台湾人の嫁には『ウィッシュ』は反中国・反ロシア映画に見えたそう

 ディズニー100周年記念作品『ウィッシュ』を観てきたっす。近年のディズニーブランドの失墜を代表するような評判の悪さで期待はあまりなかったんですけど、ただそのおかげか聞いていたよりも酷い出来だとは思わなかったです。一方で、特段面白いとも思えず、「100周年」というアニバーサリーにあまりにも引っ張られすぎてしまって、作品そのもののオリジナリティと向き合うことができなかったのが敗因かと思います。

 

 僕はそれくらいしか感想を持ち合わせていなかったんですけど、鑑賞後に嫁さんに聞いた感想が目から鱗でした。彼女曰く、本作は明らかにウクライナ戦争後の反中国・反ロシア的なメッセージが込められた作品に見えたそう(以後ネタバレ注意

 

 というのも、本作のヴィランはロサスの街を統治する国王マグニフィコで、マグニフィコは人々の願いを叶える魔法を持っていますが、実態としては国民の願いを独占することでマグニフィコは国を守っていました。ロサスの人々は18歳になると自分の願いを国王に預けますが、一旦願いを預けるとその願いが叶えられるまで内容を忘れてしまいます。しかし、ロサスの人々からはマグニフィコは絶大な支持を得ていました。

 

 つまりマグニフィコは国防と治安維持のため、人々の願いを忘却しているのですが、これが台湾人の奥さんの目には習近平プーチンが徹底した情報操作や思想教育で国民を欺いている現状と重なって見えたそうです。

 

 また劇中、マグニフィコは主人公アーヤの祖父の願いが危険なものであるので叶えられないと退けます。具体的に何が危険なのかはよく分かりませんでしたが、祖父の願いのイメージに「人々が集まること」があったことをマグニフィコは特に恐れていました。つまり集会の自由を禁止しているのです。

 

 言われてみると、確かにマグニフィコのやり口は憎悪で大衆を扇動したり、能力は考慮せずに忠誠的な人間だけ出世させたり、古今東西の独裁者の手腕を想起させるものばかりです。実際、『ウィッシュ』に反中国や反ロシア的思想が込められているかは分かりませんが、中国や習近平に常に危機感を抱いている台湾人ならではの視点で感心しました。しかし、なら作品が気に入ったのかと思ったら、それはそれとして全く面白くなかったそうです。ズッコケ!