『ワイルド・スピード/ファイヤブースト』を観てきたっす!

※直接内容を書いていませんが、ネタバレしています。

 

 終始「車とは…!?」と困惑しながらも、最後にはお腹いっぱいになって劇場を去る、いつもの『ワイルド・スピード』だった。思い出すのは学生時代、サーガが大きくなり始めた当シリーズを「『ワイスピ』はフォースの代わりに車を使う『SW』だから!」と周囲に説いていたが、『FB』を観た後はむしろ「気の代わりに車を使う『ドラゴンボール』だ…」と再認識した。ここのところの『ワイスピ』はずっと前作の敵が味方となり、新たな敵はパワーインフレし、死んだと思っていた仲間は生き返っている、というパターンを繰り返しているので、これはもうジャンプ漫画と言っても過言ではない。


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 「ジャスティン・リンが監督していれば…」という声も聞くが、正直僕には全く分からない。確かにシリーズの大きな分岐点となった『MEGA MAX』は素晴らしかったけれど、『ICE BREAK』以降の『ワイルド・スピード』は誰が監督したところで作家性は見えてこない。それだけシリーズが売れ、プロデューサー主導でクリエティブコントロールがなされているのだろう。むしろ、ルイ・レテイエは途中で放棄させられた料理をそのまま受け継ぎ、全く同じ味に仕上げたという点で監督として優秀にすら思える。色々な記事を読む限り、本作がよっぽど酷い作品に仕上がっていてもおかしくない。

 

 それにしても、毎度見るたびに思っているが、いい意味でも悪い意味でも改めてとてつもなくバカな映画シリーズだと思う。冒頭、ドムが幼い息子にドリフトを教え、「おそれを克服しろ」なんて本作のテーマっぽい教訓を垂れるシーンを大真面目に撮っている時点で凄まじい世界観だ。また、劇中ドム達のこれまでの活躍を振り返る、観客にとっては復習になりそうな都合のいいシーンがあったが、改めて「随分遠くまできたなぁ…」と感慨深くなってしまった。

 

 物理法則が存在しないアクションも、一体どの段階で誰が思いついたのか興味深い。特にローマの街を破壊して回る巨大な球体の処理方法には舌を巻いた。まともに生活を送っていたら考えつくはずもない。脚本の段階から入れているのか?ストーリーボードで付け加えたのか?アクションチームが提案しているのか?いずれにせよ、皮肉抜きでこの想像力には感服する。

 

 あと、本作のバカ度を加速させているのは、いちいちロケーションが変わるたびに位置情報を教えてくれるバカデカテロップだ。それでいて『帝国の逆襲』とか『インフィニティ・ウォー』みたいな終わり方をするので、このフザケてるんだか真面目なんだか分からないアンバランスさが『ワイスピ』の魅力だよなぁ、と改めて思った次第であった。