ただミサイルが飛んでくるだけ

 今参加している現場に、ウクライナの方が参加しています。共通の知人がいたので色々と話しました。日本人の旦那さんがいるというので、「じゃあ結婚のために日本に来たの?」と聞いたら、寂しく笑って「結果的にそうなったけど、先に難民として日本に来たの」と言っていました。彼女は昨年12月に日本に来たばかりなのでした。

 

 彼女自身はアッケラカンと色々と話してくれましたが、やはり戦争下にある国というのは筆舌し難いものがあります。実はしかし、日常は淡々と進んでいるそうです。人々は学校に行くし、仕事にも行く。カフェもやってるし、レストランも営業している。ただ一つ昔と違うのは、ミサイルが毎日飛んでくるのと爆発音がするだけです。それでも、経済を回していかないといけないので、日常はただただ進んでいくのです。

 

 実は彼女、戦争が起こるなんてこれっぽちも思っていなかったそうです。それがある日突然、爆発音が鳴り始めた。当初毎日怯えていたはずの彼女も、いつの間にか慣れてしまったとのこと。僕はコロナ禍当初のことを思い出しました。あれだけみんなパニックだったのに、今でもコロナで毎日どれくらい感染しているか、どれくらい死んでいるのか、誰も気にしなくなりました。ウクライナでは毎日何十人も死んでいますが、ニュースでも一々大々的にやらなくなりました。

 

 しかし、慣れ切っていたはずがいつしか限界を超えてしまい、彼女は難民として日本にやってきました。どうもウクライナ危機に対しては日本政府は真摯に対応しているよう*1で、現在約2000人ほどウクライナ難民がいるそうです。本当に聞けば聞くほど憂鬱な話です。

 

 嫁さんが台湾人の僕にとって、ウクライナ戦争は全く他人事ではありません。色んな台湾人に話を聞いても、台湾有事はほぼ100%起こることと考える人が多いです。いまや台湾は僕の第二の故郷であり、家族がいます。当たり前ですが、できることなら台湾有事は起きてほしくないものの、一体僕に何ができるというのだろう。こうした市民たちのちっぽけさを自覚させてしまう大国の身勝手な侵攻には、つくづく嫌気が差します。

 

 

*1:なぜこれができるのに、他のアジアや中東の人相手になると、非人道的な対応をしてしまうんでしょうね…