「タワー・オブ・テラー」リメイクからも感じるディズニーへの嫌悪感…。

 先日久しぶりにディズニーシーに行ったからか、ディズニー+で配信されている『ディズニーパークの裏側〜進化し続けるアトラクション〜』の「タワー・オブ・テラー」の回を見ましてね。

 

 このシリーズ、正直演出がクリンジー*1なのであまり好きではないんですけど、でも厳禁とされている夢の国の裏側を見せてくれるから知的好奇心は満たしてくれるんですよね。

 

 いまや名アトラクションとなった「タワー・オブ・テラー」のアトラクションとしての仕組み、プロットを作る上で『トワイライトゾーン』と組み合わさることになった経緯、日本に輸出された際に逆に『トワイライトゾーン』の冠が外され、オリジナルのストリーが加えられた経緯などが知れて、とても興味深かったです。あと、日本版に登場する「ハリソン・ハイタワー三世」はディズニーの偉大なイマジニアであるジョー・ロードをモデルにしていたんですね。

 

 ただ、このドキュメンタリーを観ていて驚き、かつちょっと残念に思ってしまったのは、ディズニー・カリフォルニア・アドベンチャーの「タワー・オブ・テラー」が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』モデルの「ブレイク・アウト!」にリメイクされた経緯です。というのも、ディズニーは「新しいアトラクションを2017年のメモリアルデーに作る!」と10ヶ月前に発表しただけで、元々『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』仕様にする計画があったわけでは無かったんです。

 

 つまり、ただ単にビジネス的観点から客を呼び込むために新しいアトラクションを作ることにし、何か格好の題材がないか社内で検討したらちょうど『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー :リミックス』の公開日がアトラクションのリリース日に近く、それに合わせて改装できそうなアトラクション(『タワー・オブ・テラー』)があった、というだけの話なんです。その行き当たりばったりさは、3週間で絵コンテを書き上げて丁度『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』を撮影中のジョージア州のスタジオセットまで出向き、映画の合間にジェームズ・ガンに撮影してもらったことからも見て取れます。

 

 なお、僕は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ブレイク・アウト!」に乗ったことはないので、アトラクションそのものを安易に批判する気はないですし、事実ゲストからの評判もとても高いアトラクションになりましたが、やはりこのアトラクションの制作プロセスには懸念を覚えます。

 

 というのも、初代「タワー・オブ・テラー」は試行錯誤の賜物で生まれた傑作アトラクションで、デザインにも趣向を凝らしていて最早アートと言ってもいいかと思いますが、それを商業的観点から安直にハイコンセプトなアトラクションにリメイクするのは、まさしく昨今のディズニー製作の映画を想起させるからです。SWでもマーベルコミックでも自社製アニメリメイクでも、なんでもかんでも先人たちが築き上げた創造物をただの大量生産製商品に化してしまうと言いますか…。なお、この「ブレイク・アウト!」を作るきっかけを作ったのも、ボブ・アイガーです。

 

 という、難癖はひとまず置いておいてですね、とても興味深いドキュメンタリーであることは間違いないと思いますので、未見の方は是非見てみてください。これを踏まえてからアトラクションに乗ると、また違った楽しみ方を得られるかも知れませんね!

 

 

*1:訳しづらいですが、ダサくてサムくて鳥肌が立つ感覚。近い日本語は「イタい」