていいのか分からなくて。あー、あそこにいる!あそこにいる!みたいな
あみん :人を見てた記憶は無いけどね
Taiyaki:ないね、背景に。でも確かにアジア人ちょっと多めな気はしたけどね
あみん :まあ、でもいい感じだったと思う
Taiyaki:それで今思い出したけど、一番最初にライムシティの宣伝映像みたいなのが流れてたじゃん?あれがスーパーボウルで、ポケモン20周年みたいなCM流したんだよね。その時の映像を思い出させる
あみん :へー、俺それ観てないんだよね
Taiyaki:そう、まああれもトレーナー役を日本人にして偉い*6ってそれだけなんだけど。要はやっぱ細かいところを抑えてるんだよね、あの映画は。偉いなっていう
あみん :そうねー、偉いよね。あの主人公が黒人…多分ハーフだよね?
Taiyaki:彼は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』に、ちょっと黒人の頼りない男の子が出てたじゃん?あの子
あみん :あー出てた出てた!大きくなったね…
Taiyaki:1年くらいしか変わってないよ!
あみん :でも、お父さんがライアン・レイノルズってことはハーフだよね?
Taiyaki:いきなりオチだけど(笑)そこで言うと、あそこピカチュウの中身がお父さんだったっていうのも、俺はサプライズとして弱いなって思ったんだけど
あみん :俺途中で気付いたけどね
Taiyaki:俺も途中で気付いたから弱いなって思ったんだけど、お父さんのライアン・レイノルズがあの年齢の子を持っているのは違和感あるって言うか……
あみん :違和感あった。髭がちょっと白くなってるから良しとしようと思ったけど
Taiyaki:それが無理やり感がちょっとあるんだけど
あみん :…ちょっとさ、トイレ休憩入れてもいい?盛り上がってきたところで
Taiyaki:いいよ(笑)
第二部へ続く!